宝生流祖神祭 乱能
来る12月26日(水)午前11時始 宝生能楽堂(水道橋)にて「宝生流祖神祭乱能」が催されます。
「乱能」とは、その名の通り、通常とは違う特別な催しで、シテ方・ワキ方・狂言方・笛方・小鼓方・大鼓方・太鼓方の各専門職を全て入れ替えて出演します。
自分の専門以外もいつでも出来る、という建前が我々にはありますが、必ずしもそうはいかないのが乱能の面白いところ。「真剣なおかしみ」があります。
宝生流(東京)の乱能は14年ぶり。能を初めてご覧になる方にはお勧めできません(これが本当の能だと思われると困る)が、能をある程度御覧になっていて、役者の顔が分かっている方には、大変楽しめる催しだと思います。
(ちなみに、私は能『鞍馬天狗・白頭』の大鼓(おおつづみ)を勤めます。)
入場料(全自由席予約制・弁当付) 12,000円
入場券の申し込みは、今月10月末日必着で、往復ハガキでの申し込みのみの受付になっております(下記の要領にて)。
定員を超えた場合は抽選、当選の発表はハガキにて。
ハガキ1枚につき入場券1枚のお申し込み。
「宝生流祖神祭乱能」
12月26日(水)午前11時始 宝生能楽堂
舞囃子『高砂』
シテ 幸信吾
笛 今井泰行
小鼓 則久英志
大鼓 藪克徳
太鼓 御厨誠吾
地謡 徳田宗久・吉谷潔・林雄一郎
舞囃子『小袖曽我』
シテ 八反田智子・大山容子
笛 柏山聡子
小鼓 土屋周子
大鼓 内田芳子
地謡 桜井均・梶谷英樹・大川典良
仕舞
『鶴亀』小野寺竜一
『清経キリ』大倉栄太郎
『鵜飼』住駒充彦
地謡 野口敦弘・工藤和哉・野口能弘
能『夜討曽我・大藤内』
シテ(五郎)柿原光博
ツレ(十郎)柿原弘和
団三郎 大倉千太郎
鬼王 大倉教義
古屋 内田輝幸
立衆 佃良太郎・亀井洋佑
五郎丸 杉信太朗
アイ 宝生閑・殿田謙吉
笛 山内崇生
小鼓 渡邉茂人
大鼓 野村万蔵
後見 善竹十郎・桜井均
地謡 國川純・藤田次郎・大倉源次郎・幸信吾・大倉慶乃助・藤田貴寛・栗林祐輔・森貴史
舞囃子『八島』
シテ 大倉源次郎
笛 野村太一郎
小鼓 館田善博
大鼓 野月聡
地謡 宝生欣哉・福王和幸・藤田貴寛
舞囃子『船弁慶』
シテ 徳田宗久
笛 大日方寛
小鼓 高野和憲
大鼓 深田博治
太鼓 梅村昌功
地謡 森常好・吉谷潔・森貴史
狂言『棒縛』
太郎冠者 佐野由於
次郎冠者 金井雄資
主 高橋亘
能『鞍馬天狗・白頭』
前シテ 善竹十郎
後シテ 幸清次郎
牛若 亀井広忠
花見 山本則俊・観世元伯・鵜澤洋太郎・桜井均・吉谷潔・梶谷英樹・大川典良・林雄一郎
ワキ 古賀裕己
ワキツレ 田邊恭資・飯冨孔明
能力 曽和正博
木葉天狗 野口敦弘・工藤和哉・野口能弘
笛 山本則秀
小鼓 水上優
大鼓 和久荘太郎
太鼓 小倉健太郎
後見 大日方寛・則久英志
地謡 野村萬・亀井忠雄・大倉三忠・内田輝幸・福王和幸・住駒充彦・大倉栄太郎・小野寺竜一
狂言『仁王』
男 宝生和英
何某 武田孝史
躄 小倉伸二郎
立衆 小林晋也・高橋憲正・澤田宏司・亀井雄二・森貴史・栗林祐輔・藤田貴寛・大倉慶乃助
仕舞
『安宅』鳥山直也
『胡蝶』成田寛人
『橋弁慶』観世元伯・鵜澤洋太郎
地謡 柿原弘和・柿原光博・佃良太郎
舞囃子『西王母』
シテ 藤田次郎
笛 東川尚史
小鼓 金森秀祥
大鼓 東川光夫
太鼓 佐野登
地謡 宝生閑・殿田謙吉・館田善博
舞囃子『融』
シテ 亀井忠雄
笛 大友順
小鼓 福王和幸
大鼓 野村扇丞
太鼓 武田孝史
地謡 曽和正博・亀井広忠・亀井洋佑
狂言小舞『七つ子』
シテ 近藤乾之助
半能『石橋・連獅子』
白獅子 野村万作
赤獅子 野村萬斎
ワキ 山本東次郎
笛 宝生欣哉
小鼓 辰巳満次郎
大鼓 森常好
太鼓 朝倉俊樹
後見 安福建雄・徳田宗久
地謡 一噌庸二・亀井俊一・小寺佐七・山本則俊・佃良太郎・亀井洋佑・杉信太朗・林雄一郎
Eテレ 能『雷電』ほか
来る10月27日(土)15:00~17:00、Eテレ(旧NHK教育)にて、「古典芸能への招待 能・狂言」という番組で、以下の放送があります。
能『雷電』
シテ 宝生和英
ワキ 森常好
笛 寺井宏明
小鼓 大倉源次郎
大鼓 亀井広忠
太鼓 金春国和
地謡 武田孝史 他
狂言『通円』
シテ 野村万作
ワキ 石田幸雄
笛 寺井宏明
小鼓 古賀裕己
大鼓 亀井広忠
地謡 野村萬斎 他
仕舞『通小町』
シテ 三川泉
地謡 小林与志郎 他
語り『大原御幸』
近藤乾之助
私は、能『雷電』と仕舞『通小町』の地謡で出演します。
ここでは、敢えて多くは申しませんが、いずれも見応えのある番組です。ご期待下さい。
掬水会・明治神宮薪能
昨日は、残念ながら雨のため、息子と娘の幼稚園の運動会は次の日に延期になり、私は舞台の為参加できなくなりました。
長男は幼稚園最後の運動会だったので、ぜひとも行きたかったのですが、残念。
しかし、早起きして自転車で会場に行き、場所取りだけはバッチリ。お父さんの責任を一つだけ果たしました。
さて、場所取りの後は、宝生能楽堂にて掬水会(きくすいかい・水上優師同門会)の助演。
水上優・輝和親子の番外仕舞に始まり、御次男の嘉(よし)くんの初仕舞『絃上』。4歳にして立派に可愛く舞いました。
能2番(『祇王』・『船弁慶』)、素謡・仕舞・舞囃子多数、10周年ということでますます盛会。
私の同門会・涌宝会も、見習って10周年目指して頑張っていこうと思います。
トメの能『船弁慶』の装束のお手伝いを最後に途中で失礼して、急ぎ明治神宮薪能へ。
間組主催の薪能で第31回。
私は、仕舞『祇王』を、東川尚史さんと相舞で勤めました。
こちらのトメの能も『船弁慶(後之出留之伝)』(前シテ 宝生和英・後シテ 辰巳満次郎)。私は地謡を勤めました。
来年開催の私の自演会・「和久荘太郎演能会」でも、能『船弁慶』を勤めますので、大変勉強になる舞台でした。
『船弁慶』を舞うと決めてから、不思議と『船弁慶』を自分で舞う機会や拝見する機会が増えてきました。もともと人気曲ですから、多くて当然ですが、その分、お客様にも容易に比較されてしまうので、ある意味難しい曲です。
帰宅後妻から運動会の報告があり、子供たち二人ともよく頑張ってきたようです。
来年は、小学校と幼稚園の掛け持ち・・・?
雨のばか
せっかく仕事無かったのに。
せっかくカメラ充電したのに。
せっかく新しいトレーニングウェア用意したのに。
せっかく唐揚げとおにぎり用意したのに(妻が)。
幼稚園最後の運動会明日に延期。
明日は仕事。
雨のばか。
杣月会(そまづきかい)
昨日10月6日(土)、土屋周子師主宰の「杣月会(そまづきかい)」(於 東京 蔵前 神谷舞台)の助演(地謡)をしました。
5周年を迎えますます盛会。
周子先生の番外仕舞『融』に始まり、会員さんの素謡・仕舞の発表。
皆さん謡の声が大きく、周子先生が普段から手を抜かずに、大きい声で指導していることが感じられました。
周子先生は、宝生流の盛んな佐渡出身で、東京藝大入学とともに上京して修業し、女流能楽師として頑張っていて、私の後輩にあたります。
性別を超えた強い謡に定評があり、我が涌宝会会員の中でも周子ファンは多いので、涌宝会の発表会でも度々ご助演願っています。
終了後の和気あいあいの懇親会で、会員さんの笑顔につつまれ、私も活力を頂きました。
よし、明日から僕もまた頑張ろう!
伊勢参り(猿田彦神社)
(つづき)
外宮・内宮参拝、おはらい町散策の後は、そのまま徒歩で猿田彦神社へ。
特に敷地が大きい神社ではありませんが、社殿は立派。
宝生流の祖神とされていて、乱能(らんのう。来る12月26日宝生能楽堂にて開催予定)の際におまつりします。
境内には、芸能の神様・天鈿女命(あめのうずめのみこと)もおまつりしているので、芸能人がよく参拝するそうです。
また、猿田彦神社は「おみちびき」の神様として有名だそうで、事始めに際して全国から参拝者が来るとのこと。
来年から開催の「和久荘太郎演能会」の盛会を祈って、特別祈祷していただきました。
猿田彦神社から最寄りの五十鈴川駅まで歩き始めましたが、着物だったせいもありますが、いつまで経っても着きません。昼飯時もとうに過ぎているし、運良く通りかかったタクシーに乗り、先の宇治山田駅まで。
昔の人は江戸からの道のりをよく歩いたものだと、感心しますね。
空腹に耐えかねて、宇治山田駅手前で下ろしてもらい、惹かれるように入った「グリル片山」。
伊勢の地で、ご両親の代から40年も続く名店で、清楚な若奥様のサービスが素晴らしく、お料理も最高。
タクシーの運転手さんに、「あそこは高いからあちらのうどん屋にしろ」と言われても、押して来て良かった!
ランチにしては値は張りましたが、旅行の醍醐味。また必ず参りますよ。
きっとファンが多いだろうなあ。
この後、能『阿漕』縁の地「阿漕が浦」(津市)を訪ねる予定でしたが、時間切れで断念。
来る11月18日(日)の名古屋宝生会定式能で、仕舞『阿漕』を、また、来年9月の五雲会にて能『阿漕』を勤めますので、何はなくとも手を合わせて来ようと考えていましたが、案外名古屋から近いことがわかりましたので、またの機会を作ります。
独りよがりの旅行記、最後までお読みいただき、ありがとうございます。
伊勢参り(内宮)
(つづき)
内宮参拝。
日本人の総氏神様である天照大神(あまてらすおおみかみ)をおまつりしている。
宇治橋から見下ろす五十鈴川。なんて清らかだろう。
きっと参拝が済むと、僕の心も澄み切っていることだろう、と妄想。
五十鈴川の御手洗場。古来より、この済んだ川水で手を洗い口を漱いだとのこと。
よし我も、と股立ち上げて清めていたら、袴と羽織の裾を濡らしてしまった。
五十鈴川の別名「御裳濯川(みもすそがわ)」の由来通り!と開き直る。
いよいよこの階段を上ると天照大神のおわします正宮。感激。
やはり聖域は撮影禁止。
御稲御倉(みしねのみくら)。神様のお食事用のお米を保存。
外幣殿(げへいでん)。神様に捧げられた宝物を保存。
荒祭宮(あらまつりのみや)。天照大神の荒御魂(あらみたま)をおまつり。
瀧祭神(たきまつりのかみ)。
五十鈴川の守り神だが奇しくも、先日勤めた『龍田』のシテ「龍田姫」と同一体の神様。
舞台の無事を感謝。
この後、おはらい町にて精進落とし。
「赤福」で出来たての赤福餅と番茶をいただきました。
見るもの香るものすべておいしそうだが、羽織袴で食べ歩きもどうかと思い、ひたすらガマン。
案の定、おかげ横丁にて招き猫を物色していたら、お弟子さん夫妻と遭遇!
(さらにつづく)
伊勢参り(外宮)
9月23日の伊勢神宮参集殿の能楽奉納後、皆さんを駅まで見送って独り連泊し、次の日は伊勢参りをしました。
前日は舞台に専念して、御垣内参拝も出来なかったため、改めて外宮・内宮を独り参拝。前日の雨とは打って変わって好天。早朝のため、人もまばらで、心が整っていく感じがしました。
まずは外宮(げくう)から。
外宮の正宮。
この鳥居の先は、聖域のため撮影禁止。
内宮におわします天照大神(あまてらすおおみかみ)の食を司る、豊受大神(とようけのおおみかみ)が鎮座。
二拍手を打つと、偶然にも白い御幌(みほろ)が風に吹かれてフワーッと上がり、まるで神様が歓迎して下さったかのよう。
西行法師の
「何事の おはしますかは知らねども かたじけなさに 涙こぼるる」
という、伊勢参宮の折に神前にて詠んだ歌そのもの。涙があふれてきました。
この歌は、能『巴』の前シテが木曽義仲の神前で謡います。
もっとも、当時は僧侶姿では正宮には近づけなかったようで、僧尼拝所という鳥居の外で詠んだとの事。
多賀宮(たかのみや)。豊受大神の荒御魂(あらみたま)をおまつり。
(写真の二人は関係ありません)
土宮(つちのみや)。古くからこの地を守ってきた自主神。
風宮(かぜのみや)。鎌倉時代、神風を2度吹かせて元寇を退けた神様。
外宮・参道で森林浴。
この後、内宮へ移動。(つづく)