根津神社・つつじ祭り

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5月14日、宝生能楽堂にて勤めます『雲雀山』の地謡に、
「また躑躅(てきちょく)は夜遊の人の折を得て、驚く春の夢の内」
という一節が謡い込まれています。
「てきちょく」とは、文字通り、つつじの音読み。夜でも躑躅の紅さはポッと際立っていることを表しているのでしょう。
写真は、根津神社のつつじ祭りの様子。見頃です。驟雨に見まわれました。
東京一の躑躅の名所。意図的に、早咲き・遅咲きの躑躅が植えられているようで、写真でわかるように、全てが一斉に咲いているわけではありません。
5月5日までとのこと。まだまだ楽しめます。花に勝るとも劣らない団子も。


ドクターイエロー

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ただいま新幹線で名古屋に向かっていますが、東京駅ホームに偶然、ドクターイエローが入ってきました。
頻繁に新幹線に乗っていますが、初めて間近に見ましたので記念撮影。
電車オタクではありませんが、童心が騒ぎました。


戯れ言

本年1月よりこのブログを始めてから、3ヶ月が経ちました。
5年程前に、ホームページを立ち上げていただく折に、ブログをやった方がたくさんの方に見ていただけるから、ぜひやれと、幾人もの方に強く勧められましたが、
「あんな軟弱なもの。秘すれば花だ。」
などと、得意のひねくれ坊主が頭をもたげて、断固としてやりませんでした(ホントは学がないのがバレるのが怖い)。
しかし、後からホームページを立ち上げた方々がブログを始めて、魅力的な文章で自分の様子や、催しの宣伝を発信するのを垣間見ますと、出遅れの感はありましたが、やってみようという気になりました。
だいたいが天の邪鬼で、新しい物好きのくせに、人と同じことや、出遅れたことはやりたくない性分。
そういえば、いち早く飛びついたスマートフォンは、最近やっと私の言うことを聞くようになってきました。
さて、何事もやるとなったら徹底的に追求しなければ気が済まない性分。毎日投稿し続けましたが、ある日知人から、
「良く毎日書くね」
と冷静に指摘され、ふと我に帰り毎日書かなくても良いんだ、と気付き、気持ちが楽になりました。
ゴルフのお誘いをいただいても、面白そうとは思いつつ一向に始めないのは、いつもその事を考え続けて、駅のホームで傘を振り回す所業に陥りそうだから。
ハコビやシカケヒラキのイメージトレーニングだけで精一杯です。
そういえば、ウォーキングが腰痛に良いと聞き、急に1日1時間毎日歩きだしたら、よけいに腰が痛くなって、
「そりゃ歩き過ぎだろ」
と、さる御方に冷静に指摘されて、またもやその通り、と納得。
「過ぎたるは及ばざるが如し」
を地で行くこの性格、なんとかしないとね。


名古屋稽古場

柴田舞台
この4月より、名古屋の稽古場が変更になりました。
地下鉄東山線本山駅徒歩5分の、個人宅で、写真のように立派な舞台が!
先日の初稽古では、お弟子さん方皆さんお喜びでした。
ご迷惑がかかるといけないので、住所は公表いたしませんが、名古屋でお稽古を始めたい方は、お問い合わせくだされば、場所の詳細をお知らせいたします。
今まで稽古場としてお借りしていた三喜神社は、私が高校生の頃、故・辰巳孝先生の稽古に伺った場所。
その後上京して内弟子修行し、家元のお許しをいただき、名古屋での稽古場を開いたのが三喜神社。8年ほどお世話になりました。
神前で稽古させていただけることの有り難さ。宮司さんには大変融通していただきました。感謝いたします。
三喜神社の稽古は、月2回・水曜日でしたが、東京芸大の出勤日と重なってしまったために、曜日の変更を余儀なくされ、稽古場変更と相成りました。
新しい稽古場では、基本的に火曜日か金曜日の13時から21時。お弟子さんが増えれば、午前中にも稽古するつもりです。
ちなみに、岡崎の稽古は、月2回で、基本的に土日にしております。少し離れますが、両方に通われる方や、不都合でお休みになった日の代替として、どちらかにいらっしゃる方も。
名古屋・岡崎近辺で、和の稽古「能」にご興味のある方は、ぜひ一度見学にお越し下さい!
詳しいご案内は当ホームページまで。


5月14日五雲会・雲雀山


来る5月14日(土)五雲会(水道橋・宝生能楽堂)にて、能『雲雀山(ひばりやま)』のシテを勤めます。

 

題名の「雲雀山」は、大和(奈良)と紀の国(和歌山)の境にある山の名で、ここを舞台に物語が展開されます。

 

雲雀山の谷陰の粗末な庵に隠れ住む中将姫(ちゅうじょうびめ・子方)を、草花を売って養う侍従の乳母(めのと・シテ)。今日もまた、春の草木を手折り、里へ下りてこれを売りに行きます。

 

心無い人(継母)の讒言を信じ、娘である中将姫を雲雀山で殺せと命令を下した、右大臣豊成(とよなり・ワキ)は、先非を悔い、この雲雀山に姫を探しにやってきます。

 

山中で、豊成一行と出くわした侍従は、それとも知らず、豊成の家来と問答を交わします。夏に近い晩春の、風流で軽やかな風情です。

 

中将姫を、この4月で小学生になった水上達くんが勤めます。鬘をつけて女の子になった愛らしい子方は、姫の哀れさ不憫さをいっそう際立たせることでしょう。

 

この手の曲の定石通りハッピーエンドで、豊成は中将姫を連れて都へ帰って行き、能を見るお客様に、良い気持ちのまま帰途についていただきます。

 

でも、本当に帰らないで下さい。まだもう一番、大曲『石橋(しゃっきょう』が残っていますから。

『石橋』は、我々能楽師の登龍門である『道成寺(どうじょうじ)』や、『乱(みだれ)』と並ぶ、秘曲の一つで、澤田宏司師が勤めます。

 

大昔の中国を舞台として、前半は仏教観を語り、静寂な雰囲気ですが、終盤、激しい囃子「乱序(らんじょ)」に引かれて、想像上の動物、獅子が現れ、牡丹の咲き乱れるなか、激しく舞い狂います。

この間10分もありませんが、他の能には、類を見ないほどこの上無く激しく、アクロバティックな動きで見る者を魅了することでしょう。

 



このような大曲を初演することを、「披く(ひらく)」と言い、慶事の一つです。

実は、私、披き物の一つである『乱(みだれ)』を、本年12月の五雲会にて、披かせていただきます。

先のことですので、また改めてお知らせいたします。  




5月五雲会は、他に『嵐山(あらしやま)』シテ小林晋也、『通盛(みちもり)』シテ山内崇生。

いずれも見どころ満載のお勧め曲です。

 

お誘い合わせの上、ご来場を心よりお待ちしております。

 

チケットは当ホームページまで。


おめでとう

ピッカピカのランドセルを背負った1年生、制服に着られている新中高生も、桜の花に負けない春の風物詩の一つでしょう。

新1年生、おめでとう!きっと忘れがたい門出になることでしょう。不安なんか春風と一緒に吹き飛ばしちゃえ!

私も、この4月から母校の東京芸術大学・音楽学部・邦楽科の助手として、週2日の勤務が始まり、助手1年生として先輩助手に教えを請いながら、張り切っています。

会社勤めの経験など、もちろんありませんので、慣れぬネクタイや事務作業にてんやわんや。きっと、失笑を買っていることでしょう。

能しかして来なかった私に、はたして勤まるのだろうかと不安もありますが、今まで使っていなかった脳みその一部が再生してきました(気のせい)ので、自分を騙しつつ頑張ります!

急にネクタイ締めて早朝に出て行くようになった父親に困惑気味の息子と娘に、妻は「お父さんは学校の先生(みたいなもの)になったんだよ」とダマしています。

仕事の詳細は、ここでは公表できませんが、学生にレッスン(芸大では稽古のことをこう呼ぶ)はしません。あくまでも、教授のお手伝いや、邦楽科全体の運営の事務作業。

邦楽科には、能楽のほかに長唄・長唄三味線・邦楽囃子・日本舞踊・箏曲(生田・山田)・雅楽などがあります。
敬服するのは、各教授のバランス感覚に優れた人間性。
皆さん、言ってみれば芸人(伝統芸能家)が本職で、その世界で名を成している方々です。
芸人にありがちなエゴや驕慢が見えず、公のことを常に考えていらっしやいます。返せば、そういう人だからこそ芸大の教授になれるのでしょう。

いやともかく、ランドセルならぬ、ピッカピカのおでこを引っさげて、上野の山の満開の桜のトンネルをくぐり抜けて、来週もまた新たな仕事に挑んでまいります!