明日(11月19日日曜日)名古屋宝生会定式能
明日(11月19日日曜日)、名古屋能楽堂にて、今年最後の名古屋宝生会定式能が催されます。
12時半からの事前解説を、今回は私が担当致します。
13時から、
能『小督』内藤飛能
狂言『柑子』鹿島俊裕、佐藤友彦
仕舞『井筒』玉井博子、『三井寺』竹内澄子
能『黒塚 白頭』宝生和英
私自身は、最初の解説と、能2番の地謡及び仕舞2番の地謡を勤めます。
当日いきなりのご来場も、大歓迎です。
お問い合わせこちらまで。
神戸と京都
本日は、神戸と京都でそれぞれ催しの為、新幹線にて移動中です。
六甲学院創立80周年記念の催しにて、新作能『復活のキリスト』を、先ごろのイタリア公演以来の再演。シテはもちろん宝生和英宗家、やはり私はマグダラのマリア役を勤めます。
そして、終演後、急ぎ京都に向かい、有斐斎 弘道館にて、「宗一郎 能あそび」に出演致します。同世代の観世流シテ方・林宗一郎師からお招き頂いた、興味深い催し。どんなことになるのか、楽しみです。
この京都にての「宗一郎能あそび」と、先日お知らせした、明日の東京にての能『松虫』の両方にご来場頂く方もおいでで、心より感謝致します。
能『松虫』を舞います(11月18日土曜日 五雲会 於・宝生能楽堂)
今週土曜日(11月18日)、水道橋・宝生能楽堂にて開催の五雲会にて、能『松虫』を勤めます。
曲名が『松虫』の為、シテは松虫の精だと思われがちですが、そうではなく、若い男の幽霊。深い友情を誓った男性が先立ってしまい、後追い自殺をしてしまった男性が、この世に執心が残って、酒売りの前に現れます。
観る側も、演ずる側も、ちょっとつかみどころのない不思議な曲。執心物ですが、終始秋のしみじみとした風情が、夢幻能のような情感を醸し出します。日本の古典や古代中国の故事の文章を巧みに謡いこみ、秋の夜寒の酒宴の景色が浮かんできます。
お問い合わせ及びチケットのお申し込みは、当ホームページまで。
能『邯鄲』
本日、名古屋宝生会定式能にて、能『邯鄲』を勤めます。
凜太郎が私の夢の中で舞を舞う童子の役。
午前中に申合せ(リハーサル)をして、午後本番です。
昨日、東京の五雲会出演(『祇王』地謡)後、妻と息子と名古屋入りしております。
いざ、出陣!(名古屋能楽堂へ)
怒涛の日々3
前回の続き。
これだけのお役が集中することは、名のある方にとっては日常茶飯事かもしれませんが、私の能楽師人生では初めてのこと。本当に光栄なことで、能が大好きな私にとっては、誠に役者冥利につきます。
お弟子さんにお稽古をお付けするのも私の大事な仕事ですが、本業はやはり自分の舞台。それは私のお弟子さんもよくご理解頂いています。
こんな時ですから、体調管理には最大の注意を払っています。睡眠と食事には妥協しません。当たり前のことですが、これが若いときはできなくて、度々身体を壊してきました。
あとは、筋トレとストレッチ。若いときは、「稽古で身体を作るんだ」などと粋がっていましたが、振り返れば、それも若さに任せていただけ。選手生命を80歳までは保つ目標を持って、日々鍛えています。
さて、こんな、自慢だかなんだかわからない、ストイックな話を聞いて、「こいつ変態だな」と思った方、その通りです。
何が言いたかったかって、
「ブログのご無沙汰はお許し下さい」m(_ _)m
怒涛の日々2
前回の続きです。
『通盛』のツレは、平通盛の妻・小宰相の局役。第一声で夜の鳴門海峡の景色を作り上げなければなりません。他曲には見られない節(メロディー)が数々あり、この役の重要さを表しています。『松風』のツレのように、シテとの同吟が続く、責任ある役で、心して稽古しております。
翌週の『邯鄲』は、夢の中で帝王となり、50年の栄耀栄華を極めて大宮殿で舞を舞いますが、夢から醒めるとただ粟の飯が炊ける束の間のことだった、という、「悟り」と裏腹な「無常感」を伴った名曲。凜太郎は、舞人として、私の夢の中に登場して舞を舞います。
この『邯鄲』が済んだら、食事の間も無く帰京し、翌朝からイタリアへ発ちます。8日間の旅程で、『翁』の千歳を2回と、『復活のキリスト』のマグダラのマリア役1回。全て家元のシテによる相手役で、光栄なことです。
『翁』は、各役とも、1ヶ月乃至7日間の別火精進をして身を清め、肉食・飲酒・女色を避けて臨む、「能にして能にあらず」と云われる神聖な神事の曲。イタリアに行っても、私は残念ながらワインは楽しめません。
『復活のキリスト』(宝生九郎作)は、54年振りの上演となる、宝生流公認の新作能。シテはキリストで、私の勤めるツレは、マグダラのマリア役。今回、家元とご相談しつつ、新たな演出を作りあげていく作業に時間をかけました。
今まで、辰巳満次郎師の数々の新作能では、4曲ほど大事なツレを勤めさせて頂いておりますので、少しその経験が役立っているかもしれません。
6月末に帰国すると、いよいよ演能空間の『自然居士』に専念。人買いから足許を見られて様々な芸を要求されますが、両親の追善のために我が身を売った少女を救わんと、散々に痛ぶられながらも、芸を見せ続けます。舞うことに生き甲斐を感じる私としては、大変やり甲斐のある曲。
同時上演の凜太郎の能『花月』も、『自然居士』同様、芸づくしで、お客様を楽しませます。
怒涛の日々1
ブログの更新が滞るのには、私にしかわからない理由がありますので、いい訳にしかなりません(まあ、いつものことですね)。
去る5月中旬には、能『巴』を勤め、その後、涌宝会大会(私の社中発表会)の為に、お弟子さんの最後の詰めの稽古。
涌宝会大会にては、私自身も舞囃子『氷室』と『巻絹』を勤めました。
それに加えて、下記の役を並行して稽古してきました。
明日から7月にかけて、更に以下の怒涛の日々が続きます。
◆6月11日(日)能『通盛』ツレ(月並能 宝生能楽堂)
◆6月18日(日)能『邯鄲』シテ(名古屋宝生会定式能 名古屋能楽堂)
◆6月21日(水)『翁』千歳(イタリア・ヴィチェンツァ古典フェスティバル オリンピア劇場)
◆6月23日(金)『翁』千歳(イタリア・バチカン勧進能1日目 カンチェレリア宮殿)
◆6月24日(土)復曲能『復活のキリスト』マグダラのマリア役(同上 2日目)
◆7月23日(日)能『自然居士』(第4回 演能空間 宝生能楽堂)
名古屋の『邯鄲』の子方は凜太郎で、演能空間の『自然居士』の他のもう1番は、凜太郎のシテによる能『花月』です。
【つづく】
能『巴』(平成29年5月20日土曜日 五雲会)
来月(平成29年5月)の20日土曜日、宝生能楽堂にて開催の「五雲会」にて、能『巴』を勤めます。
女武者・巴御前がシテ(主役)の能。
信濃の国・木曽から琵琶湖畔にたどり着いた僧が、涙を流して神に参る女性(前シテ)に出会います。僧と同じ出身の木曽(源)義仲を祀る神であることを伝え、共に手を合わせます。
やがて日も暮れはじめ、実は自分は義仲の愛妾・巴御前の幽霊であることをほのめかして、草陰に消え失せます(中入)。
僧が夜もすがら読経していると、在りし日の巴御前が長刀をかついだ甲冑姿で現れ、女ゆえ義仲の最期まで供を出来なかった恨みで成仏出来ないことを語ります。僧の前で、敗戦や自害した義仲との別れのさまを語り、回向を頼んで消え失せます。
私は、『巴』は初役。「女修羅」と言われ、後シテは長刀を振り回して一騎当千の様を舞うのですが、荒々しくなってはいけないが、女武者としての強さもなければいけない、誠に神経を使う曲だと、改めて感じます。
節付け(作曲)や詞章が大変良い佳作。心して勤めます。
『巴』は、13時55分~15時10分の予定です。五雲会は、正午開演、能『養老』、狂言『箕』、能『巴』、能『羽衣』、狂言『蝸牛』、能『石橋』の順です。
入場料は、全自由席で5,000円(学生2,500円)。
チケットのお求め、お問い合わせはこちらまで。
「芦の会」仕舞『西王母』(平成29年4月23日日曜日)
今月(平成29年4月)23日(日)午後5時開演、宝生能楽堂にて、「芦の会」が催されます。
(上記チラシをクリックすると拡大表示されます)
宝生流職分・柏山聡子氏主宰の個人演能会の、記念すべき第1回。「花めぐり」の副題が付き、様々な花をテーマにした曲が上演され、ご自身は、大曲『石橋(しゃっきょう)』の披き(ひらき。大曲を初演すること)。
この催しにて、凜太郎が仕舞『西王母(せいおうぼ)』を舞わせて頂きます。
(私は、地謡で出演いたします・・・)
玄人会にて子方に仕舞を舞わせて頂けるとは、何たる光栄。本人も、玄人の一員として自覚しつつ稽古に励んでおります。
この日の為に、新しい紋付・袴も仕立てました。
皆さま、是非お運びください!