広忠の会 能『井筒』(11月30日 日曜日 14時開演 矢来能楽堂)
11月30日(日)14時開演「第7回 広忠の会」(於・矢来能楽堂)にて、能『井筒』を勤めさせていただきます。
「広忠の会」は、ご存じ、葛野流大鼓方・亀井広忠師が主催する演能会。囃子方が個人演能会を主催することは大変珍しく、舞台・私生活共に全力投球の広忠師ならでは。「広忠師」などというのは照れくさく、彼とは高校終わりの東京藝術大学受験時からの旧友で、同い年(今年満40歳)。
彼は、葛野流大鼓方宗家で人間国宝の亀井忠雄師を父、歌舞伎囃子方先代家元・田中佐太郎師を母に持つ、伝統芸能のサラブレッド(弟君お二人は、現田中流家元・田中伝左衛門師と伝次郎師)。
かたや、私は全く能とは関係のない家に生まれ育った無頼人。そんな私がおこがましくも、彼のことをずうっとライバルと目して、この道に精進してきました。
高校生で初めて出会ったときには、既に彼は当然この道で名前・実力ともに認められて、稼ぎを持っていました。
しかし、そんな先を行く彼に追いつけ、追い越せという気持ちを持ち続け、彼の存在や言葉のお蔭で、芸の面、その他で引き立ててもらったと思っています。
そんな広忠師が、今回3回連続公演で、観世流・宝生流・喜多流の同世代若手3名に、大曲を舞う機会を与えてくれます。
1日目は、11月29日(土)梅若能楽学院会館にて、能『朝長』シテ 坂口貴信師(観世流)
2日目は、11月30日(日)矢来能楽堂にて、能『井筒』シテ 和久荘太郎(宝生流)
3日目は、12月2日(火)銕仙会能楽研修所にて、能『山姥』シテ 大島輝久(喜多流)
坂口・大島両師とも、流儀は違えど、これまた私がライバルと見ている2人(片想いかもしれませんが)。
日にちは違いますが、立会能(たちあいのう)と受け止め、負けるわけにはいきません(既に負けてるかもしれませんが)。
私の『井筒』もさることながら、『朝長』『山姥』も、通常では若手には許されない、「超」の付く大曲。広忠師も、プロデューサーとしてずいぶん思い切ってくれました。
『井筒』の能は、他流では案外若いうちに勤める機会があるようですが、宝生流では「奥伝物」として大変大事に扱われています。30代で勤めることはまずあり得ませんが、11月13日が誕生日の為、演能当日の11月30日には40代になっていることや、流儀以外からご依頼いただいたお舞台、ということもあり、家元と流儀長老のお計らいにより、今回特別にお許しを頂きました。世阿弥の名曲『井筒』、現時点での私を全て投入し、大事に勤めさせていただきます。
チケットは、9月9日(火)より発売開始。全席指定席(8,000円)で、ご予約時に先着順にてお席をお選びいただきます。
お問い合わせ、お申し込みは、和久荘太郎ホームページまたは、三響会(電話03-3542-2800 平日12時から17時)まで。
座席数が少ないため、早目のご連絡をお待ちしております。