サイン・コサイン・タンジェント

人生で、初めてサインを頼まれました。

 

いえ、クレジットカードとか、宅急便受け取るときの、あれじゃありません。

例の、有名人がサインペンでサラサラと色紙や、差し出されたTシャツに書く「あれ」です。

不意をつかれたので、嗚呼、日頃から練習しておけば良かった、と悔やまれます。かのジャイアンも、いざというときの為に、日頃からサインの練習をしていました。

 

確かに、能楽師は芸能人であり、私は「東京芸能人国民健康保険組合」なるものにも所属しているのですが、サインを求めて頂いたのは初めて。

よくある、絵やハートなどと組合わせたような、何が書いてあるんだかわからない、チョットカッコいいものをサラサラ書いてしまおうかと思いましたが、4枚求められましたので、1枚目は適当に書けても、二度と同じものは書けないから、4枚とも全く違う仕上がりになってしまうだろうと瞬時に判断し、私なりの丁寧な文字で、フルネームを直球勝負で縦に真っ直ぐ書きました。

あて名も書いてほしいとのこと、よくありがちな「◯◯さん江」の「江」というのはなんだかこっぱずかしいので、きちんと「◯◯様」と硬派に。

 

あのタレントなんかが書く、ミミズがのさばったようなそれらしいサインは、皆さん自分で一生懸命、あーでもないこーでもないと考案するのですかね?なんだか、それもチョット恥ずかしいような‥。しかも、どの時期に?ちょっと売れ始めて、そろそろサイン頼まれるかなぁ、という時期に、色紙を山ほど購入して、ジャイアンのように密かに練習するのでしょうか。そして、誰もサインを求めてくれなかったら‥。

 

多分、そういうのを専門に考える方がいらっしゃるのでしょう。いや、そう信じたい。(私のも考えてほしい‼︎)

 

しかし、次回からはちゃんと書けるように用意しておかなければ。その次回はいつ来るのかわかりませんが。

いやまてよ、もし他の人(能楽師)が、同じように悩んでいたら、「そんな暇があったら(本業の)稽古しろ」と言ってしまうかも。

 

やはり、私は硬派の直球勝負サインでいこうと思います。