入院

都内のある病院の病室からの夜景。高級ホテルのような個室で快適です。

「贅沢な」と思われるかもしれませんが、この病院は、そもそも大部屋自体が存在しません。これも、安心して手術を受け、療養出来る環境を整える、この病院のポリシーでしょう。確かに、これならばまた入院しても良いかも⁈

このように、気楽に楽しんでいますから、心配頂くと損します。

 

明日は朝一番で手術。早めに休んで備えます。


舞囃子『胡蝶』にて県大会出場(名東高校能楽研究部)

 

本日、桜山舞台にてお弟子さんの稽古の後、名東高校作法室にて、能楽研究部の稽古でした。本当の意味で、私にとっての今年最後の稽古。明日、入院するので、謡を謡うのもこれで最後です。

 

写真は、舞囃子『胡蝶』の様子。新年1月6日(土)に開催される県大会にて発表します。例年、私も舞台出演が重ならなければ監督に参りますが、今回は声も出せないので、残念ですが東京の自宅から健闘を祈ります。

 

昨年の舞囃子『鞍馬天狗』や、舞囃子『船弁慶』に引き続き、全ての役(シテ・地謡・笛・小鼓・大鼓・太鼓)を高校生のみで務めます。

 

皆さま、私の代わりに、ぜひとも観に行ってあげて、ご声援をお願い致します!

 


 

『愛知県高等学校文化連盟 日本音楽部門 第32回発表会(県大会)~筝曲・能楽~』

 

日時:平成30年1月6日(土)13時~17時

会場:名古屋市青少年文化センター(アートピア)(ナディアパーク11階)

主催:名古屋市教育委員会・愛知県高等学校文化連盟日本音楽専門部


一期初心

昨日、五雲会にて、今年最後の舞台出演。

『生田敦盛』の子方を凜太郎が勤め、無事済みました。最近、舞台に出ることの「怖さ」も自覚しつつ、ある意味の「快感」も得てきたようで、本番に強くなり、我が息子ながら「後生畏るべし」の感です。

 

それに比して私は、『蝉丸』の後見にて、ある失敗をしてしまい、楽屋に戻るなり関係者に平謝りでしたが、今後に活かせば良いと、先輩方から前向きな叱咤激励を頂き、まだまだ自分が発展途上にあることを自覚して、気を緩めず来年も精進しようと決意致しました。

 

今日は、岡崎(愛知県)のお弟子さんのお稽古の為、新幹線車中です。明日は、名古屋のお弟子さんのお稽古の後、名東高校へ。そしていよいよ入院・手術。

 

ワキ方・安田登師(昨日の『生田敦盛』のワキ)の著書の言葉を借りると、世阿弥の云う「初心」とは、古い自己を断ち切り、新しい自己に生まれ変わること。私も、この手術を機会に生まれ変わり、更なる高みを目指そうと思います。


お大事に

インフルエンザが流行り始めています。

ワクチンが全く足りていないようで、200人待ちの医院もざらにあります。私は、機会を逃してしまいましたので、今年もこのままやり過ごします。特に今年は足りていないのだから、こういうときは、罹患しても何とか乗り切れる世代は辞退して、重症化したら深刻な乳幼児やご高齢の方にお譲りした方が良いですね。

 

来週の入院・手術の為に、1ヶ月前に様々な検査を受けましたが、その際看護師さんから、風邪はもちろんのこと、絶対にインフルエンザなどの感染症にはかからないで下さい、と念を押されました。

ならば、インフルエンザワクチンを接種した方が良いのか伺うと、看護師さんは、ワクチンを接種してもインフルエンザの予防はできないと断言。重症化を防ぐ為のものなので、どちらでも良いとのこと。

感染症にかかると、手術はできなくなるらしく、そうなると、せっかく1ヶ月近くうまく休みが取れたのに、復帰が遅れて舞台やお弟子さんのお稽古に影響が出ることになります。

それだけは絶対にいやなので、手洗い・うがい・マスク装着などは徹底的に実践しています。

 

入院前日まで、目一杯仕事が入っていて、新幹線で移動もあり、どうしても人混みは避けられませんが、特にマスクは必需品です。マスクの効果の是非云々が巷間論議されますが、喉に湿り気を与えることは間違いないだろうし、他者の咳やくしゃみの飛沫は避けられる(ウィルスは疑問ですが)のだから、付けないよりはマシに決まっています。

 

インフルエンザではない、長引く悪い風邪も流行っています。皆さんも、どうぞお大事に。


SAUSAGE②

(続き)

同音異義語(と言って良いのかわかりませんが)で有名なところでは、

「汚職事件」と「お食事券」

これなんかは、誰もが(?)子供の頃は勘違いしていたのでは。私もその一人です。

 

「更新料」と「香辛料」

や、

「数パーセント」と「スーパー銭湯」

あたりになると、「空耳アワー」的になってきます。

 

能の謡で有名なのは、

『船弁慶』の後半、船中にてのワキ(弁慶役)の謡

「この御舟の陸地(ろくじ)に着くべき ようも無し」

が、

「6時に」

と聞こえて、「なるほど、この舟は遅れてて、6時には到着できないのだな」と、大体の子方(義経役)が勘違いします。

 

また、『竹雪(たけのゆき)』という珍しい曲では、やはり子方の謡

『さりとては  払わで  かくて  あるならば』

これは、意地悪な継母が「竹の雪を払え」と言って、大雪の中を庭に出されて、絶命してしまう前に謡う大事な一句ですが、これが謡い方によって、

『腹は  でかくて  あるならば』

と聞こえてしまいます。

 

『経政(つねまさ)』では地謡の、

 

「されば  彼(か)の  経政は」

があり、やはり謡い方によって、

 

「され  馬鹿の  経政は」

と聞こえてしまいます。

 

「SAUSAGE」「双生児」から、やはり能へ話が繋がるのでした。


SAUSAGE①

先日、お中元に頂いた美味しいソーセージを家族で頂いているときに、ふと、「sausage(ソーセージ)」と「双生児」は、国をまたいだ同音異義語だなあ、と思いつき、小3の娘に、

「双子のことを双生児と言うんだよ」

と、教えたら、

「お父さん、ひどい」

と。私が、双子のお友達に対して「ソーセージ」とあだ名を付けたと思ったのでしょう。やや怒った顔をしたので、すぐさま弁解しました。だって、父親は娘に嫌われたくないから。

 

そう言えば昔(相当前)、矢来能楽堂に行くのに、その近くに「新潮社」があるので、タクシーに乗り込んで、

「新潮社へお願いします」

と言ったら、都庁に連れて行かれたことがありました。当時、新宿区に出来た都庁はまだ新しく、

「新庁舎」

と呼ばれていた時代でした。

(続く)


平成30年 舞台のお知らせ

当ホームページ内の、「舞台のお知らせ」を更新いたしましたのでご覧ください。

来年(平成30年)は、能4番のシテを勤めます。

 

 ◆3月17日(土)『鞍馬天狗』(五雲会・宝生能楽堂)※子方(牛若丸)・凜太郎

 ◆9月30日(日)『天鼓・盤渉(バンシキ)』(第5回 和久荘太郎 演能空間・名古屋能楽堂)

 ◆11月18日(日)『大会(だいえ)』(名古屋宝生会定式能・名古屋能楽堂)

 ◆11月30日(金)『殺生石』(夜能・宝生能楽堂)

 

手帳にご記入いただき、ご予定ください!


2回目の声帯ポリープ摘出手術④

(続き)

よって、全く重篤な病気の手術ではありませんので、どうかご心配なくお願い致します。「わしゃ心配しとらんよ」という方が多数を占めると思いますが、中には、かなり衝撃を受けて下さる方がいらっしゃるので、命に関わる病気ではないということを、しっかりご説明しておきたくて、このポリープシリーズは第4弾に至ります。

全身麻酔というリスクはありますが、ポリープ以外の手術も含めて、今まで数回やっても、ちゃんと元気に覚醒していますので、全く心配していません。

前回の手術及びリハビリは大成功で、声が能く出るようになりましたので、今回のリハビリでは、逆にその成功経験が仇にならないよう、慎重に進めようと思います。大体がすぐ調子に乗る性質、早めに声を出したりしないよう、意識して注意します。

前回のように、麻酔から覚めた瞬間に「もう終わったんですか⁈」と叫ばない練習や、声を出さないうがいの練習、寝言を言わない練習(所詮無理ですが)、声を出さないで謡を覚える練習などを、今から日常生活で癖を付け始めています。

以上で、ポリープシリーズを終了いたします。ご愛読ありがとうございました。


2回目の声帯ポリープ摘出手術③

(続き)

1週間の沈黙療法も虚しく、血豆はポリープに昇格。晴れて(腫れて)手術が決定しました。このポリープが手術日迄に引っ込めば、手術の必要はなくなるとのことですが、その確率は5%程度。密かに一縷の望みをかけていますが、所詮無理なのは、自分が一番分かっています。

沈黙療法後、日に日に、自分でも驚くほど声が出るようになってきたので、治ったのでは、と思う時があるのですが、診察を受けると、その答えはバツ。おそらく、身体がポリープの存在に順応して、勝手に工夫をして声が出るようになっているようです。

息が洩れているのが、自分でも能く分かります。出す息全てが、声(音)にならないのです。だから、以前は一息で謡えた箇所を、人にはわからないように、途中で息を盗んで続けて、一息で謡っているように聞かせています。その為、腹の力や圧力が倍くらい必要で、誠に疲労します。

現在ポリープ氏は、2枚ある声帯の片方だけにいらっしゃるのですが、放っておくと、声帯同士ががぶつかり合って、もう片方にもポリープ氏の相棒が出来て、声帯がきっちりと塞がらなくなり、遂には声が出なくなる、というシステム。いつそうなるかわかりませんが、近い将来の話なので、今のうちに取ってしまう、という主治医のご判断です。

(また続く)


2回目の声帯ポリープ摘出手術②

(続き)

今回手術が決定したのは、今から2ヶ月半前の9月末。大事な役(面・装束を付けて演じる一役)や、地謡が12月まで続いており、お客様に「あんなに大きな声出しちゃって大丈夫かしら」などと、ご心配を頂きながら舞台を見て頂くのは良くないと思い、出来るだけ公言しないようにしてきました。

前回は、生まれて初めてのポリープですから、声が出なくなってきたり、謡うと極度に疲れるのは、年齢のせいかと思っていましたか、そうではありませんでした。

しかし、今回は、「あの時だな」という、ポリープのきっかけを自覚しております。8月と9月に、自身の稽古、社中の稽古、舞台出演で、睡眠を削ってかなり無理をしたのです。

声が出なくなって、9月中旬に診察を受けたら、「和久さん、血豆ができちゃってますねえ。最近出血したでしょ。」と。出血に関しては、全く自覚がありません。主治医曰く、この血豆がうまく吸収されれば、ポリープにはならないので、1週間の沈黙療法をしましょうとのこと。

かくて9月末の1週間、お弟子さんのお稽古を全て休み、その期間の唯一の大事な舞台(ワキ方・御厨誠吾師主宰の会にての舞囃子『松尾』)があり、それだけは手加減せずに勤めました。

(続く)