あずさ3号

今日は、甲府のお弟子さんの日帰り稽古の為、8時ちょうどのあずさ3号で、私は私はあなたから旅立っています(JASRAC未許諾)。

 

JASRACの潜入調査問題の是非が問われていますが、法律とはいえやり方がちょっと‥。調査員は仕事とはいえ、そのとき、発表会までの長期間、人心をもてあそんでいなかったと言えるでしょうか。この事例に限ったことではなく、どの分野でも、人にものを習う、人にものを指導する、ということを、みんなが深く考えてほしいと思います。

 

能の謡は、当然著作権法が無い時代のものですから(謡本の「版権」とは別)、稽古でも自由に謡って問題ありません(謡本のコピー使用はいけませんよ)。

 

そもそも能草創の室町時代当時、ある座(流派)で作られた能を、他座(他流)の大夫(家元)が、「面白いからウチでもやろう」という場合、想像するに、きちんと挨拶をしに行って台本を頂いたり、ということもあったでしょうが、見覚えで勝手に演じる、ということもあったのでは、などと想像しています。養子縁組の引き出物として曲を譲渡する例は実際にあったようですが。

 

マネされることを「取られた!」(被害者意識)と受け取るか、「名誉」(余裕の上から目線)と受け取るか。これも色々だったのでは。

私も、演能空間のチラシや、私の公式ホームページのデザインなどを真似されてる、と感じることがありますが、真似してもらうだけの価値のあるものを生み出せた(デザイナーさんのお陰ですが)、という自負と誇り、矜恃で、却って「名誉」(当然上から目線で)と感じています。

 

私自身、謡っていて、どう考えてもこれは他曲の「引用」を通り越した「盗作」だろう、と思われる曲が結構な数あります。しかし良い方に考えれば、「パロディ」なのかもしれません。原曲を知っているお客さんが観る(聴く)と、思わず「クスッ」となったり、想像の景色の幅が広がったり、という。

ちょうど、能『頼政』を題材にパロディにした狂言『通円』の関係を、能の中でもやっていたのでは。

 

などと勝手に想像すると、昔は大らかだったなあ、と。妄想は膨らみます。


下申合せ

今日は日帰りで、名東高校の稽古と、名古屋の大学2校の合同稽古の為、始発の新幹線車中です。

 

祝日・平日にかかわらず怒涛のように舞台が連続した7月も無事過ぎ、8月に入って少し余裕ができました。それでも、今月はお役(面装束を付ける立ち役や仕舞など)だけでも3つ(『熊野』ツレ、『清経』ツレ、仕舞『砧 後』)、地謡などの舞台も数多く控えていますので、何より体調管理に気をつけて稽古に励みたいと思います。

 

そして来月に控えた「第6回 和久荘太郎 演能空間」の能『烏帽子折』の稽古も、凜太郎とともに佳境に入ってきて、今月は下申合せを致します。

「下申合せ」という言葉はあまり耳にしないと思います。本番前に一度だけ全体で合わせて確認をするリハーサルを「申合せ」と言いますが、その「申合せ」の前に、更に全員集まって実際に舞台で演じて調整することを「下申合せ」と言います。『道成寺』などの大曲のとき、シテからお願いして集まって頂き、念入りに本番に向けて作り上げていくのです。

今回の『烏帽子折』も、滅多に舞台にかからない曲であることや、当然ながら凜太郎も私も初役、また、各役若手を敢えて揃えましたので、より一層の打ち合わせが必要と判断して、ご出演の皆さんにお願いしました。

 

このようにして作り上げる大曲『烏帽子折』、ぜひご来場下さい!


久良岐ナイト

今日、久良岐能舞台の稽古に行ったら、玄関先にこんなものが!

 

かなりドキッと、たまげました。職員さんに問うと、明後日3日に「久良岐ナイト」が開催されるとのこと。

講談師を招いて怪談を聞き、広大な久良岐公園自体がお化け屋敷になるそうで、その準備。驚かさないでよ(ご興味のある方は、久良岐能舞台045-761-3854まで)。

しかし、久良岐能舞台の職員さんも、いつも面白いことをよくお考えになります。

 

今日は、新しい受講生の方がお入りになって嬉しい!(けど、きっと驚かれたことでしょう‥。)


能『芦刈』 能評 (7月29日中日新聞夕刊)

昨日(7月29日月曜日)の中日新聞夕刊に、先月6月29日土曜日 豊田市能楽堂「納涼能」にて勤めさせていただいた能『芦刈』の評が掲載されました。

良いことばかり書いていただいてお恥ずかしい限りですが、ご一読ください。


合宿

今日から名東高校能楽研究部の合宿です。毎年夏休み恒例行事で、合宿所に泊まって終日稽古尽くし。普段見られない部員たちの顔が見られます(私もそう思われているかも)。

夜は花火、朝は蝮が出そうな池の周りを散歩。

3食は食堂で各自ご飯を盛り付け、手を合わせていただきます。

もうこの子たちも、私の子供世代になってきました。可愛いもんです。


渋谷能、有難うございました

昨日の渋谷能 第4夜 能『藤戸』(シテ 高橋 憲正)、おかげさまでなんとか無事済みました。大勢のご来場及びクラウドファウンディングなどのご支援、誠に有難うございました。

地頭として、この曲に思うところをぶつけましたが、思うようにいかなかった面もあり、また今後の舞台に生かしてまいります。

終演後のアフターパーティーにては、お客様の貴重なお声を伺うことができ、大変勉強になりました。

その後は、高橋 憲正氏と2人で、時間を忘れて深夜まで語り合いました。この2人が揃うと、ほとんど能のこと、宝生流のこと、芸のことしか話しません。芸風は全く違うとお互い認識していますが、見ている先、大局は同じ。良い仲間(ライバル)を持つことができました。

 

今日明日は、熱海のMOA美術館能楽堂にて、辰巳満次郎師ご社中の発表会と、新作能『王昭君』(シテ 辰巳満次郎)、という2つの催し。私は、『王昭君』の地頭と、発表会にての能『昭君』(古典の方)の地謡や、一調『三井寺』、仕舞の地謡などを勤めさせていただきます。重要なお役の機会に恵まれて有り難いことです。


第4回 逢の会(名古屋能楽堂)

一昨々日は、五雲会申合せにて能『来殿』地謡の後、「獅子の会」(宝生能楽堂)にて、能『忠信』と舞囃子『安宅 延年ノ舞』の地謡に出演し、その後自宅にてお弟子さんの稽古。

一昨日は、終日甲府のお弟子さんの稽古、

昨日は、朝イチで散髪し、五雲会にて能『来殿』の地謡に出演、合間に能『烏帽子折』の斬組(チャンバラ)の稽古。終演後、来週に控えた能『藤戸』(セルリアンタワー能楽堂)の稽古会。帰宅して、息子の13歳の誕生日パーティー。

そして、本日は、「第4回 逢の会」に出演の為、名古屋に向かっております。私は、能『鉄輪』の地謡と、能上演前の『土蜘』の蜘蛛の巣投げ・装束着け体験レクチャーと、演目インタビューなどを受け持っております。

名古屋能楽堂にて、はや4回目の開催となる「逢の会」。私の学生時代、東京藝大にては1年先輩の衣斐愛さんが主宰する個人演能会で、彼女らしい特色のある催しです。お嬢さんがお2人いらっしゃこともあるからでしょうが、子供に向けた能の普及という目的をはっきりと持って活動しています。

今回、『鉄輪』という、女の強い嫉妬による執念が鬼(生霊)となった、能としては大変生々しい曲を演じられます。女性が演じた場合にこの曲はどうなっていくのか、楽しみでもあり、正直言ってちょっと怖い、という気持ちもあります。しかも、今回は特別に「ろうそく能」。和ろうそくを灯した燭台を舞台や橋掛りの周囲に置いて、舞台照明を落とし、面装束の陰影が付く演出。『鉄輪』の謡の文句そのままに「身の毛よだって恐ろしや」。こういうときは、何者かが立ち現れる瞬間があります。


掛け持ちお許しください

今月7月は、先週の学校巡回公演が長期間だったことや、特に舞台出演とそれに伴う申合せ(リハーサル)が多く重なり、休みが一日も取れない月となりました。

休み、といっても、自分の稽古や息子の稽古、はたまた事務作業に時間を取りますので、休んでいるのかいないのか。私としては何の苦痛もありませんが。

「身体は大丈夫か」、と皆さまご心配いただきますが、食事と睡眠だけはおろそかにしていませんので、大丈夫。毎日元気いっぱいに動いております。「家庭も大事に」とおっしゃっていただきますが、それは少し耳の痛いところ…。最低限、朝食だけは家族そろって、と心掛けています。8月には挽回しようかな…。

市川海老蔵丈の歌舞伎座休演について、巷間(ネット・SNS・報道など)色々なご意見が当然あるようですが、心から心配します。あの方のお忙しさは私など比ぶべくもありませんが。歌舞伎の25日間連日興行はいつも想像するに大変なことと思っております。ちょうど厄年にあたるのではないでしょうか。これをきっかけにきっとお考えになることでしょう。

能は連日興行はせず(というよりも、能の興行のシステム上「できない」のが本音)、一期一会をうたい文句にその日一日にかけます。が、果たして、全ての能役者が(私も含めて)、歌舞伎役者の25日分のエネルギー同等を一日にぶつけているか、は疑問です。

 

ほとんどの能役者は、役者業だけでは生活が成り立ちませんので、師匠業を兼ね、趣味でなさるお弟子さんのお稽古をして、お月謝をいただいて生活しています。つまり、お弟子さんに支えられているのです。そのことは、妻とともに、我が家の子供たちには幼少期から常に言い聞かせております。ですから、舞台も大事ですが、お弟子さんのお稽古も大事。よって、先約優先の原則も同じはずなのですが、どうしても急な合わせ稽古やリハーサル、代役などで、お弟子さんとの先約を反故にしてしまうことがあり、大変申し訳なく思っております。

昨日は、自宅稽古の後、「としま能(東京芸術劇場)」に出演の後帰宅してまた自宅稽古。

本日は、自宅稽古の後、「獅子の会(宝生能楽堂)」の『安宅 延年之舞』の申合せ(宝生能楽堂)をして、帰宅しまた稽古、夜は「渋谷能(セルリアンタワー能楽堂)」の『藤戸』の事前講座(講師)。

明日も、自宅稽古の合間に、新作能『王昭君』(地頭)の為、宝生能楽堂にて申合せ。

 

このように、今月は稽古日が取れないために、舞台や申合せの前後に自宅にてのお弟子さんのお稽古をさせて頂いております。お弟子さんには無理を申しますがお許しください。


学校巡回公演より

昨日はいわき市の中学校。今回、集中力が高い生徒さん達で、能を観る気迫が伝わり、私も大変やり甲斐がありました。

 

『黒塚』の藁屋の作り物。幕内にて。

 

今回も体育館に素晴らしい舞台が!

 

体験コーナーの設営。

 

能と狂言の装束の展示。


謡跡『黒塚』2

鬼婆の石像。朽ち果てているのが余計に怖い。

 

 

圧巻はこれ!鬼婆が隠れ棲んだ岩屋。

真下から。なぜこれが落ちてこないのでしょうか

 

 

御朱印を頂いたので、『黒塚』の謡本に挟んでおきます。

 

このように、執心が強い鬼や、幽霊、神様の役を勤めるときは、出来る限りゆかりの地にお参りするようにしています。「お役をさせていただきます」と。