どぜう


うちのどじょう首相です。水草の上で眠るのがお気に入り。
一週間前に家にやってきました。
息子が幼稚園から3匹持って帰りましたが、1匹は2日後死んでしまい、庭に土葬して丁重に葬儀を営み、1匹は、昨日水替えの際、誤って下水に流してしまいました。
残った一匹の名前は「ラブちゃん(息子命名)」だそうですが、昨日から私は心の中で「総理」と呼んでいます。
どぜうよろしくお願いします。

メガネ

普段は眼鏡をかけています。
深刻な方からすれば、大したことはない程度の近視でしょうが、外すと、遠方のお顔が見えないので、ご挨拶が遅れたりしてよく失礼をしてしまいます。
当然、舞台では外しますので、お客様のお顔は全く見えていません。
(「きゃー目が合った」と思っていただいている方には大変申し訳ありません。)
10代後半から20代中頃までは、コンタクトレンズを使ったこともありますが、一度直面の役(脇能のツレ)で演能中舞台上で落としてから慎重になり、更に面をかけた役でも面の中に落としてからは、いよいよいけないと思い、舞台では一切使わなくなりました。
一役で舞台に上がると、まばたきを出来るだけしないように訓練しているので、気付かないうちにレンズが乾いて、落としてしまうのです。
能は柱さえ見えれば舞えますが、困るのは後見の時。舞台上でシテの装束を着せ替える「物着(ものぎ)」を、暗い作り物の中でやらなければならない時は難儀します。
亡くなったある大先輩は、いつも後見の時のみ、しかも片目のみコンタクトレンズを入れていました。お尋ねしたら、
「片目さえ見えれば良いんだよ。」と。
遠近感は大丈夫なんだろうか、と思うので、未だに私は挑戦していません。
薪能の時も困ります。後見の際、シテが中入して、装束着けのため楽屋に駆け戻る時、通路が真っ暗で大転倒したことも。
今晩は、岐阜の岩村城趾薪能。
久しぶりにコンタクトレンズを持参しました。
これでお客様のお顔もバッチリです!

合宿


昨日・今日は名東高校能楽研究部の合宿。
一昨日の浴衣会で披露した舞囃子『経政』を、来月の文化祭での発表に向けて練り直しです。
ほかに謡と仕舞の稽古も。
食事の時間以外は、合宿所で一日中謡いっぱなし。
若いパワーに負けないよう、おじさん(私)も頑張りました。
縦の繋がりができて、卒業生もたくさん駆けつけてくれて、熱血な体育会系の部活になってきました。
これからが楽しみです。

名古屋涌宝会浴衣会

昨日(20日)は、名古屋涌宝会浴衣会。名古屋と岡崎の会員さんが一同に会し、納涼の謡会を催しました。
名東高校の能楽研究部員による舞囃子『経政』は、シテ・地謡のみならず、笛・小鼓・大鼓も全て高校生で立派に勤め、拍手喝采。
その他、素謡・仕舞・笛の一管など、日頃の稽古の成果を披露。

写真は、素謡『鶴亀』。私は、地謡に入らず、皆さんで大合唱してもらいました。
まさやくんという5歳の男の子は、『猩々』の仕舞で初舞台。稽古通り、しっかり、可愛く勤めました。
そのうち本舞台で、本格的な初舞台を改めて踏ませてあげようと思います。
ささやかな食事会で親睦を深めました。

日焼け

日焼けには、大変気を使っています。
特にお役の前は。
麗しき女性の役の、装束からちらと見える手元や、面の脇から見える顔や首もとが真っ黒では、幻滅しますね。
地謡の端っこに座っていても同じこと。
日焼けというのは、その人の日常生活を如実に表しています。
日常生活を舞台上に持ち込むと、お客様は違和感を感じます。
「ああ、あの人はゴルフ焼けだな」
とか、
「南国で楽しんできたんだな」
など、観能に集中できませんね。
かといって、能役者も舞台を離れれば現代に生きる一人の人間ですから、遊びを楽しんでいけないことは無いでしょう。ただ、人によって気をつけ方が違いますが。
数年前の一時期は、大先輩に倣って日傘を使ったことも。ただ、気恥ずかしくて長続きしませんでしたが。男用の日傘がブームになってくれることを切に望みます。
この夏、子供をプールに連れて行きましたが、凜太郎は来月の月並能で、『花筐』の子方の役を頂戴しているので、大変気を使います。しかも天皇の役。実際はどうだったかはわかりませんが、田舎から出てきたとはいえ、真っ黒な天皇はイメージに合いません。
また、同日の月並能で、私も『敦盛』のツレを勤めますので、草苅男の役とはいえ、日焼けするわけにはいきませんので、子供ともに日焼け止めをしつこいほど塗りたくって、何とか難を逃れました。
しかし、体全体に塗ってはいたのですが、顔と首と手を中心に塗り直しを重ねていた為に、そこだけ白くて、後は見事に日焼けという、奇妙な焼け方。
その世界にはその世界なりの、色々な気の遣い所がありますね。

テレビ

NHK朝ドラ「おひさま」のヒロインのだんなさんに似てる!と最近毎日言われます。
親戚・お弟子さん・同業者などに、あまりに毎日のように違う方に言われるので、本当に似ているのだろうけれど、私自身、一度もその番組も人も見たことがありません。
顔だけでなく、表情や立ち居振る舞いも似ている、ということです。
一度、「実は私なんです」と言ったら、「やっぱり!!」と。
しかし、良い役柄だそうで、良かった良かった。これで、犯罪者の役だったりしたら、世間の目が違ってきます。
テレビをほとんど見ません。せっかく最新式の地デジなのに。だから、新しいお笑い芸人の名前も、みんなが話題にし出して半年後くらいにやっとその姿を拝みます(最近初めて「ゆってい」という人を見ました)。
昔(小中学校)は超テレビっ子だったのに。アニメなど、テレビ雑誌にチェック入れて、ビデオ録画してまで見ていました。
今もその名残で、様々な番組をハードディスク録画していますが、溜まるばかりで、仕事関連以外のくだらない番組はいつの間にか(妻の手によって)消え去っています……。

NOH-AGE・鵺 終了

一昨日の「NOH-AGE・鵺」は、大勢のご来場、誠にありがとうございました。
200席ほぼ満席。お客様あっての芸能、やはりやり甲斐を感じました。
お陰様で大過なく勤めることができました。
「NOH-AGE」は、毎年春の「和の会」本公演のサブ公演の形を取り、今回第2回。家元主宰のこのような催しで、『鵺』という面白くも難しい曲を勤めさせていただくこと、誠にありがたく感じています。
まるで、私の個人演能会のように演出していただき、あくまでも裏方に徹して、若手を売り出そうとして下さるご姿勢。
良いプレッシャーにも感じ、なんとしても、なにがしかの成果を出さなければと、励みました。
裏方のスタッフに、大変有能な若者たちが揃っています。若い和英家元の志に賛同した「仲間」が、ボランティアで集結して、正に「和の会」という名前に相応しい働きで成り立っています。
今後、どのような展開を見せていくか、お客様はもちろんのこと、我々役者も目が離せない催しでしょう。
私自身、家元のご好意に甘えるだけでなく、個人演能会の少ない宝生流において、よし、俺もそのうちやるぞ!という気持ちが以前にも増して湧き上がってきました。
次回「和の会」は、来年24年5月26日(土)宝生能楽堂にて、宝生和英家元の『船弁慶』。
ご期待下さい。

明日鵺

ついに明日は『NOH-AGE・鵺』です。
ご来場、心よりお待ちしております。
ご来場者には、もれなく涼を呼ぶ物(まさに鵺的な)が配られるそうですが、お帰りの際、決して渋谷の街にお捨てにならないようお願いいたします。
また、額に「肉」とか頬にナルト模様など、落書きしないよう重ねてお願いいたします。
当日券、ございますので、お誘い合わせの上お越し下さいませ。

涌宝会大会

 いよいよ明後日、私の同門会であります、「涌宝会大会」が矢来能楽堂にて開催されます。
この日のために、会員一同稽古に励んでまいりました。
10時開演、82歳にて初舞台を踏むシテと、90歳になるワキの二人による、長寿を祝う素謡『鶴亀』に始まり、舞囃子11番・素謡10番・仕舞10番・独吟2番の豪華な(今の私にとっては)会になります。
「大会」と銘打っておりますが、東京・名古屋・岡崎・甲府の各稽古場から会員が参集して、やっとのことで会を催せております。そのうち、東京と名古屋で、年1回ずつ催せるようになることが一つの目標です。
前回までは、私は全部の地謡を謡って、手加減を知らないのでへとへとになっておりましたが、会員のみなさんも、そろそろ発表会自体に慣れてきた頃ですので、ある程度地謡は信頼のおける先輩や後輩にお任せして、今回は体力温存して、冷静にみんなの舞台を見ていようと思います。
急病で残念ながら参加できない人もいますが、不屈の精神で、次回こそは、との連絡がありました。
会の途中、13時半頃に、息子・凜太郎の仕舞『胡蝶』と、会の終わり、16時半頃に、私は舞囃子『唐船』を「盤渉(ばんしき)」の小書を付けて勤めさせていただきます。
凜太郎は今週5歳になりました。3歳で『鞍馬天狗』の花見にて初舞台を勤めましたが、仕舞は初めて。今のところ、能が大好きだと言っておりますが、どうなることやら。厳しい道が待っているぞ。
舞囃子『唐船』は、「盤渉」の小書が付くと、曲中奏される「楽(がく)」という唐楽を模した舞の笛の調子(音の高さ)が、一調子高い「盤渉」という高さになり(普段は黄鐘・おうしき)、スピード自体もやや速くなって、華やかになります。
今回の笛は、森田流の栗林祐輔師にお願いしました。森田流の「盤渉楽」は、大変複雑に構成されており、若いうちに勉強のために一度は勤めたいと常々考えておりました。
宝生流では、盤渉楽は、『唐船』・『邯鄲』・『天鼓』の3番のみ。この3番の能を小書付きで勤めることは、もしかしたら一生無いかも知れませんが、やはり玄人として、いつでも舞えるようにしておくのです。
今週土曜日、ぜひ矢来能楽堂にお運びいただきたいと思いますが、さて、凜太郎の仕舞と私の舞囃子、皆さんにはどちらをご覧いただけますでしょうか。
(もうすでにお互い役者としてのライバル心があったりして・・・)

チョンマゲ

今週土曜日(7月16日)、五雲会(水道橋・宝生能楽堂)にて、『歌占』のツレを勤めます。
 
「歌占(うたうら)」とは、歌を書き付けたたくさんの短冊の中から1枚を引かせ、その歌により占う方法。
シテの渡会某(わたらえのなにがし)は、短冊の付いた小弓を持ち、歌占を生業として諸国をさすらっています。
 
渡会は、ある時急死しましたが、3日後生き返り、地獄の有り様を見てしまったからか、まだ年若いのですが、白髪で登場します。
 
一方、父親を失った幸菊丸(子方)は、故郷の伊勢を立ち出でて、はるばる加賀の国・白山の麓までたどり着き、里人(ツレ)と共にこの歌占を引きます。
まず里人が占を引き、自分の父親の病気のことを尋ねますが、快方に向かうとの結果を聞き喜びます。
続いて、幸菊丸も行方不明の父親のことを占ってもらいますが、もう既に逢っている、との不思議な占。
よくよく尋ねると、この渡会こそ、幸菊丸の父親だったのでした。
 
という、かなり無理な設定。
この曲は、ストーリーなんか半ばどうでも良いのです。この後に続く、シテによる地獄の有り様を舞い謡う、「地獄の曲舞(くせまい)」を見せることに主眼を置いていると言っても過言ではないでしょう。
 
最後は、能の常套手段の例に漏れず、親子伴い故郷の伊勢に帰ってめでたしめでたし。
 
里人であるツレは、いなくたってどうということはない役ですが、物語を引き出す役に終始します。正にワキそのもの。
実際、観世流・宝生流以外では、ワキ方が勤めるようです。
現実の男性なので、面(おもて・能面のこと)をかけない直面(ひためん)で、表情を出すことは許されません。
 
直面は、気恥ずかしいのです。せめてチョンマゲだけでもつけさせてもらえば、役になりきれるのに、といつも思います。
 
他に、『草薙(くさなぎ)』辰巳大二郎・『半蔀(はしとみ)』亀井雄二・『土蜘(つちぐも)』金森隆晋。
正午始まりです。面白い曲が揃いました。ぜひお越し下さい。