名古屋涌宝会申合せ

もうすぐ豊田市能楽堂に到着します。

 

これから、明日開催の「名古屋涌宝会」の申合せ。

囃子方との打合せ、リハーサルを「申合せ」と言います。

 

舞囃子11番、一調1番、独鼓・独調3番で約5時間。私は会主ですから当然休憩無しです。

 

この他に申合せ無しでぶっつけ本番の方もいらっしゃいます。

 

みなさん、ドキドキしていることでしょう。


2月26日(日)名古屋涌宝会

久しぶりの投稿。5ヶ月ぶりです。お待たせしました(あきれて誰も待っていません)。

相変わらず元気に能楽師人生を楽しんでいます。

 

来る2月26日(日)豊田市能楽堂にて「名古屋涌宝会(ゆうほうかい)」を開催します。

10時開演、16時40分終演予定。

一調1番、舞囃子12番、独調・独鼓4番、仕舞23番、素謡3番の会。

 

いつもは、最後に私は番外舞囃子を舞うのですが、今回は時間の関係で舞わず、石塚尚寿(なおとし)さんに舞囃子『鵜飼』を舞ってもらいます。

 

石塚さんは、愛知県立大学の能楽サークル出身で、卒業後東京芸大に入学して、並行して宝生宗家の内弟子修行中。

 

将来の名古屋の能楽界を担う期待の星です。

 

入場無料ですので、ぜひお越しください。

 


能『経政』を舞います(10月8日土曜日 三保羽衣薪能)

来月10月8日(土)「三保羽衣薪能」にて、能『経政』を舞います(詳細は上記チラシをクリックしてご覧ください)。

 

もう一番は佐野登師の能『羽衣』。羽衣の正に本拠の土地で『羽衣』が上演されるという、何とも洒脱な趣向。会場のそばには「羽衣の松」という、天女が脱いだ衣を掛けたという、羽衣伝説にちなんだ一本の大きな松があります。

 

私は能『経政』は初役ではなく、何度か舞っていますが、一番思い出深いのは、東京藝術大学在学中の卒業演奏(東京芸大の音楽学部は「卒論」ではなく「卒演」で単位を取ります)。芸大の中に通称「能ホール(第四ホール)」という能舞台があり、そこでお客様をお入れして能『経政』を舞いました。お客様のすぐ後方には錚々たる顔ぶれの試験官が6人ほど並んでいます。緊張の中、私にとってこれが「初シテ」でした。しかし、公の初シテとして芸歴には載りません。宝生会が主催する催しで舞うものが本当の「初シテ」として芸歴となります。

 

平経政(たいらのつねまさ)がシテ。有名な敦盛の兄にあたり、琵琶の名手として名高く、法親王から「青山(せいざん)」という名器をお借りして常にそばに置いて演奏していましたが、一ノ谷の戦いに参戦するために、京都・仁和寺に預けおきました。

戦死した経政を弔うために、行慶僧都が管弦講(かんげんこう。音楽葬)を取りしきる、というところから舞台が始まります。

仄暗いなか、経政の幽霊が現れ、ありし日の花鳥風月に親しんだ日々を懐かしみます。

最後は、修羅道に攻め立てられる自分の姿を恥じて、灯火を吹き消して消え失せます。

 

東京方面・名古屋方面ともに日帰り可能な時間設定だそうです。

ぜひご来場ください!


一調『三井寺クセ』を勤めます(9月15日木曜日「囃子堂」)

 

 

来週木曜日の9月15日、「囃子堂」(会場 宝生能楽堂)にて、一調『三井寺クセ』を勤めます。

詳細はこちらをクリックしてください。

 

「第8回 和久荘太郎 演能空間」能『松風』の3日前ですが、大変興味深い催しかと思いますので、こちらもぜひご来場いただきたいと思います。

 

「京都能楽囃子方同明会」が主催する、東京では珍しい、京都の囃子を聞く会。

同じ囃子方でも、その地域によって変わった特徴や味わいが出ます。東京の囃子方に慣れたお客様だとそれを「違和感」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、それが徐々に「味わい」として楽しめるようになってくることと思います。

 

「一調(いっちょう)」とは、謡と楽器(小鼓・大鼓・太鼓)それぞれひとりずつの一騎打ちのような緊張感で臨み、よく「能一曲を勤めるつもりで勤めろ」と教えられる大事な発表形式。囃子方は、普段の能で演奏する手組み(楽譜)とは全く異なる手組みを演奏します。

 

私は今回小鼓をお相手とする一調を、幸流(こうりゅう)小鼓方の竹村英雄師にお相手いただきます。

『三井寺クセ』は、秋の名曲。鐘の音が聞こえてくるような名文句ですが、なかなかの長丁場。しかも謡い手にとっては誠にややこしい(間違いやすい)曲なので、気が入ります。

過去にやはり幸流小鼓をお相手にこの一調を勤めたことがありますが、打ち手によって雰囲気が変わりますし、私の父親世代の大先輩ですので、心して稽古に臨みます。

 

チケットのお求めは以下にお願いいたします。

エラート音楽事務所 075-751-0617

 


名古屋宝生会「蛍火能」(令和4年6月19日日曜日)

 

来たる6月19日(日)名古屋能楽堂にて、「名古屋宝生会『蛍火能』」が開催されます(詳細は上の画像をクリックしてご覧ください)。

 

私は、最初の解説と、仕舞『鵜ノ段』を舞います。

また、仕舞3番の地頭と、能『葵上』の後見を勤めます。

 

入場料 一般 5,000円、学生 2,000円。

当日券も販売いたしますので、ぜひご来場ください。


能『祇王』ツレ(6月18日土曜日五雲能能)

6月18日(土)五雲能(会場 宝生能楽堂)にて、能『祇王』のツレを勤めます。

 

シテは3歳年上の大友 順さん。私の役は曲名にもなっている「祇王御前」。シテの役は「仏御前」。見どころは二人の相舞(あいまい)。舞台を半分ずつ使って同じ舞をシンクロして舞いますが、この曲は完全に息を合わせる必要は無いと、私個人としては考えています。

 

足数(歩数)などは取り決めますが、その中で個性をお互いが発揮しつつ、拮抗して舞うことでこの曲の面白さが出ると考えます。

 

『二人静』の相舞だけは、完全に合わせる必要がありますが、この『祇王』や『小袖曽我』は競い合う面があると思います。ちなみに、宝生流では『二人静』は16世家元宝生九郎先生が廃曲とし、現在は上演されません。

 

面(おもて。能面のこと)を掛けると、並行に動く相手の動きは全く見えませんので、念入りに取り決めて稽古をします。

 

『祇王』は15時過ぎ開始の予定。五雲能は13時開演、18時前終演。番組の詳細はこちらをクリックしてください。ご来場を心よりお待ちしております。


6月5日(日)「東京涌宝会大会」

 

ご無沙汰しております。数ヶ月ぶりの投稿です。相変わらず元気にやっておりました。

 

さて、来たる6月5日(日)宝生能楽堂にて、「東京涌宝会大会」(和久社中発表会)を開催します。

 

9時半開演、19時半終演予定。

能『巻絹 五段神楽』シテ 松原節、ツレ 足立耀

能『黒塚』シテ 星野尚香

一調『松虫』謡 大庭清司、小鼓 飯田清一

一調『起請文』謡 坂本盛夫、大鼓 亀井広忠

他、舞囃子13番、独調4番、素謡6番、仕舞12番、独吟2番、連吟1番

 

会の最初
(第一部)に、私は番外仕舞『弱法師』を舞います。

また、第二部の最初に娘に仕舞『八島』を舞わせます。

 

入場無料(撮影・録音は著作権法に抵触しますので一切禁止です)ですので、お誘い合わせの上、感染防止対策にご協力いただき、是非ともご来場ください。

 

なにしろ、上演時間は10時間ですから、全部ご覧になることは不可能かと思います。一部をご覧いただければと思います。


『道成寺』おかげさまで①

一昨日の11月21日(日)、「日本全国能楽キャラバン!名古屋宝生会特別公演」にての能『道成寺』、おかげさまで怪我無く無事に舞い勤めることができました。

ご来場いただきましたお客様には、心より感謝申し上げます。

 

鐘入りが思いのほかうまくいったようで、お客様をはじめとして、楽屋内からもご賞賛いただきました。これは自画自賛ではなく、全く鐘後見である辰巳満次郎師のお力によるものです。様々な秘伝の見計らいと、シテのそのときの精神・体調・疲労状態を見極めて、いざ鐘入りのときは、シテとの呼吸をひとつに合わせて鐘を落とす必要があります。シテの私にとっては、辰巳師に命を預けたも同然。心より信頼して飛び込むことができました。

鐘入りの際に、過去には他流などでは骨折はおろか粉砕骨折や脱臼などで、鐘が上がったあと舞い続けることができなくて、後見が急遽代役するような例もあり、とかく大怪我が付き物なのがこの曲の眼目である「鐘入り」なのです。

 

12年前の披き(ひらき。初演のこと)のときは、朝倉俊樹師に落としていただき、このときも大変好評をいただきました。これも全き鐘後見の力によるものです。

 

「鐘入りのときに、鐘の中で頭をしこたま打ち付けると良い鐘入りとなる」ということが古くからまことしやかに言われますが、本当にそうでしょうか。そんなことを鵜呑みにして目標にしてしまったら、100キログラムある鐘の落下に加えて上に飛ぶ力により、失神してしまうか、命も危ういことになりかねません。頭を打たないで高く飛ぶ飛び方があるのです。幸い、2回とも身体の一箇所といえども打つこともありませんでした。(続く)


能『清経』ツレ(豊田市能楽堂 菊月能)

来週土曜日の11月13日、豊田市能楽堂にて、能『清経』のツレを勤めます。

(詳細は上のチラシをクリックしてください)

 

シテは、髙橋憲正氏。憲正さんは、私の後輩にあたり、先輩がツレをするというのは実は珍しいことなのですが、自ら志願しました。

本当は他の役をご依頼いただいたのですが、このツレは非常に大事なツレだという考えが憲正さんと一致し、「では私にやらせて」と。

 

ワキ(淡津三郎)役と共にツレ(清経の妻)は、状況・場面設定をしなければなりません。この場面設定が大変重要で、能の出来はここにかかっている、といっても過言ではない、というのが私の考えです。

 

このツレ、私は若い頃からかなりの回数を勤めています。とにかく辛抱の役でもあり、座っている時間が本当に長く辛いのです。

 

まだわずかに席は残っているようですので、ご来場を心よりお待ちしております。


能『巻絹』無事済みました

本日、蒲郡にての能『巻絹』無事済みました。

昨年、コロナ禍で延期になった催し。やっとできました。

 

実は今日から日曜日までが正念場の第一弾。

明日4日は、あまねく会(辰巳満次郎師同門会)申合せ。

5日は、芝宝会(佐野登師同門会)申合せ後、国立能楽堂に直ぐ向かい、新作能『鷹姫』の申合せと本番。

6日は、芝宝会本番

7日は、あまねく会申合せ

 

これから毎週金曜日から日曜日は、12月の初旬まで連日舞台が続きます。

 

次の大事な役は、来週土曜日11月13日の能『清経』のツレ。その間も、能『道成寺』と『山姥』を並行して稽古していきます。とりあえず今日『巻絹』が済んだので、並行して稽古するものが一つ減りました。

 

体調に気を付けてはりきってまいります。