メガネ

普段は眼鏡をかけています。
深刻な方からすれば、大したことはない程度の近視でしょうが、外すと、遠方のお顔が見えないので、ご挨拶が遅れたりしてよく失礼をしてしまいます。
当然、舞台では外しますので、お客様のお顔は全く見えていません。
(「きゃー目が合った」と思っていただいている方には大変申し訳ありません。)
10代後半から20代中頃までは、コンタクトレンズを使ったこともありますが、一度直面の役(脇能のツレ)で演能中舞台上で落としてから慎重になり、更に面をかけた役でも面の中に落としてからは、いよいよいけないと思い、舞台では一切使わなくなりました。
一役で舞台に上がると、まばたきを出来るだけしないように訓練しているので、気付かないうちにレンズが乾いて、落としてしまうのです。
能は柱さえ見えれば舞えますが、困るのは後見の時。舞台上でシテの装束を着せ替える「物着(ものぎ)」を、暗い作り物の中でやらなければならない時は難儀します。
亡くなったある大先輩は、いつも後見の時のみ、しかも片目のみコンタクトレンズを入れていました。お尋ねしたら、
「片目さえ見えれば良いんだよ。」と。
遠近感は大丈夫なんだろうか、と思うので、未だに私は挑戦していません。
薪能の時も困ります。後見の際、シテが中入して、装束着けのため楽屋に駆け戻る時、通路が真っ暗で大転倒したことも。
今晩は、岐阜の岩村城趾薪能。
久しぶりにコンタクトレンズを持参しました。
これでお客様のお顔もバッチリです!


合宿


昨日・今日は名東高校能楽研究部の合宿。
一昨日の浴衣会で披露した舞囃子『経政』を、来月の文化祭での発表に向けて練り直しです。
ほかに謡と仕舞の稽古も。
食事の時間以外は、合宿所で一日中謡いっぱなし。
若いパワーに負けないよう、おじさん(私)も頑張りました。
縦の繋がりができて、卒業生もたくさん駆けつけてくれて、熱血な体育会系の部活になってきました。
これからが楽しみです。


名古屋涌宝会浴衣会

昨日(20日)は、名古屋涌宝会浴衣会。名古屋と岡崎の会員さんが一同に会し、納涼の謡会を催しました。
名東高校の能楽研究部員による舞囃子『経政』は、シテ・地謡のみならず、笛・小鼓・大鼓も全て高校生で立派に勤め、拍手喝采。
その他、素謡・仕舞・笛の一管など、日頃の稽古の成果を披露。

写真は、素謡『鶴亀』。私は、地謡に入らず、皆さんで大合唱してもらいました。
まさやくんという5歳の男の子は、『猩々』の仕舞で初舞台。稽古通り、しっかり、可愛く勤めました。
そのうち本舞台で、本格的な初舞台を改めて踏ませてあげようと思います。
ささやかな食事会で親睦を深めました。


日焼け

日焼けには、大変気を使っています。
特にお役の前は。
麗しき女性の役の、装束からちらと見える手元や、面の脇から見える顔や首もとが真っ黒では、幻滅しますね。
地謡の端っこに座っていても同じこと。
日焼けというのは、その人の日常生活を如実に表しています。
日常生活を舞台上に持ち込むと、お客様は違和感を感じます。
「ああ、あの人はゴルフ焼けだな」
とか、
「南国で楽しんできたんだな」
など、観能に集中できませんね。
かといって、能役者も舞台を離れれば現代に生きる一人の人間ですから、遊びを楽しんでいけないことは無いでしょう。ただ、人によって気をつけ方が違いますが。
数年前の一時期は、大先輩に倣って日傘を使ったことも。ただ、気恥ずかしくて長続きしませんでしたが。男用の日傘がブームになってくれることを切に望みます。
この夏、子供をプールに連れて行きましたが、凜太郎は来月の月並能で、『花筐』の子方の役を頂戴しているので、大変気を使います。しかも天皇の役。実際はどうだったかはわかりませんが、田舎から出てきたとはいえ、真っ黒な天皇はイメージに合いません。
また、同日の月並能で、私も『敦盛』のツレを勤めますので、草苅男の役とはいえ、日焼けするわけにはいきませんので、子供ともに日焼け止めをしつこいほど塗りたくって、何とか難を逃れました。
しかし、体全体に塗ってはいたのですが、顔と首と手を中心に塗り直しを重ねていた為に、そこだけ白くて、後は見事に日焼けという、奇妙な焼け方。
その世界にはその世界なりの、色々な気の遣い所がありますね。


テレビ

NHK朝ドラ「おひさま」のヒロインのだんなさんに似てる!と最近毎日言われます。
親戚・お弟子さん・同業者などに、あまりに毎日のように違う方に言われるので、本当に似ているのだろうけれど、私自身、一度もその番組も人も見たことがありません。
顔だけでなく、表情や立ち居振る舞いも似ている、ということです。
一度、「実は私なんです」と言ったら、「やっぱり!!」と。
しかし、良い役柄だそうで、良かった良かった。これで、犯罪者の役だったりしたら、世間の目が違ってきます。
テレビをほとんど見ません。せっかく最新式の地デジなのに。だから、新しいお笑い芸人の名前も、みんなが話題にし出して半年後くらいにやっとその姿を拝みます(最近初めて「ゆってい」という人を見ました)。
昔(小中学校)は超テレビっ子だったのに。アニメなど、テレビ雑誌にチェック入れて、ビデオ録画してまで見ていました。
今もその名残で、様々な番組をハードディスク録画していますが、溜まるばかりで、仕事関連以外のくだらない番組はいつの間にか(妻の手によって)消え去っています……。


NOH-AGE・鵺 終了

一昨日の「NOH-AGE・鵺」は、大勢のご来場、誠にありがとうございました。
200席ほぼ満席。お客様あっての芸能、やはりやり甲斐を感じました。
お陰様で大過なく勤めることができました。
「NOH-AGE」は、毎年春の「和の会」本公演のサブ公演の形を取り、今回第2回。家元主宰のこのような催しで、『鵺』という面白くも難しい曲を勤めさせていただくこと、誠にありがたく感じています。
まるで、私の個人演能会のように演出していただき、あくまでも裏方に徹して、若手を売り出そうとして下さるご姿勢。
良いプレッシャーにも感じ、なんとしても、なにがしかの成果を出さなければと、励みました。
裏方のスタッフに、大変有能な若者たちが揃っています。若い和英家元の志に賛同した「仲間」が、ボランティアで集結して、正に「和の会」という名前に相応しい働きで成り立っています。
今後、どのような展開を見せていくか、お客様はもちろんのこと、我々役者も目が離せない催しでしょう。
私自身、家元のご好意に甘えるだけでなく、個人演能会の少ない宝生流において、よし、俺もそのうちやるぞ!という気持ちが以前にも増して湧き上がってきました。
次回「和の会」は、来年24年5月26日(土)宝生能楽堂にて、宝生和英家元の『船弁慶』。
ご期待下さい。


明日鵺

ついに明日は『NOH-AGE・鵺』です。
ご来場、心よりお待ちしております。
ご来場者には、もれなく涼を呼ぶ物(まさに鵺的な)が配られるそうですが、お帰りの際、決して渋谷の街にお捨てにならないようお願いいたします。
また、額に「肉」とか頬にナルト模様など、落書きしないよう重ねてお願いいたします。
当日券、ございますので、お誘い合わせの上お越し下さいませ。