「渋谷能」第四夜 能『藤戸』

7月26日土曜日、渋谷の東急セルリアンタワー能楽堂にて、Bunkamura30周年記念の「渋谷能」の第四夜が開催され、宝生流の能『藤戸』が上演されます(シテ 高橋 憲正)。

(詳細はこちらをご覧下さい。)

 

私は、僭越ながら地頭(じがしら)を勤めさせて頂きます。

とかく、一般のお客様はシテ、ワキなどの立ち役に目がいくことと思いますが、能1番の成否を分けるのは地頭の仕事なのです。特に宝生流は、地謡に重きを置いており、中でもその統率者の地頭にはシテと同格かそれ以上の力量を求められます。

なんて、自分でハードルを上げているようですが、私の芸人魂を鼓舞しているのです。

 

『藤戸』は、宝生流のみならず、どの流派でも重く扱う曲ですから、ましてやその地頭となると責任重大。まだこの世界では若手と呼ばれてしまう44歳ですが、今出来る力を振り絞って稽古と本番に臨みます。

 

ご来場を、シテの高橋 憲正さんと共に心よりお待ちしております。


求められています

昨日、都営三田線車内にこんな広告が。

 

連絡してみようかな‥。


能『芦刈』を舞います(6月29日土曜日 豊田市能楽堂 「納涼能」)

来週土曜日の6月29日、豊田市能楽堂の「納涼能」にて、能『芦刈』のシテを勤めます。(詳細は、豊田市能楽堂ホームページをご覧下さい。)

 

豊田市能楽堂でシテを舞わせて頂くのは、2年前に能『舎利』を舞わせて頂いてから今回が2回目。宝生流の定式能や、自分が主催の催しではなく、このように能楽堂や自治体からご依頼頂いてシテのお役を頂くというのは、本当に役者冥利に尽きます。有り難いことです。きっと裏には、ご推薦頂いている方がたくさんあってのお引き立てであること充分理解しており、心から感謝し、大事に勤めたいと思います。

 

『芦刈』は、夫婦情愛の物語。貧乏によって図らずも別離してしまった夫婦が難波の里で偶然再会します。

私が演じる男は、零落の末、芦(水生植物のアシ。ヨシとも)を売って糊口を凌ぐ生活。妻は名家の乳母となり出世して輿に乗る身分になっているところへ、男は知らずに、面白く笠尽くしの芸を見せながら芦を売ります。

それと気付いた妻のたっての希望により、男は芦を直接妻の乗った輿に届けようと近づくと、男は妻であることに気付き、我が身を恥じて小屋に隠れてしまいます。

妻と男は、和歌のやり取りによって心を和らげ、再び夫婦となり、男は烏帽子・直垂(武士の正装)を着て、妻とその一行の前で舞を舞い、めでたく都に帰ります。

 

先日の『草紙洗』では、小野小町役でしたので、当然ながら面(おもて。能面のこと)を掛けましたが、今回は零落した若い男役ですから、私にピッタリ!面は掛けずに、素顔で演じます。これを「直面(ひためん)」と称して、自分の顔を面のつもりで扱う心得があります。感情表現を露わにしてはいけないのです。面を掛けるよりもかえって難易度が上がる、と考えることもできます。

 

奥さんの役は、内藤飛能さん。背の高いグラマラスな奥さんです。2年前の『舎利』では、内藤さんは韋駄天、私は韋駄天に退治される足疾鬼(そくしっき)という悪い鬼役。能は本当に色々な曲や役がありますね。

 

豊田市能楽堂は、設備がきれいで、見所(けんしょ。客席)の大きさもちょうど良く、役者の息遣いが感じられる素敵な舞台です。

全指定席。現時点でまだ少しですが席は残っているようです。ぜひお出かけ下さい。チケットのお申し込みは、こちらまで。


源 頼光役を勤めます(6月28日金曜日 夜能 宝生能楽堂)

今月末の「夜能」にて、能『土蜘』の源頼光(みなもとのらいこう)役を勤めます。シテは敬愛する先輩・小倉 伸二郎師。(番組の詳細はこちらをご覧下さい。)

 

この頼光役にはなぜかご縁があり、なんと9回目。シテの土蜘の精との立ち回りで一太刀浴びせますが、蜘蛛の巣を投げかけられて、家来の一人武者に物語りします。

 

9回も同じ役を演じると、さぞやり方が決まっているだろうと思われますが、自分の中では毎回感覚的には変化します。役の手応えや、身体の動く感覚、謡の運びなど。それは、自分自身の身体や芸質が常に変化(進化?後退?)しているからだと思われます。

 

「いつやっても同じようにやれるべき」というような流是というか、昔からの言葉がありますが、それをまるまる鵜呑みにはできません。やはり世阿弥のいう「命には終あり 能には果あるべからず」を信条としたいと思います。

 

まあ、小難しいことは抜きにして、初めて能をご覧になる方も単純に楽しめる曲ですので、ぜひご来場ください!


猫の額1

最近、拙宅の小さな庭を整理して耕し、和の草花を植えています。

 

枝垂紅葉(シダレモミジ)。ゴールデンウィークに娘と日比谷の花屋さんで良いのを見つけました。秋の紅葉が楽しみ。

 

シャガ。能『芦刈』『敦盛』のシテの持ち物です。来週の豊田市能楽堂『芦刈』でも、生花を持ちます。春に白い花を咲かせます。久良岐能舞台の庭園に自生しているのを職員さんから分けて頂きました。

 

石蕗(ツワブキ)。冬に黄色い花を咲かせます。名古屋駅の花屋で見つけ、新幹線で持ち帰りました。カエルの置物がピッタリ。

 

クチナシ。これも名古屋の花屋から。良い香りがします。

 

桔梗(キキョウ)。これも名古屋から。

(続く)


帰宅したら

父の日は、毎年名古屋宝生会定式能の日。今年は能『草紙洗』で小野小町役を勤めていました。

昨日、名東高校と愛知教育大学の稽古をして最終の新幹線で4日ぶりに帰宅すると、寝室に娘からの手紙が。

娘とはすれ違いで、林間学校の真っ最中。帰ったら抱きしめてやろうかな。


能『草紙洗』おかげさまで

昨日は、おかげさまで能『草紙洗』(名古屋宝生会定式能)はなんとか無事舞い勤めました。大勢のお客様のご来場、感謝申し上げます。

 

身に余る大曲で、東京在住のある先輩からはまだ私には早い旨のご忠告をいただきましたが、だからこそ覚悟を持って稽古に精進しました。

 

歌舞伎のように長期公演が出来ず、一期一会のその日一日で消えてしまう舞台芸術。その時々の私の舞台や成長を、ライブでご覧いただけるお客様には本当に感謝いたします。

ご都合がつかず、「また機会がありましたら」とおっしゃっていただくことがよくありますが、同じ曲を一生に2度舞うことは滅多にないことですので、心苦しく思います。

 

次は、12日後の6月29日(土)能『芦刈』を豊田市能楽堂にて舞います。ぜひご来場ください!


能『草紙洗』和久荘太郎 『殺生石・白頭』辰巳満次郎(6月16日名古屋能楽堂)

 

ああ、うかうかしている間に、能『草紙洗』を舞うのは明後日(6月16日日曜日)になってしまいました。

今更ですが、6月16日(日)名古屋宝生会定式能(会場 名古屋能楽堂)にて能『草紙洗』を舞います。ぜひご来場ください。

本当に、宣伝が下手で嫌になります。こんな大曲を舞わせていただくのに、本番が近づいて稽古を積み重ねてくると、どうも宣伝をしたくなくなる、という悪い癖があります。なにかこう、エネルギーが外へ漏れてしまうような、私にしか分からないであろう、不思議な感覚がある為です。しかし、そうも言っていられません。

当日券もご用意がありますので、ぜひお誘いあわせの上ご来場ください!詳細は、上記パンフレットをクリックしてご覧ください。


盛会裏に

昨日、一昨日と、名古屋能楽堂にての涌宝会大会は、おかげさまで盛会裏に無事開催することができました。

ご助演いただいた能楽師の拘束時間が長くて申し訳ない限りですが、総勢30名の錚々たる皆さんは嫌な顔一つせず、私のお弟子さんのために陰日向に力を尽くしていただき、私をはじめ社中皆感謝の気持ちでいっぱいです。

さて肝心の社中の出来は・・・。自画自賛になりますが、皆さん本番が一番良い出来でした。

多少うまくいかなくても、プロになるわけではないのだから、と笑い飛ばして済ませることができる楽しみ方もあり、また、精魂こめて稽古に打ち込み、本番の失敗を次に生かそうという、能楽を「道」と捉えた楽しみ方など、その人のタイプによって色々な楽しみ方ができるのがこの趣味の良いところ。私も、お弟子さんそれぞれのタイプを見極めて、この趣味を長く楽しんでいただけるように日々考えております。

次回は、来年(令和2年)6月6日(土)7日(日)、東京・水道橋の宝生能楽堂にて15周年記念大会として開催いたします。


涌宝会大会開催(6月1日土曜日・2日日曜日)名古屋能楽堂

来る令和元年6月1日(土)2日(日)2日間にわたって、名古屋能楽堂において、「涌宝会大会」を開催いたします。

番組の詳細はこちらをクリックしてダウンロードしてください。

今回14回目を迎える涌宝会大会。涌宝会会員のみならず、他の能楽師のお弟子さんにも数名ご出演いただき、皆様のおかげで盛大な会にしていただきます。

能1番、舞囃子18番、居囃子1番、独調・独鼓8番、素謡7番、連吟3番、仕舞多数。

能は、私の古くからのお弟子さんで、教授嘱託免状(アマチュアながら指導を許される)をお持ちの岡田真理さんによる、能『羽衣 盤渉(ばんしき)』(2日日曜日)。通常の『羽衣』ではなく、「バンシキ」という小書(こがき。特殊演出)を付けさせて頂き、天女の崇高さが増します。

(「小書」は、勝手に演じることが許されず、必ず家元のお許しがいる習い物。宝生流は、他流に比べて小書が少ないのですが、その分小書が付くと位取り(格調)がかなり高くなり、難しくなります。)

私は、1日土曜日に番外舞囃子『当麻(たえま)』を、また2日日曜日には、舞囃子『橋弁慶』の弁慶役にて、小学4年生の根内カレラ君のお相手をさせて頂きます。あくまでも主役は牛若丸役のカレラ君。五条大橋においての牛若丸と弁慶の大立ち回りを、太刀・長刀・水衣などの小道具と装束を使って激しく舞います。

 

入場無料です。お誘いあわせの上ご来場ください!

(場内の録音・撮影は一切禁止です)