能「呉服」無事 済みました(五雲会)

本日、五雲会(宝生能楽堂)にて能「呉服」、おかげさまで無事舞い勤めることができました。ご来場ありがとうございました。

 

 

機台(はただい)の作り物。本来、「作物出(つくりものだし)」の小書(こがき。特殊演出のこと)の際に出すもので、今回は小書無しでしたが、家元のご判断により特別に出すことに。五色の糸が美しく、舞台効果が高いと思います。

 

現在のこの機台は、宝生流の先輩、東川 光夫氏が先代の家元(宝生英照師)の依頼により25年程前にお作りになったもの。流儀の古い作り物の書き付けでは、五色の糸がもっと機台の全体に掛かっていて、シテはその作り物の前に座る構造でしたが、英照先生の指示で機台の中に座れる構造に改良して作られた、と記憶しております。

 

「作り物」の定義は、演能の度に作って、能が済めば壊す、ということ。これも、今回内弟子さんが苦労して作ってくれましたが、この後あえなく解体される運命にあります。もったいないですね。

 

この作り物は、学生の演能会で初お目見え。英照先生のシテ、東川氏のツレで「作物出」の小書付きで、後シテは相舞(あいまい。シンクロで舞う)でした。

当時、内弟子修行中だった私は、そのときの演能の詳細を事細かに記録してあり、その書き付け(メモ)が今回「呉服」を舞うにあたって大変役立ちました。メモは財産ですね。

 

数年内に再度舞う機会があれば、今度は「作物出」の小書で、ツレとの相舞で勤めさせていただきたいと思いました。