涌宝会発表会 今後の展望

本当ならば、昨日と今日は、宝生能楽堂にて「涌宝会15周年記念大会」という、私のお弟子さんの晴れ舞台のはずでしたが、残念ながらこの新型コロナ禍の為、5月初旬に中止としました。

 

延期にせず、中止にしたのは、今回能1番に一調・独調約10番、舞囃子約20番、などなどを2日間にわたって上演し、申し合せ(リハーサル)を含めると都合3日間能役者を拘束する大きな催しのため、恰もパズルのように出演時間を考慮して大勢の能役者とお弟子さんを配役してあり、同規模で3日間の催しを本年中に開催することは、既に舞台自体も空いていないことと、能役者を確保することが難しいことは自明でした。

また、「来年の同時期に延期」という選択肢も当然あるかと思いますが、それは私の考えでは「延期」とは言えません。同内容でこれからまた1年間お弟子さんのモチベーションの維持は、お互いきついものがあります。

それに今回は15周年の記念大会。「15周年」は二度と無いのです。

 

開催可否の判断も、本当にギリギリまで待とうと考えており、既にお弟子さん全員宛には、開催日に緊急事態宣言期間が重ならなければ何としても開催する旨は周知してありました。もし当日欠番(お弟子さんがお休み)の場合は、能・舞囃子・一調・独調に関しては全て私が代役をして、映像のDVDをプレゼントする旨もお伝えしてありました。

それらに対しての反対意見はほとんどなく(というよりも、一度決めたことや言い出したことは絶対に曲げない私の性格を皆さんよくご存知なので、私に言ってもムダ、ということかもしれません‥)、大変協力的でしたが、内心ヤキモキされたことでしょう。

 

今日はよく晴れて発表会開催には良い日でしたが、やはり中止にして良かったようです。

 

これまでは、東京(宝生能楽堂)と名古屋(名古屋能楽堂)を毎年交互に開催してきましたが、今後は、毎年両地で開催致します。次は、2月28日(日)名古屋能楽堂。まだコロナ禍は収まっていない可能性が高いので、万が一のことがあると再び物心様々損害が大きいので、ご助演いただくシテ方の能楽師はお若い方数名で最小限に留めて、現時点では「独調会」にての開催を考えております。そうなると、お弟子さんは能・舞囃子・仕舞などの発表は無く、全員が独調(または一調)という、お囃子との一対一の発表となり、これもまた一興。

実は、この度のコロナ禍が始まる半年前から偶々企画していたことですが、そうすれば楽屋にての三密を避けることができます。

 

以上のことは未定ですが、現時点での展望です。