老いの才覚

曽野綾子さんの「老いの才覚」を読みました。話題作ですが、素晴らしい本ですね。曽野さんの人柄が溢れ出ています。
文中にも登場する、三浦海岸の別荘には、縁有って私もお邪魔したことがあり、お食事をいただきながら間近でお人柄に触れ、その後本屋でお名前をお見かけする度にいつも気になる存在でした。
先代宝生流宗家・英照先生が、三浦朱門・曽野綾子ご夫妻と、雑誌の企画で対談することになり、当時内弟子だった私が運転でお供したのです。
海岸に面した広大な自然のお庭では、三浦の温暖な気候に適したキウイフルーツなどの果物を育てていらしたのが印象的でした。
折に触れてその別荘に滞在なさるようでした。
著書は、本来私のような年代に書かれた物ではないと思いますが、気持ちが良いほどはっきりと、人のあるべき姿が書かれていました。
ご年配ばかりではなく、若者の心にも響くでしょう。
いやしかし、私のお弟子さん達には、この本の内容を実践できている方がなんと多いことか、と改めて噛み締めました。
涌宝会のお弟子さんの内、半分以上は私の親世代(もしくは上)です。能を指導はいたしますが、所詮は人生の大先輩。いつも逆に教わることばかりです。
「実るほど頭を垂れる稲穂」を想います。