メガネ

普段は眼鏡をかけています。
深刻な方からすれば、大したことはない程度の近視でしょうが、外すと、遠方のお顔が見えないので、ご挨拶が遅れたりしてよく失礼をしてしまいます。
当然、舞台では外しますので、お客様のお顔は全く見えていません。
(「きゃー目が合った」と思っていただいている方には大変申し訳ありません。)
10代後半から20代中頃までは、コンタクトレンズを使ったこともありますが、一度直面の役(脇能のツレ)で演能中舞台上で落としてから慎重になり、更に面をかけた役でも面の中に落としてからは、いよいよいけないと思い、舞台では一切使わなくなりました。
一役で舞台に上がると、まばたきを出来るだけしないように訓練しているので、気付かないうちにレンズが乾いて、落としてしまうのです。
能は柱さえ見えれば舞えますが、困るのは後見の時。舞台上でシテの装束を着せ替える「物着(ものぎ)」を、暗い作り物の中でやらなければならない時は難儀します。
亡くなったある大先輩は、いつも後見の時のみ、しかも片目のみコンタクトレンズを入れていました。お尋ねしたら、
「片目さえ見えれば良いんだよ。」と。
遠近感は大丈夫なんだろうか、と思うので、未だに私は挑戦していません。
薪能の時も困ります。後見の際、シテが中入して、装束着けのため楽屋に駆け戻る時、通路が真っ暗で大転倒したことも。
今晩は、岐阜の岩村城趾薪能。
久しぶりにコンタクトレンズを持参しました。
これでお客様のお顔もバッチリです!