能『祇王』ツレ(6月18日土曜日五雲能能)
6月18日(土)五雲能(会場 宝生能楽堂)にて、能『祇王』のツレを勤めます。
シテは3歳年上の大友 順さん。私の役は曲名にもなっている「祇王御前」。シテの役は「仏御前」。見どころは二人の相舞(あいまい)。舞台を半分ずつ使って同じ舞をシンクロして舞いますが、この曲は完全に息を合わせる必要は無いと、私個人としては考えています。
足数(歩数)などは取り決めますが、その中で個性をお互いが発揮しつつ、拮抗して舞うことでこの曲の面白さが出ると考えます。
『二人静』の相舞だけは、完全に合わせる必要がありますが、この『祇王』や『小袖曽我』は競い合う面があると思います。ちなみに、宝生流では『二人静』は16世家元宝生九郎先生が廃曲とし、現在は上演されません。
面(おもて。能面のこと)を掛けると、並行に動く相手の動きは全く見えませんので、念入りに取り決めて稽古をします。
『祇王』は15時過ぎ開始の予定。五雲能は13時開演、18時前終演。番組の詳細はこちらをクリックしてください。ご来場を心よりお待ちしております。
6月5日(日)「東京涌宝会大会」
ご無沙汰しております。数ヶ月ぶりの投稿です。相変わらず元気にやっておりました。
さて、来たる6月5日(日)宝生能楽堂にて、「東京涌宝会大会」(和久社中発表会)を開催します。
9時半開演、19時半終演予定。
能『巻絹 五段神楽』シテ 松原節、ツレ 足立耀
能『黒塚』シテ 星野尚香
一調『松虫』謡 大庭清司、小鼓 飯田清一
一調『起請文』謡 坂本盛夫、大鼓 亀井広忠
他、舞囃子13番、独調4番、素謡6番、仕舞12番、独吟2番、連吟1番
会の最初
(第一部)に、私は番外仕舞『弱法師』を舞います。
また、第二部の最初に娘に仕舞『八島』を舞わせます。
入場無料(撮影・録音は著作権法に抵触しますので一切禁止です)ですので、お誘い合わせの上、感染防止対策にご協力いただき、是非ともご来場ください。
なにしろ、上演時間は10時間ですから、全部ご覧になることは不可能かと思います。一部をご覧いただければと思います。
『道成寺』おかげさまで①
一昨日の11月21日(日)、「日本全国能楽キャラバン!名古屋宝生会特別公演」にての能『道成寺』、おかげさまで怪我無く無事に舞い勤めることができました。
ご来場いただきましたお客様には、心より感謝申し上げます。
鐘入りが思いのほかうまくいったようで、お客様をはじめとして、楽屋内からもご賞賛いただきました。これは自画自賛ではなく、全く鐘後見である辰巳満次郎師のお力によるものです。様々な秘伝の見計らいと、シテのそのときの精神・体調・疲労状態を見極めて、いざ鐘入りのときは、シテとの呼吸をひとつに合わせて鐘を落とす必要があります。シテの私にとっては、辰巳師に命を預けたも同然。心より信頼して飛び込むことができました。
鐘入りの際に、過去には他流などでは骨折はおろか粉砕骨折や脱臼などで、鐘が上がったあと舞い続けることができなくて、後見が急遽代役するような例もあり、とかく大怪我が付き物なのがこの曲の眼目である「鐘入り」なのです。
12年前の披き(ひらき。初演のこと)のときは、朝倉俊樹師に落としていただき、このときも大変好評をいただきました。これも全き鐘後見の力によるものです。
「鐘入りのときに、鐘の中で頭をしこたま打ち付けると良い鐘入りとなる」ということが古くからまことしやかに言われますが、本当にそうでしょうか。そんなことを鵜呑みにして目標にしてしまったら、100キログラムある鐘の落下に加えて上に飛ぶ力により、失神してしまうか、命も危ういことになりかねません。頭を打たないで高く飛ぶ飛び方があるのです。幸い、2回とも身体の一箇所といえども打つこともありませんでした。(続く)
能『清経』ツレ(豊田市能楽堂 菊月能)
来週土曜日の11月13日、豊田市能楽堂にて、能『清経』のツレを勤めます。
(詳細は上のチラシをクリックしてください)
シテは、髙橋憲正氏。憲正さんは、私の後輩にあたり、先輩がツレをするというのは実は珍しいことなのですが、自ら志願しました。
本当は他の役をご依頼いただいたのですが、このツレは非常に大事なツレだという考えが憲正さんと一致し、「では私にやらせて」と。
ワキ(淡津三郎)役と共にツレ(清経の妻)は、状況・場面設定をしなければなりません。この場面設定が大変重要で、能の出来はここにかかっている、といっても過言ではない、というのが私の考えです。
このツレ、私は若い頃からかなりの回数を勤めています。とにかく辛抱の役でもあり、座っている時間が本当に長く辛いのです。
まだわずかに席は残っているようですので、ご来場を心よりお待ちしております。
能『巻絹』無事済みました
本日、蒲郡にての能『巻絹』無事済みました。
昨年、コロナ禍で延期になった催し。やっとできました。
実は今日から日曜日までが正念場の第一弾。
明日4日は、あまねく会(辰巳満次郎師同門会)申合せ。
5日は、芝宝会(佐野登師同門会)申合せ後、国立能楽堂に直ぐ向かい、新作能『鷹姫』の申合せと本番。
6日は、芝宝会本番
7日は、あまねく会申合せ
これから毎週金曜日から日曜日は、12月の初旬まで連日舞台が続きます。
次の大事な役は、来週土曜日11月13日の能『清経』のツレ。その間も、能『道成寺』と『山姥』を並行して稽古していきます。とりあえず今日『巻絹』が済んだので、並行して稽古するものが一つ減りました。
体調に気を付けてはりきってまいります。
2022年宝生会カレンダー
2022年の、宝生会発行のカレンダーの表紙に、本年1月に私が勤めた『翁』が採用されました。(詳しくは上記チラシをクリックしてください)
お求めは、わんや書店(03−3263−6771)まで。
能『道成寺』再演
本年11月21日(日)能『道成寺』を12年ぶりに再演させていただきます。
「日本全国能楽キャラバン!名古屋宝生会特別公演」(会場 名古屋能楽堂)にて。他に、能『鷺』衣斐正宜、舞囃子『野守』内藤飛能、仕舞『鶴亀 曲』佐藤耕司、仕舞『自然居士』玉井博祜、『采女キリ』衣斐愛、狂言『杭か人か』。
現在、S席、C席、学生席は完売しています。A席、B席はまだ少し余裕があります。
チケットのお申し込みは、名古屋宝生会まで。
ろうそく能 無事終演
一昨日、久良岐能舞台にてのろうそく能『通小町』、無事終演しました。
庭園のライトアップなどの演出にも、皆さんお喜び頂けたようです。
下記をクリックして様子をご覧ください。
次回のシテは11月3日(水祝)蒲郡にての能『巻絹』です。
明日は能『通小町』(久良岐能舞台「ろうそく能」)
本日は、女流能申し合わせにて能『経政』の地謡を謡い、国立能楽堂に急ぎ移動して新作能『鷹姫』の稽古に途中から参加。
初めて「岩(コロス)役」の面を皆が掛けて見て、被り物も被ってみて、いわゆる「衣装合わせ」もしました。
どのような格好になるかは、11月5日(金)の本番をご覧いただいてのお楽しみ。
明日は、いよいよ「ろうそく能『通小町』」(久良岐能舞台)です。
チケットは完売しており、当日券も販売しないとのこと、ご了承ください。
『道成寺』下申合せ
本日は、名古屋能楽堂にて『道成寺』の下申合せをしました。
大鼓・小鼓それぞれの一調の箇所のみ。「一調(いっちょう)」とは、シテと囃子の一騎打ちのようなもの。
『道成寺』では、シテが烏帽子を着け(物着「ものぎ」といいます)て橋掛りの一の松(舞台に一番近い松の前)へ行き、舞台の鐘を見込み、大鼓の裂帛の掛け声に引かれて舞台に入ってきます。これが大鼓の一調。大鼓は5流派ありますが、今回お相手いただく石井流のみ、かなり特殊な手組を打つので、下申合せをお願いしました。きっと、本番一週間前の申合せでは、東京から来た宝生流の能楽師は皆、かなりの特殊さに驚かれることと思います。
大鼓のお相手は、河村裕一郎さん。お父様の河村眞之介師にも監督いただき、下申合せを致しました。
さて、小鼓の一調は「乱拍子(らんびょうし)」といって、大鼓の一調の後に控えた、これもお互い大変な気合いを必要とするもの。紀州・道成寺の62段の石段を一段一段上がる所作に由来する、と言われています。
小鼓の裂帛の掛け声と気合いと拮抗するようにシテも息の詰め開きをしながら、左右両方の爪先をそれぞれ外に動かしたり、強い足拍子を踏んだりします。
小鼓のお相手は、後藤嘉津幸さん。私も高校生の頃からお世話になっていて気心が知れていて、大変やりやすいお相手です。
朝から激しい気合と体力を消耗したので、昼は名古屋で馴染みのステーキ屋で(独りです)ランチをいただき、良質な高タンパク質を摂取してエネルギー充電!
身体に気を付けながら稽古していきたいとおもいます。
夕方から夜にかけては、愛知教育大学能楽部の稽古の為、これからカーシェアリングで車を借りて、大学に行ってきます!