失せ物

今日は朝から、明後日五雲会『志賀』の申合せ。終了後、回転寿司で栄養補給して散髪に行き、先ず洗髪された後、いつもの如く謡を覚えながら散髪されようと、一度預けた鞄を出してもらいに行ったら、なんと謡本の入ったポーチが見当たりません!

狼狽して、頭はビショ濡れのまま、「ちょっと失礼!」と美容院を走り出て、さっき立ち寄った回転寿司屋さんに走って行き店長さんに聞くも見つからず、能楽堂に電話して内弟子さんに探してもらうも見つからず、妻に電話して自宅を探しても見つからず‥。

散髪を終えて、念の為歩いた道を戻り能楽堂を探しても、急ぎ帰宅して自分で探してもとうとう見つかりませんでした。

 

久しぶりに失せ物をしてしまいました。しかも、仕事の道具で、長年の様々な書き込みがある大事な謡本。なんと、その中に、明後日舞う『志賀』も入っているのです。

まあ、全部覚えているので大丈夫です(というのはあまりにカッコつけ過ぎか‥)。しかし、いつかは忘れていくものですから、我々は常に謡本を持ち歩いているので、その分失くすリスクも大きいのです。

幸い、書き込みの大事な部分(「型付(かたつけ)」と言って、舞の動きを書いた伝書のようなもの)は、必ず二箇所に書き付けているので、自宅の大きい謡本には残っているのですが、無くした持ち歩き用の小さい謡本は、大変愛着のある、初心を振り返ることが出来るようなもの。約30年前、高校1年生の時にこの道を志したときに、両親に負担をかけまいと朝刊の新聞配達をして貯めたお金で買ったもの。桐箱入りで180冊揃った和綴じの豪華な作りで、当時20万円位かと。

 

失くしたポーチには、近いうちに勤める曲が全部入っています。『草紙洗』『芦刈』『当麻』『熊野』などなど9冊。

フリース素材のオレンジ色の派手なポーチです。もしどこかで拾われたらご一報お願いします!御礼ははずみますよ!


志賀明神参詣

(続き)

2月末の京都囃子方同明会出演の折に、前日の申合せ終了後、得意のカーシェアリングを利用して大伴神社(志賀明神)に参詣してまいりました。

京都から険難な山道を超えて滋賀県側に降りて、「まさかこんなところに」というような場所に彼の神社はありました。助手席に後輩の田崎甫さんに同乗してもらったのでなんとか行けたようなもの。もし私一人だったら、途中で引き返していたことでしょう(前回の投稿の私が入り込んだ写真は、甫さんに撮影してもらいました)。

 

大伴神社の鳥居。

 

例にもれず、謡曲史跡保存会による立て札。

社殿は、残念ながら手入れが全く行き届いていない状態の為、撮影は憚られました。『志賀』の能を勤めさせていただくことの御礼を述べて拝んでまいりました。

このように、「神様」系や「幽霊」系の能を勤めるときは、できる限りゆかりの神社仏閣やお墓にご挨拶に伺うようにしております。

 

そして、翌日の京都囃子方同明会能当日、ホテルから京都観世会館へ向かうべく、武田孝史氏・澤田宏司氏・田崎甫氏と地下鉄駅へ向かって歩いていると、なんと祇園祭の有名な山車の一つ、「黒主山」の収蔵庫が!

今は高級マンションの中に大事に収められています。

 

今年は、つくづく大伴黒主さんにご縁がある、と実感します。実は、今年6月16日(日)名古屋宝生会定式能にて、能『草紙洗』を舞います(詳細は後日当ブログにてご覧ください)。私自身は小野小町役ですが、相手役のワキは大伴黒主。史実ではないのに、お名前の「黒」という文字からの連想か、『志賀』では清新な神様ですが、『草紙洗』では悪役に仕立てられてしまっています。

現在は、『志賀』と『草紙洗』を並行して稽古している状況。複雑な気持ちですが、申合せ(リハーサル)は明後日木曜日。そろそろ『志賀』に集中して稽古して、神様力を高めたいと思います。


能『志賀』を舞います(4月20日土曜日・五雲会・宝生能楽堂)

来たる4月20日(土)五雲会(宝生能楽堂)にて、能『志賀』を舞います。

『志賀』は、宝生流のみならず、他流でも稀曲のようですので、ぜひご高覧頂きたいと思います。

『高砂』『弓八幡』『養老』などと同様の本脇能。この曲も本脇能の常道を外れず、前シテは尉(老人)で、若い男(ツレ)を伴って登場。後シテは、やはり例にもれず、若い男神の姿で登場し、激しい神舞を舞います。

シテは、六歌仙の一人である、大伴黒主(おおとものくろぬし)が、没後祀られて神格化された、志賀明神。桜満開の志賀山に、颯爽と現れます。

正午開演の最初が『志賀』です。他に、能『巴』今井 基、能『小塩』渡邊 茂人、狂言『文荷』。

番組の詳細は、こちらをご覧ください。

入場料は、一般5,000円、学生2,500円。チケットのお求めは、当ホームページ内【お問い合わせ】または、宝生会(03-3811-4843)まで。

『志賀』を舞うにあたって、先々月に、志賀山の「大伴神社」にお詣りしてまいりました。

(続く)


恒例の素謡会

去る3月31日(土)神谷舞台にて、恒例の「東京涌宝会素謡会」を催しました。上は、『七宝』『鶴亀』の様子。息子と娘にそれぞれシテ、ワキを謡わせ、参加者全員で『七宝』続けて『鶴亀』を無本にて謡いました。

涌宝会では、ベテラン、初心者を問わず、『鶴亀』は無本、と決めております。こうして回数を重ねるうちに、謡本に頼らずとも謡えるようになってくるものです。

 

これは、『草紙洗』の様子。最前列が立衆、2列目がシテ・子方・貫之・ワキです。

 

 

素謡のみ10番程の会。これを、昨年までは私一人で地頭をしていました(予算の都合上です)が、参加者が増え(て予算に少し余裕ができ)た為、今回、辰巳和磨師に半分の曲を謡って頂きました。少し休むことができて、本当に助かりました!

 

終演後は、屋形船を経営する向かいの寿司屋にて懇親会(反省会ではありません)。名古屋・米沢・塩尻・甲府・前橋などの遠方からもご参加頂き、各地交流ができたようで、良い会になりました。

 

年一回の大会とは別に、このような小さい会で細かいご指導もしてまいります。