月夜に

明日の9月24日(月)は、旧暦8月15日、中秋の名月。

 

能『小督』『三井寺』は正にその日の出来事。

「月」に焦点を当てた曲は数多く、『融』『井筒』『松風』などはその代表。来週の演能空間の『天鼓』も、後シテの天鼓少年の幽霊は月下に現れます。古来、日本人は月をことのほか愛でてきました。

 

先日、名古屋にての稽古の日程を調整し、カーシェアを使って独りで伊勢参り(二見興玉神社→外宮→猿田彦神社→内宮)をしてきました。「第5回 和久荘太郎 演能空間」の成功祈願です。

その車中のラジオから流れる曲に珍しく心惹かれ、最後まで聴き入ってしまいました。その曲の名は、スガシカオさんの『黄金の月』。ラジオで流れたのはアコースティックバージョンとのこと。

ネットで検索すると、1997年発表のスガシカオさんの2枚目のシングルで、かなりヒットした様子。

思い返せば今から21年前は、私は内弟子修行真っ只中の23歳。19歳で内弟子に入れていただいて以来、全く後輩が入らなかったので、いつまで経っても下っ端で、先輩達の晩御飯をずうっと作っていました。

もちろん、お弟子さんをとることさえまだ許されていない状況で、内弟子業務・雑務の合間を縫って、日夜稽古に明け暮れていました。

 

そのような状況の為、音楽を聴く時間などありません(その頃は、新聞さえも読んでいませんでした)ので、1993年〜2005年辺りのヒット曲に関しては非常に疎いのです。

 

いやしかし良い曲。歌詞が文学的で、しかも聴く人に想像の余地をたくさん残してあります。そう、まるで能が描く世界のよう。だから私の心に響いたのでしょう。

またメロディーラインも、長調なのか短調なのかどっちつかずで抽象的なところが心憎く、想像力を膨らませます。

iTunesでダウンロードして、移動中に聴いています。

月夜におすすめ。