『船弁慶』無事

昨日、佐野登師主催の玄人能にて、凜太郎が通算11回目の『船弁慶』の子方(義経役)を無事勤めさせていただきました。

同じ曲の同じ役を、10回超えて勤めるというのは、歌舞伎役者とは違い、我々にとっては稀なことですので、大変有り難いことです。

この季節のお役は、親子共々体調管理に非常に気を使います。もとより稽古は尽くしていますので、当日の体調を万全にもっていければ、8割成功したようなものだと思っています。

これから、いよいよ能『花月』の稽古に本腰を入れることができます。凜太郎本人も、「早く花月を稽古したい」と言っております。

曲後半の、「地主の曲舞」「鞨鼓」「簓の舞(キリ)」は、昨年、私の社中の発表会にて、舞囃子として勤めさせましたから、身体が覚えているようです。

ややこしいシテ謡も一応は既に覚えていますので、「恋の小歌」「弓の段」など、部分的に稽古し、徐々に全体像を作りあげていきます。

月刊『江戸楽』記事掲載

江戸楽2月号1

江戸楽2月号2

江戸楽2月号3

江戸楽2月号4

月刊『江戸楽』2月号(1月20日発売)に、

 

「特集・伝統芸能 〜次代を担う若手たち〜」

 

と題して取材を受けた記事を、私だけで4ページに亘って掲載して頂きました。

歌舞伎役者の中村歌昇さん・種之助さん兄弟、落語家の林家つる子さん、講談師の神田蘭さんに並んで、能楽師の「若手」として、白羽の矢を立てて頂き、誠に光栄です。

 

おそらく、この5名の中では、私が最年長の42歳。「若手」の一員とするのは違和感を覚える方もいらっしゃることと思います(写真も、こうして比較して見るとやはり一番‥)。

一般社会では、40代と言えば「中堅」でしょうが、能楽界は、まだまだ長老の大先輩が大勢いらっしゃいますから、まだまだ若手。50過ぎてやっと中堅に差し掛かるのでしょう。

 

取材の折、初めに「私は、若手ではありません」と冗談混じりに申したことは、うまくカットして頂いたようです。不遜な意味ではなく、斯界を担っていくにあたって、現在の自身の意気込みとしてのことです。

 

能の家柄でない一般家庭から、なぜこの世界に飛び込んだか、どのように能と出会ったか、修行時代のこと、芸に対する考え方などが、未公開の情報も含めて記事になっています。

 

インタビュアーの方の温厚な人柄に惹かれて、ついつい余計なことまでしゃべって(しゃべらされて)しまいました。

 

一般書店でお求め頂けますが、以下のホームページをご参照下さい。

                             月刊『江戸楽』

 

 

ブログ紹介(竪琴同好会 こもれびの響)

先日の当ブログにて、名東高校能楽研究部が全国大会に出場決定したご報告の投稿をご覧になり、

 

「竪琴同好会  こもれびの響」

 

という、永田みゆきさん主宰のブログにて、リンクを貼って頂きました。上記をクリックしてご覧下さい。

永田さんは、私の高校時代の後輩。昔から芯が強いしっかりした方で、しかし優しさと品性を備えた才媛です。

昨年、彼女が書いた幼児文学を2冊頂き、読みましたが、独特の子供目線でのお話に引き込まれ、薄汚れてしまっている大人目線の私の心を揺さぶりました。

そんな方だから、彼女が奏でる竪琴の音色も、きっと何か心に染み渡るものがあることでしょう。

いつか聴いてみたいものです。

 

全国大会出場決定!

前々回の投稿の、本日の愛知県大会にて、名東高校能楽研究部の全国大会出場が見事決定しました!(と、副部長からたった今電話を頂きました)

やったね!頑張った甲斐があったね!おめでとう!

たぶん、今回はいけるだろうと思っていました。

7月末から始まる、宮城県での全国大会に向けてまた新たに選曲をして、新入生にたくさん入部してもらって、皆で宮城に行き、力いっぱい演奏して、高校の良い思い出を作って下さい。

私も、また教え甲斐があります!

県大会出場(名古屋市立名東高校 能楽研究部)

名東高校能楽研究部

名古屋市立名東高校作法室にて。私の指導する、能楽研究部の面々です。

現在13名(内、男子1名)で、週2回の決まった練習日の他に、朝や放課(名古屋弁で「休み時間」のことを「放課」と言います)に自主的に集まって、明後日(1月14日)に控える県大会の為に、日々稽古に打ち込んでいます。

発表曲は、舞囃子『鞍馬天狗』。シテ(主役の舞い手)、地謡(コーラス隊)、四拍子(笛・小鼓・大鼓・太鼓)全て、高校生のみで演奏します。

このように、高校生のみで舞囃子の演奏が出来る部活動は、日本中探しても(ということは、「世界中」)おそらく名東高校能楽研究部のみだと思います。

指導者として、手前味噌になりますが、レベルもなかなかのものです。

この県大会で、来年度(29年度)の夏に毎年行われる、全国高等学校総合文化祭(29年度は宮城県)への愛知県代表としての選抜が行われます。

 

 

【愛知県高等学校文化連盟  日本音楽発表部門  第31回発表会】

日時:平成29年1月14日(土)13時〜17時

会場:名古屋市青少年文化センター(アートピア ナディアパーク11階)

 

名古屋市立名東高等学校の出番は1番目で、他は箏曲がほとんど。お運び頂き、応援を宜しくお願い致します!

 

新舞台!(桜山舞台)

桜山舞台1

名古屋の新しい稽古場、「桜山舞台」です。

ある涌宝会会員(私のお弟子さんということ)のお一人が、長年名古屋にてあちこちの稽古場を渡り歩いている私の為に、「ひと肌脱ぎます!」と、ご自宅マンションに稽古舞台を作って下さいました。

もちろん、ご自身もお使いになる為。

こんな贅沢なことはなかなか出来ることではありません。素晴らしいですね。

桜山舞台3

ちゃんと階段(きざはし」もあります。

 

桜山舞台2

謡の稽古はこちらで。

 

舞台披き(こけら落とし)は、少し後に極少人数で行う予定です。

明日『草紙洗』子方と朝臣

明日(1月7日)の月並能にて、能『草紙洗』の子方(天皇役)を凜太郎、私は、立衆(朝臣役)の一人を勤めます。

凜太郎は、この子方は、2回目。

私は、この朝臣役は、何と9回目。更に、貫之役は別に3回勤めており、いかにこの曲自体がよくかかる(上演する)かがわかります。

朝臣(立衆)は、謡中心の役で、特に明日の私の位置(立衆3人の内、2人目)は、初めから終わりまで、一度も立つ機会がありません。「立衆」ではなく、「座衆」と呼んで欲しいくらい。

端役ですが、謡で清々しい歌合せの雰囲気を作らなければならない大事な役目を負っている、と、42歳になった今更ながら感じます。

若い時は、ただひたすら、ツレや立衆を勤めることで精一杯なのです。数々のシテを勤めてから、こういう役の大事さを痛感致します。

凜太郎は現在10歳(小学4年生)ですが、最近かなりものをしっかり考えるようになってきて、ちょっと考え過ぎるところが出てきたのか、謡に迷いが出るようです。

稽古は、毎朝欠かさない日課ですから、足りていないということはないのですが、今まで相当な数の様々な役を勤めてきていますから、他の曲の謡が頭をよぎったりして間違いを恐れるようです。

あっけらかんと、何も考えずに謡える時期を過ぎたということで、これを一つ乗り切ってほしいと思います。

私自身も、その手立てを(ここでは申しませんが)色々と凝らしております。

どうぞ今後とも、温かくお見守りください。

NHK-FM 能楽鑑賞『歌占』 (平成28年9月11日)

来月、911()午前6時~655分、NHKFM「能楽鑑賞」にて、宝生流素謡(すうたい)『歌占(うたうら)』が放送されます。

 

『歌占』

シテ・佐野 由於
子方・和久凜太郎
ツレ・小倉 健太郎
地謡・和久 荘太郎 佐野玄宜 木谷哲也

 

ラジオ放送や素謡の場合、子方も大人が勤めるの通常なのですが、今回は、実際の子供の凜太郎が子方を勤めます。
昨日、渋谷のNHKにて無事収録が済んだところです。

放送当日は早朝のことですので、もしご都合宜しければ、予約録音などでお聴き頂けましたら幸いです。

「舞台のお知らせ」更新!

当ホームページ内、「舞台のお知らせ」を更新しました。

いくつか、新しいものが入りました。

来年のお役も、続々と決まってきておりますので、また改めてお知らせいたします。

武蔵野大学能楽資料センター 公開講座(平成28年7月25日)

去る7月25日(月)、武蔵野大学能楽資料センター主催の公開講座、

『能・狂言とゆかりの寺』(全4回)

  「泉涌寺-またまた勃発!仏舎利盗難事件」

にて、三浦裕子氏(武蔵野大学文学部教授・能楽資料センター長)のご依頼により、生駒哲郎氏(武蔵野大学教養教育リサーチセンター研究員・東大史料編纂所・図書部史料情報管理チーム)との対談(実際は、司会役の三浦氏にも入って頂いての鼎談)をさせて頂きました。

能『舎利』をテーマに、仏教学者と能役者の立場から、仏舎利(釈迦の遺骨)に関して思うところを述べました。

なぜ私のような若造に白羽の矢が立ったかというと、本年5月に『舎利』のシテ(足疾鬼役。豊田市能楽堂「さつき能」にて)、12月14日にツレ(韋駄天役。囃子科協議会にて)、と、年に2回も能『舎利』に関わるという、珍しいことが三浦氏の目に留まったから。

 

公開講座20160725①
普段人前では、座りなれないので椅子は苦手です。

公開講座20160725⑤
約330名聴講のお客様。檀上は、左から三浦裕子氏、私、生駒哲郎氏。

公開講座20160725④
韋駄天(ツレ)の持つ、打杖(うちづえ)について。

公開講座20160725③
宝生宗家蔵・舎利珠。この中のどこに牙舎利(げしゃり。釈迦の歯の遺骨)を入れるのか、と生駒氏に質問。

公開講座20160725②
能『舎利』の一節を謡う。

 

私にとっては、身に余る機会を頂き、大変勉強になりました。

人前で話をすることが得意そうに見られるのか、年々このような機会を与えられることが増えているのですが、実は大の苦手。大変な誤解、買い被りです。
正直申して、出来れば逃げたいのですが、これも能楽と宝生流の普及、また、私自身の勉強の為、と自身の心を奮い立たせて挑んでいる次第です。

以下に、本年の武蔵野大学能楽資料センター公開講座の予定を。


平成28年度 武蔵野大学 能楽資料センター公開講座

『能・狂言 ゆかりの寺』

 ◆7/11(月) 延 暦 寺 ― 戦う僧侶・悪鬼退散

   殿田 謙吉 ワキ方宝生流能楽師

   三浦 裕子 本学文学部教授・能楽資料センター長

◆7/25(月) 泉 涌 寺 ― またまた勃発!仏舎利盗難事件

   和久 荘太郎 シテ方宝生流能楽師

   生駒 哲郎  本学教養教育リサーチセンター研究員・東京大学史料編纂所 図書部史料情報管理チーム

◆9/27(火) 西本願寺 ― 生きる歴史的能舞台

   片山 九郎右衛門 シテ方観世流能楽師・公益社団法人京都観世会会長

   金子  健    文化庁文化財部伝統文化課芸能部門文化財調査官・能楽資料センター研究員

◆10/31(月)清 水 寺 ― 祈る心・籠る人びと

   野村  萬 狂言方和泉流能楽師・日本芸術院会員

   池田 英悟 本学講師・能楽資料センター研究員

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時間:午後2時40分~4時10分  開場:午後1時40分

会場:武蔵野キャンパス6号館 雪頂講堂  東京都西東京市新町1-1―20

聴講無料・予約不要

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私以外の能楽師・狂言師は、いずれも超一流の方々。
さすが三浦裕子氏。良い企画の講座です。

私は、恥ずかしい限りでしたが、何とか無事(?)勤めました。