七寳会の誕生とその歩み(辰巳美也子著)

「七寳會の誕生とその歩み」という著作を、辰巳満次郎師の叔母君・辰巳美也子さんが上梓されました。
美也子さんは、故辰巳孝師の妹君。
私自身高校生の時に、この道に進む為、東京芸大を受験するにあたって、孝先生の内弟子のように先生の鞄持ちで、京都・大阪・名古屋・神戸・東京などのお稽古場をついて回った時期があり、受験間際には、先生の大阪・寝屋川のお宅で3日間ほど泊まり込みでお稽古していただきました。
その折に、美也子さんには子供のように大変可愛がっていただき、3人で炬燵を囲んで、ご出身の金沢の郷土料理を振る舞っていただいたことは、いくら忘れっぽい私でも、きっと一生忘れることは無いでしょう。
現在でも、美也子さんには変わらずお目をかけていただき、何の後ろ盾も無い私としては、高校生のような子供の頃から温かく見守って下さる方がいるというだけで、とても心強く思います。
そんな美也子さんが纏められた、大阪唯一の宝生流の定期能団体「七宝会」の歴史。ご本人もお書きになっていますが、辰巳家の歴史に触れずしては書くことのできない、大変興味深い内容。
満次郎師の曾祖父君にあたる、辰巳孝太郎師のエピソードから始まり、連綿と続く辰巳家の華々しい、名人・上手や、著名人との交流。
その華々しさの裏の、孝一郎・孝と続く、パイオニアとしての苦労。
それらを、我々世代が身をもって知ることの出来ない関東大震災や、第二次世界大戦の悲惨な状況と絡めて、しかしどこか明るく生きていく雰囲気があり、懐かしいと感じる方もいらっしゃることでしょう。
辰巳家をご存知無い方、戦争を知らない方でも、飽きずに読破できる一冊です。
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