2回目の声帯ポリープ摘出手術③

(続き)

1週間の沈黙療法も虚しく、血豆はポリープに昇格。晴れて(腫れて)手術が決定しました。このポリープが手術日迄に引っ込めば、手術の必要はなくなるとのことですが、その確率は5%程度。密かに一縷の望みをかけていますが、所詮無理なのは、自分が一番分かっています。

沈黙療法後、日に日に、自分でも驚くほど声が出るようになってきたので、治ったのでは、と思う時があるのですが、診察を受けると、その答えはバツ。おそらく、身体がポリープの存在に順応して、勝手に工夫をして声が出るようになっているようです。

息が洩れているのが、自分でも能く分かります。出す息全てが、声(音)にならないのです。だから、以前は一息で謡えた箇所を、人にはわからないように、途中で息を盗んで続けて、一息で謡っているように聞かせています。その為、腹の力や圧力が倍くらい必要で、誠に疲労します。

現在ポリープ氏は、2枚ある声帯の片方だけにいらっしゃるのですが、放っておくと、声帯同士ががぶつかり合って、もう片方にもポリープ氏の相棒が出来て、声帯がきっちりと塞がらなくなり、遂には声が出なくなる、というシステム。いつそうなるかわかりませんが、近い将来の話なので、今のうちに取ってしまう、という主治医のご判断です。

(また続く)

2回目の声帯ポリープ摘出手術②

(続き)

今回手術が決定したのは、今から2ヶ月半前の9月末。大事な役(面・装束を付けて演じる一役)や、地謡が12月まで続いており、お客様に「あんなに大きな声出しちゃって大丈夫かしら」などと、ご心配を頂きながら舞台を見て頂くのは良くないと思い、出来るだけ公言しないようにしてきました。

前回は、生まれて初めてのポリープですから、声が出なくなってきたり、謡うと極度に疲れるのは、年齢のせいかと思っていましたか、そうではありませんでした。

しかし、今回は、「あの時だな」という、ポリープのきっかけを自覚しております。8月と9月に、自身の稽古、社中の稽古、舞台出演で、睡眠を削ってかなり無理をしたのです。

声が出なくなって、9月中旬に診察を受けたら、「和久さん、血豆ができちゃってますねえ。最近出血したでしょ。」と。出血に関しては、全く自覚がありません。主治医曰く、この血豆がうまく吸収されれば、ポリープにはならないので、1週間の沈黙療法をしましょうとのこと。

かくて9月末の1週間、お弟子さんのお稽古を全て休み、その期間の唯一の大事な舞台(ワキ方・御厨誠吾師主宰の会にての舞囃子『松尾』)があり、それだけは手加減せずに勤めました。

(続く)

2回目の声帯ポリープ摘出手術①

皆さまにご報告です。

今月末に、2回目の声帯ポリープ摘出手術を受けることとなりました。
前回は、約3年前。同じ都内の大病院ですから、もう慣れたものです。

前回の手術では、舞台をいくつか代役をお願いしたり、お弟子さんのお稽古を丸々一か月間休ませて頂くなど、少なくないご迷惑をおかけしました(そして収入が一か月間、全く途絶えてしまいました‥)。

しかし今回は、ちょうど年末年始にかけて入院・手術及びリハビリのスケジュールを組むことができましたので、舞台もお弟子さんのお稽古も、一つとして休むことはありません(手術が決まった後に、この期間内のお仕事をご依頼頂いたものは、全てお断りしています)。

しかし、実際には、お弟子さんのお稽古に関しては、12月の前半と1月の後半にまとめて、無理な日取りをしています。

また、リハビリ期間中にも舞台出演がいくつかあるのですが、フルボイスで謡うことは主治医に止められていますので、控えめに謡うことになります。

そういう意味では、やはり多少なりともご迷惑をおかけすることになります。

(続く)

「第5回 和久荘太郎 演能空間」曲目変更のお知らせ

来年(平成30年)9月30日(日)、名古屋能楽堂に於いて開催予定の「第5回 和久荘太郎 演能空間」の番組を以下の通り変更致します。

 

         能『小袖曽我』『夜討曽我』(能2番)から

         能『天鼓 盤渉(バンシキ)』(能1番)に変更

 

番組の詳細は、また改めてお知らせ致します。

夢でござる

名古屋行き新幹線車中。

今日は、明後日12月3日(日)名古屋能楽堂に於いて開催の、「名古屋能楽堂12月特別公演」の申合せ。宝生流は、能『葛城・神楽』(シテ 玉井 博祜)。私は、地謡4番手を勤めます。

その後、桜山舞台にてお弟子さんのお稽古。

 

最近の投稿で、新幹線ばかり乗っていますが、最近能く乗るようになったのではなく、最近能くブログを投稿するようになった、というのが正解で、いつものこと。おしなべて年間120万円位をJR東海御中にお支払いしていますが、最近のある月は20万円を超えてさすがにたまげました。

 

「和久は、さぞ忙しくて相当儲かっている」、と思って頂いている方、有難うございます。そのまま、夢を見て頂ければ嬉しく思います。

内情は‥、ご想像にお任せ致します。

お弟子さんのお稽古に関しては、交通費や稽古場拝借料はご負担頂いていないということだけはお伝えしておきます(甲府を除く)。

 

大儲けする為にする仕事ではないとはいえど、「儲かっている先輩がいる」というのは、業界的には夢がありますから、若い方や、これからこの道を志す方にとっては大変良いことだと思っています(なんという強がりでしょうか)。

 

いけない、私のポリシーは、皆さまに常に夢を見て頂くこと。『吉野静』のシテ謡に「言葉多き者は品少なし」とあります。この辺で。

『生田敦盛』の子方(12月16日土曜日 五雲会)

来月12月16日土曜日、宝生能楽堂に於いて開催の五雲会にて、能『生田敦盛』の子方を、凜太郎が勤めます。

シテは、小倉 健太郎師。5年前に、『花筐』の子方で一度お相手させて頂いて以来。子供好きな方で、いたく可愛がって頂きました。

 

シテは平敦盛の幽霊で子方は敦盛の遺児。敦盛は、史実では16歳で戦死したことになっているので、死後生まれたとして、親子の年齢差16歳。当時はあり得る話ですが、これは能作者の創作でしょう。

 

法然上人に仕える人に伴われ、亡き父に逢いたい一心で、毎日賀茂明神に参詣します。「父に逢いたければ、直ぐに生田の森へ行け」との霊夢を見て、その通りにすると、亡き父・敦盛の幽霊と対面する、というストーリー。子方は、僧体(出家姿)です。

今年最後の五雲会。ぜひお越しください。

 

12月五雲会は、12時開演、『小鍛冶』『生田敦盛』『蝉丸』『船弁慶』他狂言2番。番組の詳細はこちら

入場料は5,000円(学生2,500円)

お問い合わせ及びチケットのお求めは、こちらまで。

 

ホットシャワー5

これ、A&D社の「ホットシャワー5」。吸入器です。

大変優れた商品で、在宅の日は、これで1日に3回吸入しています。

実は、通常の吸入器の機能では、蒸気の粒子が大きくて(10ミクロン〜40ミクロン)、声帯まで届きません。この吸入器は、蒸気が5ミクロンまで小さくなり、声帯までしっかり潤すことが出来る、とのことで、3年前の声帯ポリープ切除手術の前から、主治医から「アマゾンで買いなさい」と勧められて、それ以来愛用しています。

 

当時、「能楽師は普段のケアが足りない人が多い」と言われてしまいました。このようなケアは、洋楽の方など、声を出すプロフェッショナルは当然のことだそうです。

 

風邪の予防や、花粉症、鼻詰まりなどにも最適。それ用に、付け替えられるノズルが3つ(吸入用マスク、口用、鼻用)付属しています。

手入れも、慣れればそう面倒ではありません。

 

決して、A&D社のまわし者ではありません。一家に一台、お勧め致します。

名古屋宝生会定式能(平成30年1月28日日曜日 名古屋能楽堂)

平成30年1月28日日曜日、名古屋能楽堂において、「第62期第1回 名古屋宝生会定式能」が開催されます。(上記チラシ画像をクリックすると拡大表示されます)

 

12時半から能楽師による解説(今回は私、和久荘太郎が勤めます)。

13時開演、以下の通り。


◆能『加茂』シテ 内藤飛能

ツレ 當山淳司、天女 衣斐愛、ワキ 高安勝久、笛 大野誠、小鼓 船戸明弘、大鼓 河村総一郎、太鼓 鬼頭義命、後見 竹内澄子、玉井博祜、地謡 辰巳満次郎、水上優、佐藤耕司、辰巳大二郎、片桐真、能勢渉、鈴木久仁七、清水達郎

 

◆狂言『舟ふな』シテ 井上松次郎、アド 井上蒼大

 

◆仕舞『田村クセ』竹内澄子

◆仕舞『須磨源氏』玉井博祜

地謡 當山孝道、辰巳満次郎、和久荘太郎、辰巳大二郎

 

◆能『盛久』シテ 衣斐正宜

ワキ 飯冨雅介、ワキツレ 橋本宰、椙元正樹、橋本叡、アイ 今枝郁雄、笛 藤田六郎兵衛、小鼓 後藤嘉津幸、大鼓 河村眞之介、後見 辰巳満次郎、辰巳大二郎、地謡 當山孝道、水上優、内藤飛能、當山淳司、平田正文、竹内孝成、石森智幸、真野久

 

 

【入場料】全席自由席 一般5,000円、学生2,000円。年間会員券(4枚綴り)18,000円。


お問い合わせ及びチケットご購入は、こちらまで。または、℡052-882-5600(名古屋宝生会事務局)まで。

飛鳥舞台稽古

本日は、久々の自宅(飛鳥舞台)にてのお弟子さんの稽古日。

舞台出演や長期出張が続いた為、月の後半に無理矢理寄せたのです。いつも私の都合に合わせて頂き、申し訳ない気持ちでいっぱいです。

朝9時20分から、夜21時40分までびっしり。途中、昼御飯休憩60分と、晩御飯40分の2回休憩を取りますが、それ以外は休み無くぶっ通し。疲れないかと聞かれますが、それほど疲れません。むしろ、少し間が空いてしまう方が、気が抜ける為か、どっと疲れます。

朝は、6時半起きで、朝食前に先ず息子の稽古をします。お役が控えていない時期は、基礎の謡と仕舞の稽古。今は、12月16日(土)に、五雲会にての能『生田敦盛』の子方が控えていますので、それを中心に稽古。

朝食を済ませて、子供たちが登校した後に自分の稽古。但し、お弟子さんの稽古日はすぐお弟子さんがこの後お越しになるので軽く済ませ、稽古日以外にしっかり時間を取ります。

それでは、今から始めます!

気の入れ方

昨日、「満次郎の会」が済み、気持ちがやっと一段落しました。11月に入ってから、役(装束を着て勤める能の中の一役)や、大事な地謡や催しがずっと続いていましたので、気が張っていました。

 

「満次郎の会」では、能『景清』の従者、新作能『マクベス』の地謡、長い仕舞3番の地謡、と盛りだくさん。主宰の満次郎師はもちろんそれどころの大変さではありませんが、当然私とは器が違いますね。私は、私の身体を使った出来る限りの最善を尽くします。お客様に白昼夢をご覧頂く為に。

 

本日は、長野県小布施町にて、佐野 登師の尽力の催し、「第4回おぶせ能」に出勤の為、長野新幹線車内です。こちらは、能『土蜘』の地謡3番手と仕舞3番の副地頭。地謡が大事。

 

昨日で一段落、と自分に言い聞かせて気を一度ゆるめましたが、会場に向かうに連れて、このようにまた自分に言い聞かせるように、改めて気を入れていくのが常です。

 

冷静に客観視すると、なんだかいつも暑苦しい吐露ですみません。聞いてるだけで苦しくなるかもしれませんが、そういう性質なので、お許しください。