いよいよ演能空間3

(続き)

今回の能『松風』にてシテ(主役)の私が使用する面(おもて。能面のこと)は、「節木増(ふしきぞう)」。

 

最近奮発して手に入れたもので、現在宝生宗家の面の修繕・制作を一手に引き受ける後藤祐自さんという面打ち(能面作家のこと)の作品で、大変素晴らしい面です。

 

今回の『松風』の為に購入したと言っても過言ではなく、先々月に札幌で能『花筐』を舞った際にも実験的に使用しましたら、お客様の一部の方から「面が素敵だった」というお声を伺いましたので、素晴らしさを確認できました。

 

優れた面は、単体でも見る角度によってある程度表情を変えますが、演者の芸の力によって怖いほど更に表情を変化させます。

『松風』のシテとツレ(シテに伴う役)は松風・村雨という名の美しい姉妹の幽霊。昔契りを込めた在原行平(ありわらのゆきひら)を想い、泣いてばかりです。その泣く表情がどのように出るのかを楽しみにしてください。

 

また、シテの私が着る「水衣(みずごろも)」という装束も、『松風』の為に新調しました。『松風』には清浄な白色の「白水衣」をシテ・ツレ共に使用します。汚れの無い白さがこの曲の命、と思って無理をして購入。

 

このような面・装束についても、舞台を見ながら楽しんでいただければと思います。

(続く)