名能連(名古屋学生能楽連盟)8月例会

昨日、豊田市能楽堂にて、名古屋学生能楽連盟が主催の「8月例会」という、学生による学生の為の発表会が開催され、盛会裏でした。

 

名古屋地区の大学サークルが流派を超えて結束し、1つの催しを作り上げます。企画から宣伝チラシ・番組作成、会場との折衝、学生同士の打合せなどなど、たくさんの仕事をこなしてみんなで作り上げた経験は、近い将来の大きな財産になることでしょう。

また、今はSNSの時代ですから、連携も取りやすいのでしょう、関東の大学能楽サークルの方も応援に駆けつけてくれたようです。

 

私は、愛知教育大学能楽部を昨年より指導しており、またそこと連携の深い愛知県立大学能楽部の指導もお手伝いしておりますので、監督に参りました。 

また、私の母校でもあり、20年近く指導している名東高校能楽研究部も、今回「招待出演」という形で声がかかり、大学生に混じって高校生が仕舞7番と素囃子「男舞」を演じました。

名東高校の卒業生や顧問もご来場頂き、縦の繋がりがうまく作用していることを感じます。

 

宝生流の学生の数を数えたら、3校合わせてなんと27人!これが将来の宝生流にとって大きな力になっていくことを切望し、このともしびを大事に育てていきたいと思います。

皆さまのご支援、ご指導のほど、今後とも何卒よろしくお願い致します。

 

次回は、2月8日土曜日に「2月例会」という名で、会場は名古屋能楽堂にて開催されます。

愛知県立大学能楽部は、能『羽衣』に挑戦。シテはもちろんのこと、地謡も全て学生で。

愛知教育大学は、舞囃子『高砂』。これも全て学生で。

皆さまご予定下さい!

 


目の手術②

(続き)

舞台でお役(装束を着ける立ち役)のとき、10代から20代前半はコンタクトレンズにしていたのですが、直面(ひためん。自分の素顔を面とする心得)ではまばたきが減ることや、空調の風で目が乾燥することもあり、何度か舞台上に落としてしまったのです。ある時は面の中に落としたり‥。

それ以来、舞台の時は裸眼と決めています。4本の柱さえ見えれば能は舞えるのです。

しかし、薪能やホールの能の時、また昨今流行りの「ろうそく能」の時などは、柱さえも見づらいほど暗いことがありますので、コンタクトレンズを入れます。

また、後見のときは、舞台上の正確な位置に作り物を置いたり、舞っている役者の裾が乱れていないか、などをいち早く察知する為に、コンタクトレンズにします。

しかし、物着(「ものぎ」又は「ものきせ」。舞台上で役者の装束を着け替える)があるときは、最近老眼が進んで、遠くを見えるようにすると近くが見えない!装束を着けるときに糸針を使った細かい作業を手早くしますが、これが見づらい。もうどうしたら良いのか。

 

レーシック手術、大変興味ありますが、どうも怖いですね。視力が元に戻ってしまった人の話も聞きました。もう少し実験台(失礼)の話を聞いてからにします。

 

見えない方が良いこともあります。最近、シテのときもたまに実験的にコンタクトレンズを入れますが、知ってる顔を見つけると集中が削がれることがあります。あられもない姿で口を開いて寝てる方とか‥。


目の手術①

今日は、掛川にての催し(私は能『黒塚 白頭』の地謡)の為、名古屋からの新幹線車中です。

 

先日、あるお弟子さんから「目の手術をしたんですか?」と言われて、全く意味が分からず思考停止してしまいました。

ここである記憶が蘇ってきました。

 

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中学2年生のお盆、早朝4時の真っ暗闇のなか、魚釣りの為に釣竿を肩にして、ミミズの入った缶を左手に持ったまま片手運転でドロップハンドルの自転車にまたがって友達と待ち合わせの池に向かう途中、ある喫茶店(同じクラスの女の子のお宅)の駐車場をすり抜けたとき、目の高さに張った鎖に気付かずに突っ込み、大転倒して、ミミズの缶を道路にブチまけ、身体は受け身をとったので怪我は無く、しかし、なぜか涙が止めどなく流れ出る。おかしいなあと思いつつ、ミミズを拾い集めて、気を取り直して道を急ぎました。

池に着き、友人に笑顔で「オハヨー」。その瞬間、みんなが「ギャー!!」と絶叫。私の目から、涙ではなく、血が流れ出ていたのです。

幸い、待っていたかのように池の近くに眼科が有り(これも同じクラスの女の子のお宅)、みんなが眼科の先生を叩き起こしてくれて(大迷惑)診てもらうことができました。

視力が少し低下して、傷が残ったくらいで済みましたが、今考えると、本当に両親には心配を掛けたなあ、と(私の中学生から高校生の折の所業、これくらいまだまだ序の口です)。子供を持ってこそ、親の気持ちが親身にわかるのです。折しもお盆。感謝。

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で(いきなり現実)、「手術したのか」とお弟子さんに聞かれて、昔を瞬時に思い出して、私の右目の傷のことを言われたのかと思いましたが、「いえ、今日は先生メガネを掛けてないから」と。

ああ、レーシック手術のことか!「いえいえ、やっていません。今日はコンタクトレンズです。」

そう、最近あまりの暑さで汗を拭く回数が多く、その度にメガネを掛け外しするのが煩わしく、また鼻パットが当たるところが少し炎症を起こしたりするので、コンタクトレンズにしてみているのです。

自分では全く意識していませんが、私は「メガネを掛けた人」、と認識されているのですね。

(続く)


岡崎の稽古(花朋会敷舞台)

昨日は1日休みが取れて、カーシェアにて日帰りドライブ。東名高速を東に走って、アウトレットなどに行き帰ってきました。お盆休みの始まりの割にはそこまでひどい渋滞は無く、家族でリフレッシュ。

 

今日は岡崎のお弟子さんの稽古の為、新幹線車中です。

岡崎の稽古は、約15年前に始めた当初、お弟子さんは3人のみ。不思議に、1人おやめになると1人お入りになる、というのが10年ほど続いて、月2回の稽古に行くたびに赤字を抱えていましたが、継続は力、その後少ししずつ増えて、現在は常時10人位はお越し頂くまでになりました。名古屋の桜山にての稽古と、両方に、月4回お越し頂く奇特な方もいらっしゃいます。

稽古場は、花朋会敷舞台という、本格的な能舞台。見所(けんしょ。客席のこと)も広く、年末には毎年、持ち主の方が個人演能会を催していらっしゃいます。

まだまだ人数に余裕はありますので、ご興味がおありの方はご遠慮なくお問い合わせの上、ご見学にお越しください。お問い合わせは、当ホームページ内「お問い合わせ」まで。


あずさ3号

今日は、甲府のお弟子さんの日帰り稽古の為、8時ちょうどのあずさ3号で、私は私はあなたから旅立っています(JASRAC未許諾)。

 

JASRACの潜入調査問題の是非が問われていますが、法律とはいえやり方がちょっと‥。調査員は仕事とはいえ、そのとき、発表会までの長期間、人心をもてあそんでいなかったと言えるでしょうか。この事例に限ったことではなく、どの分野でも、人にものを習う、人にものを指導する、ということを、みんなが深く考えてほしいと思います。

 

能の謡は、当然著作権法が無い時代のものですから(謡本の「版権」とは別)、稽古でも自由に謡って問題ありません(謡本のコピー使用はいけませんよ)。

 

そもそも能草創の室町時代当時、ある座(流派)で作られた能を、他座(他流)の大夫(家元)が、「面白いからウチでもやろう」という場合、想像するに、きちんと挨拶をしに行って台本を頂いたり、ということもあったでしょうが、見覚えで勝手に演じる、ということもあったのでは、などと想像しています。養子縁組の引き出物として曲を譲渡する例は実際にあったようですが。

 

マネされることを「取られた!」(被害者意識)と受け取るか、「名誉」(余裕の上から目線)と受け取るか。これも色々だったのでは。

私も、演能空間のチラシや、私の公式ホームページのデザインなどを真似されてる、と感じることがありますが、真似してもらうだけの価値のあるものを生み出せた(デザイナーさんのお陰ですが)、という自負と誇り、矜恃で、却って「名誉」(当然上から目線で)と感じています。

 

私自身、謡っていて、どう考えてもこれは他曲の「引用」を通り越した「盗作」だろう、と思われる曲が結構な数あります。しかし良い方に考えれば、「パロディ」なのかもしれません。原曲を知っているお客さんが観る(聴く)と、思わず「クスッ」となったり、想像の景色の幅が広がったり、という。

ちょうど、能『頼政』を題材にパロディにした狂言『通円』の関係を、能の中でもやっていたのでは。

 

などと勝手に想像すると、昔は大らかだったなあ、と。妄想は膨らみます。


下申合せ

今日は日帰りで、名東高校の稽古と、名古屋の大学2校の合同稽古の為、始発の新幹線車中です。

 

祝日・平日にかかわらず怒涛のように舞台が連続した7月も無事過ぎ、8月に入って少し余裕ができました。それでも、今月はお役(面装束を付ける立ち役や仕舞など)だけでも3つ(『熊野』ツレ、『清経』ツレ、仕舞『砧 後』)、地謡などの舞台も数多く控えていますので、何より体調管理に気をつけて稽古に励みたいと思います。

 

そして来月に控えた「第6回 和久荘太郎 演能空間」の能『烏帽子折』の稽古も、凜太郎とともに佳境に入ってきて、今月は下申合せを致します。

「下申合せ」という言葉はあまり耳にしないと思います。本番前に一度だけ全体で合わせて確認をするリハーサルを「申合せ」と言いますが、その「申合せ」の前に、更に全員集まって実際に舞台で演じて調整することを「下申合せ」と言います。『道成寺』などの大曲のとき、シテからお願いして集まって頂き、念入りに本番に向けて作り上げていくのです。

今回の『烏帽子折』も、滅多に舞台にかからない曲であることや、当然ながら凜太郎も私も初役、また、各役若手を敢えて揃えましたので、より一層の打ち合わせが必要と判断して、ご出演の皆さんにお願いしました。

 

このようにして作り上げる大曲『烏帽子折』、ぜひご来場下さい!


久良岐ナイト

今日、久良岐能舞台の稽古に行ったら、玄関先にこんなものが!

 

かなりドキッと、たまげました。職員さんに問うと、明後日3日に「久良岐ナイト」が開催されるとのこと。

講談師を招いて怪談を聞き、広大な久良岐公園自体がお化け屋敷になるそうで、その準備。驚かさないでよ(ご興味のある方は、久良岐能舞台045-761-3854まで)。

しかし、久良岐能舞台の職員さんも、いつも面白いことをよくお考えになります。

 

今日は、新しい受講生の方がお入りになって嬉しい!(けど、きっと驚かれたことでしょう‥。)