舞台復帰
先月3月23日からの休業宣言から約1か月が経ち、先日4月26日(日)、面を掛けた能役者としての舞台復帰を果たしました。しかも新作能『オセロ』のデズデモーナ役で。
今から約1か月余り前の3月24日に声帯ポリープ切除手術を受け、10日間の沈黙療法を経て徐々にリハビリをしておりました。
その後、時間制限付きの発声許可が出ましたが、日常会話のみの許可で、本業の「謡」の発声許可が出たのは手術後ちょうど3週間後の4月15日。この日は、自宅舞台にて終日お弟子さんの稽古日にしており、おそるおそる、加減しながら、お弟子さんの稽古というよりも、自分の発声練習のようで、なんだか申し訳ないようでした。
ガサガサ声で、まだ感覚が掴めなくて、一抹の不安がよぎりましたが、その後、日ごとに快復。気持ち良いように謡の声が出始めました。
現在、まだ完全なる本調子ではありませんが、毎日謡うのが楽しみになっています。
自らの声の調子を測るのに、手術前から謡っているのが『羽衣』のキリ(「東遊びの数々に」~最後)。音高の幅が広いのと、息を出し続けて歌わなければならないので、自分のその時々の調子を測るのに最適だと思います。手術当日の朝、手術着に着替えてから病室で謡ったのですが、その時よりも、今は明らかに楽に発声出来ています。
特に、宝生流が多用する「カン(甲)グリ」という最高音を出すのに、無理な圧力が必要無くなりました。
今後の主な舞台出演予定は、
色々な会で珍しい曲の地謡の役が続き、5月中旬には伽羅の会(笛方・八反田智子師社中発表会)にて舞囃子『海人』を舞い、名古屋での新しい企画の「謡講」の催しにて素謡『藤』を独吟でまるまる一曲、そして6月6日(土)には、10周年になる私の社中の記念発表会があり、番外にて一調『東北』(大鼓・亀井広忠)を勤め、6月20日には能『八島』のシテを勤めます。その一週間後には佳名会・亀広会(亀井忠雄師・広忠師社中会)にても舞囃子・地謡を勤め、7月には家元に一週間随行してイタリア・ミラノ万博ジャパンデーの出演。
これだけ並べてみたのは、別に自慢でも不満でもなくて、舞台復帰後、こんなに立て続けに舞台の機会があって、心から嬉しく思っているのです。
しかし、考えるにつけても、このタイミングで手術を受けて、本当に良かった。
また一から頑張ります!