学生さん

昨日、今日の2日間にわたって、全国宝生流能楽連盟(全宝連)という、宝生流の能楽学生サークルの全国組織の発表会が京都・金剛能楽堂にて開催され、学生さんが日頃の稽古の成果を発表なさいました。

昨日の1日目は、残念ながら豊田で能『芦刈』を舞った為に拝見できませんでしたが、本日は、指導している学校のほか、他大学の発表もほとんど見ることができました。

中でも気になった、仕舞『桜川』を舞ったある初対面の学生さんに後で声を掛け、「あなたは能をよく観ているでしょう」と聞いたら、「はい」と。やはり。

その『桜川』には、いわゆる現代的な思考の「こう見せたい」というあからさまな意図や、奇をてらったようなところが無いのに、ふっと景色が見えました。それ以前に身体の運用法(使い方)もよく人の舞台を見て研究しているな、と感じました。

玄人、素人の別なく、能の上達には、舞台を数多く見ることが欠かせません。「能」有っての「仕舞」、「能」有っての「素謡」です。能をよく観ている方の舞台は何かが違うのですぐに分かります。

上手でない舞台も勉強になります(失礼)。何か得るところが必ずあります。稽古だけではなかなか上達は望めません。

この学生さんの指導者も良いのでしょう。この学生さんが失礼ながら作品だとすると、作者の「丁寧に」という思いが伝わりました。料理でも、家具でも、書画でも同じことではないでしょうか。

私としては、色々考えさせられる学生さんの発表会でした。