能『班女』を舞います(12月14日土曜日宝生能楽堂「五雲会」)

来る12月14日(土)、宝生能楽堂「五雲会」にて、能『班女(はんじょ)』を舞います。詳細は、上記画像をクリックしてご覧下さい。

 

先日の演能空間の『烏帽子折』は大曲ですし、12月22日(日)横浜能楽堂にて頂いたお役の『羽衣』も能の代表曲であり、有難くも大変なことですが、実はこの『班女』が先の2番に劣らず、「能」としての表現が誠に難しい、情感の深い曲です。

 

狂女物と鬘物(三番目物とも)両方の要素を備え、しかも、笹を持つ他の狂女物とは雰囲気を異にする『班女』。恋人と別れに際して交換した、形見の扇に対して、静かな、しかし強い執心があります。「扇物狂い」とも言われる所以です。

他の狂女とは違い、失われた子供をたずね歩くのではなく、吉田少将(よしだのしょうしょう。ワキ)という高貴な男性を恋うる遊女。ワキにも、品位が要求されます。

初役です。深い考察の上稽古を重ねて本番に臨みます。

この『班女』と、1週間後の『羽衣』は、この曲の為に自分用に仕立てた「箔」という金箔を置いた着付の装束を下ろします(昨年10月17日の当ブログ参照)。1年半、桐箪笥で寝かせました。楽しみ。

入場料5,000円(学生2,500円)

チケットのお申込み、お問い合わせは、当ホームページ内お問い合わせまで。

【訂正】夜語りの会 完売です

前回の投稿で、明日9月27日金曜日の「夜語りの会」のチケット残りわずか、と申しましたが、既に完売だそうです。

訂正致します。

仕舞『鍾馗』を舞います(9月27日金曜日「夜語りの会(夜能特別公演)」宝生能楽堂)

今日は、明日(9月27日)が本番の夜能特別公演「夜語りの会」の申合せと、明後日(9月28日)が本番の芝宝会(しほうかい。佐野 登師御社中発表会)の申合せ。

 

「夜語りの会」にて、私は仕舞『鍾馗(しょうき)』を舞います。

最近あまり見なくなりましたが、五月人形の鍾馗様がシテ。国家試験に落第して、階段に頭を打ち付けて憤死した鍾馗。今は悪心を翻して、国家と皇帝を守る神となります。

 

鬼の能。私は、10年前にこれを能として勤めました。仕舞も涌宝会大会にて番外仕舞として11年前に勤めております。

 

明日18時半開演。詳細はこちらをご覧下さい。私は、能『邯鄲 傘ノ出』(シテ 野月 聡)の主後見も勤めます。

チケットは残りわずかのようです。

二つになってぞ失せにける

一昨日の能『烏帽子折』の最後に、後シテ・熊坂長範役の私が、牛若丸役の凜太郎に切り倒される型として、幕の前で「仏倒れ(ほとけだおれ)」をしました(空中であぐらをかいて落ちる「飛上り平臥」でも良いのですが、選択はシテ本人に任されています)。

 

そう、まるで仏像がそのまま後ろに倒れるように見えることから「仏倒れ」と言いますが、体にとってリスクの高い型で、うまくやらないと後頭部を打って脳震盪を起こします。私もそう若くはないので、倒れる直前に心の中で、

 

「では みなさん おせわになりました さようなら 南無三宝」

 

と唱えて倒れました。

 

まだ映像を見ていないので何とも言えませんが、比較的綺麗に倒れたようで、後頭部を打たずに済みました(秘密のコツがあるのです)。が、下に穿く半切(はんぎれ)という袴を支える為の「腰羽根」(こしばね。通称・バネ)が見事に真っ二つに!(ここの地謡は、「一人と見えつる熊坂の長範も二つになってぞ失せにける」)

 

これが、

 

パカっと真っ二つに(手は凜太郎です)

 

凜太郎が、「バネがお父さんの身代わりになってくれたんだよ」と言って、バネを仏壇に供えてくれました。折しもお彼岸。

 

いいこと言うねえ。

能『烏帽子折』鏡の間にて

 

 

能『烏帽子折』開演前の、神聖な鏡の間でのショット。辰巳満次郎師撮影。モノクロで奥深い絵になっています。良い記念です。

 

鏡の間で、大映しの三面鏡の前に床机に腰掛けられるのはシテ一人のみの約束。たとえ子方が主役級の役柄であっても。

昨日ここで私は、「一応やっぱり主役なんだ」と自覚しました‥。

ありがとうございました(第6回和久荘太郎 演能空間)

「第6回 和久荘太郎 演能空間」は、皆さまのご声援のお陰で、盛会裏に催すことができました。お忙しいなか大勢のご来場、また、ご遠方からのご来場、誠に有難うございました。

次回「第7回」は、日時・会場・曲目共に未定ですが、本日皆さまから頂戴したアンケートをもとに誠心誠意考えて、またお客様に楽しんで頂ける催しにしたいと思いますので、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

演能空間主宰   和久 荘太郎

前売り券販売終了 当日券若干有り

来る9月23日(月・祝)宝生能楽堂にて開催の「第6回 和久荘太郎 演能空間」の前売り券の販売は終了いたしました。

当日券は中正面席(7,000円)、自由席券(6,000円)を若干ご用意致します。

当日の12時半から、宝生能楽堂ロビー入口受付にて先着順で販売いたします。

ご来場 心よりお待ちしております

今日は、名古屋能楽堂定例公演にて能『経政』の地謡出演の為、日帰り名古屋。

 

いよいよ『第6回 和久荘太郎 演能空間』は明日に迫りました。

稽古はもちろんのこと、事務的な準備、胴着(装束の下に着る綿入れ)一式や着物の準備も万端!気力・体力も充実!

心配は、台風17号の影響。昨年9月の名古屋能楽堂にての「第5回 演能空間」は、未曾有の勢力の台風が名古屋を直撃しましたが、急にスピードを緩めて、公演中はなんとか踏みとどまってくれました。しかし、鉄道各社の異例の計画運休判断で、新幹線その他が止まってしまった為、半数の約200名のお客様がご来場頂けませんでした。

 

今回の大型の台風17号は、関東直撃は免れそうですが東海道新幹線が風の影響を受けないかが心配。そして、台風15号で被災した千葉県の方々も、何卒ご無事で。

皆さま、台風情報を聞きつつ、お気をつけてご来場下さい。心よりお待ちしております。

カンフェティにての販売終了のお知らせ

「第6回 和久荘太郎 演能空間」のチケットは、カンフェティチケット予約サービスにての販売は終了致しました。引き続き、演能空間事務局(メール info@hosho-waku.netまたは、演能空間公式ホームページ)にての販売は、公演前日の22日(日)18時まで、前売り料金(6,000円)にて受け付けます。残席は、現時点(9月20日21時)で中正面席が約10席のみです。

能楽第二回「飛座」公演(10月12日土曜日名古屋能楽堂)

来たる10月12日土曜日、名古屋能楽堂にて、内藤飛能師主宰の個人演能会「飛座」の第二回公演が開催されます(詳細は上の画像をクリックしてご覧下さい)。

 

私が主宰する「和久荘太郎 演能空間」と同じく、催しの企画、配役、運営、広報、チラシデザイン・印刷、チケット印刷、チケット販売などのほか、申合せ(リハーサル)、本番の役者の弁当の手配、出演者への謝金の支払い、公演後の税金の支払いなどなどの、全ての雑用を自分でやる、リサイタル公演。

私は、これらを妻と2人でやっているので、飛能さんのご苦労が能く分かります(案外、事務員がやっていると思っていらっしゃる方が多いのです)。

飛能さんにはまだ小さいお子さんが3人いますから、そのようななかで奥様も大変なご苦労だろうと推察しています。

同じ志を持つ者として、応援しております。皆さま、ご予定いただきぜひご来場下さい。チケットのお求めは、上記のチラシの申し込み先まで。

 

飛能さん自身は今回の飛座にて、2番能を勤めます。半能『西王母』はご長男の瑞駿(みずはや)さんと。能『八島』は義経の能。気合いの入った舞台が観られることでしょう(私も後見や地謡で出演)。

 

来週9月23日の「演能空間」の能『烏帽子折』では、後半、飛能さんは「若武者」という重要な役にて、私の熊坂長範(くまさかのちょうはん)役と、夜討に関しての相談をセリフの掛け合いで繰り広げ、しかも牛若丸に対して一番に斬って出ます(そして一番にやられてしまいます‥)。

どうぞお楽しみに!