6月17日(日)名古屋宝生会定式能『是界』
来る6月17日(日)名古屋宝生会定式能にて、能『是界(ぜがい)』のシテを勤めます。
中国の天狗の首領・是界坊(ぜがいぼう・シテ)と日本の天狗の首領・太郎坊(ツレ)が相談して、比叡山を襲いますが、比叡山の高僧(ワキ)が不動明王をはじめとした諸天をして退治せしめ、翼ももげて地に落ち、もう二度と来ないと約束してほうほうの体で逃げ帰る、という、まるで童話のようなお話。
前半は、天狗の仮の姿である山伏の出で立ちで、先日の『小袖曾我』に引き続き、直面(ひためん・能面をかけずに素顔を能面として扱うこと)。
後半は、大天狗の出で立ち。「大べし見」という、大きな口を一文字に結んだ大ぶりの面をかけて、大天狗を表します。
「天狗物」と言われる一群のシテは、『鞍馬天狗』を除いて、概して大真面目な半面間抜けな感じがして、私はそこにとても愛嬌を感じて、大好きです。
ただ、天狗物というのは、おいそれと出来るものではありません。
先人の言う、「強さの中に優しさを」と言うのは、今の私にはまだ到底出来かねるでしょうが、稽古を重ねるうちに、少しでもそれがわかってくるのかもしれません。
(つづく)