息吹の会
3月7日に被災地復興支援能の『息吹の会』が観世能楽堂にて催されます。
昼夜2公演で、各流派の宗家や名手が揃い、豪華な番組。
また、被災地出身の能楽師や、彼の地に稽古に通っていた能楽師が名を連ねています。
この催しの収益を元に、被災地をまわり、順次無料公演を催していくとのこと。
被災地に稽古に行っていた若手(私と同世代)能楽師数名が、流派を超えて、被災地を元気づける為に能楽師として何ができるか、と、大震災以来頻繁に集まり、話し合いを重ねて、このような素晴らしい催しが実現するに至ったことに、大変な感動を覚えて敬服します。
また、その意志に多くの能楽師が賛同して、無償で出演し、観世流宗家の観世清和師は、観世能楽堂をも提供して下さると言うことも聞き、感動の嵐です。
私自身は被災地とは直接の関係はありませんが、もしお声がかかることがあれば、喜んでお手伝いしたいと思います。
能楽界もまだまだ捨てたものではありません。
私も頑張ります。
ヤマンバギャル
次の日曜日の2月12日、月並能(宝生能楽堂)にて、『山姥』(シテ・小林与志郎)のツレを勤めます。
「百万山姥(ひゃくまやまんば)」という芸人(遊女)の役で、唐織(からおり)という窮屈な装束をまとい、一時間半近く座りっばなし。
つい先日は息子が長時間の役(『善知鳥』の子方)を勤めたばかり。
「絶対に動くな」という父の言い付けをほぼ守ったので、私も行儀良く座らなくては面目が立ちません。
「人に教える」というのは、自分も律することなのですね。プレッシャーです。
職業病の腰痛は、暮れの『乱』の前に、名医の鍼治療のおかげでほぼ完治。
今日はメンテナンスの鍼を打ってもらい、明日の申し合わせ(リハーサル)に向けて、体調を整えました。
ひさしぶりの休日、ついでに床屋さんにも行き、スッキリしてパワーがみなぎってきました!
全力で座ります!
第4回名古屋宝生会定式能


11月20日(日)午後1時開演、名古屋能楽堂において、今年度最後、第4回の名古屋宝生会定式能が催されます。
能『海人』シテ・衣斐愛、能『善知鳥』シテ・辰巳満次郎。他、仕舞『三輪クセ』和久荘太郎、『熊坂』内藤飛能、狂言『禰宜山伏』。
入場券料、一般5000円・学生2000円。皆さまのご来場を心よりお待ちしております。
チケットご購入、お問い合わせはこちらまで。
ワークショップ
明日11月3日は、毎回恒例となった、名古屋宝生会定式能のワークショップを催します。
朝10時から11時半、名古屋能楽堂地下稽古舞台にて。
来る11月20日(日)定式能にての、『海人』(シテ・衣斐愛)、『善知烏』(シテ・辰巳満次郎)の鑑賞に役立つ講座で、名古屋宝生会出演能楽師が、演者の立場から曲の解説をいたします。
今回は、『海人』の解説を当日のシテの衣斐愛さんが、『善知烏』を私が解説し、そのほか能に関連した話を内藤飛能さんがいたします。
最後に、装束付けの実演。今回は、『海人』の後シテを予定しております。
お客さまの中から、当日モデルを選出し、実際に装束の重さや着心地を体験していただきます。
このワークショップは、今年度からの企画で、我々も試行錯誤でやっておりますが、今回4回目。
来年度も引き続き各回とも催すことになりました。
参加は、事前のご連絡は必要ありませんが、定員の50名を越えると、申し訳ありませんがお断りする事もあります。
参加費1000円。名古屋宝生会定式能の年間会員券をご購入いただいている方は、付属のワークショップ参加チケットを切り離さずにお持ちいただければ参加費はいただきません。
みなさまのご参加をお待ちしております。
小袖曽我
子方
昨日月並能の『花筐』子方(凜太郎)、おかげさまで何とか無事済みました。
楽屋でも皆さんの温かいお声掛けをいただいて、本人もやる気になっていました。
私の勤める舞台に向けての精神的なペース配分は慣れていますが、子供のこととなると一他人ですから、まだ配分が掴めません。
終了後、子供を妻に引き渡したら、どっと疲れが出ました。
そのうち慣れる時が来るのでしょうか。
今年はこれでおしまいですが、来年は謡のある難しい役もつけていただきました。
2月五雲会『西王母』・3月月並能『鞍馬天狗』・9月月並能『三井寺』・10月五雲会『花筐』。
これに加えて、5月の私の同門会にて仕舞を勤める予定です。
足利薪能
今週土曜日(9月10日)、栃木県足利市の鑁亜寺(ばんなじ)境内にて、「足利薪能」が開催されます。
第27回と歴史のある催しで、本堂をバックに特設能舞台を設営してライトアップされ、大層雰囲気があります。
観世流と宝生流の輪番で、本年は宝生流。
能『高砂』 大坪喜美雄
狂言『鐘の音』 野村萬
能『殺生石』 宝生和英
演能の前に、不肖私が解説をいたします。
17時開演。雨天時は足利市民会館大ホール。
お問い合わせは、足利薪能実行委員会事務局(0284ー44ー4123)まで。
「足利学校」や石畳の街並み、森高千里の歌『渡良瀬橋』のモデルになった風景が郷愁を誘う小京都・足利。
ぜひお越しください。
満次郎の会


1ヶ月後の10月1日(土)宝生能楽堂にて、辰巳満次郎師主催「満次郎の会」が催されます。
今回はテーマを「鬼」と題し、昼の部は『紅葉狩』、夜の部は『葵上・梓之出(あずさので)』。一日のうちに両方を辰巳師が勤めるだけでなく、なんと『紅葉狩』の前には、『歌占(うたうら)』の一調(いっちょう)を勤める、という、常人には不可能な番組立て。
「一調」は、謡と囃子の一騎打ち。囃子の流儀により決まった謡い処を、常の手組とは違う、特殊で華やかな手組にて囃し、謡も縦横無尽に伸び縮みします。これを勤めることは、シテ方・囃子方とも、能一番を勤めるのに値する、と言われます(対して「独調」とは、常の手組を打つ)。
「スーパー満次郎」と敬意も込めて慣れ親しまれる所以です。
他に、野村萬斎師による狂言や、流儀の長老から幹部の実力者を揃えた仕舞も、全て「鬼」に因んだ選曲、と趣向を凝らしています。
私は、昼の部は地謡にて出演し、夜の部は『葵上・梓之出』のツレ「照日巫女(てるひのみこ)」を勤めます。
「梓之出」の小書が着くと、ツレの扮装が常と変わり、木綿襷(ゆうだすき)というたすきを掛け、また、口寄せのシーンでの謡と囃子のタイミングが変わります。
他にもいくつか変化がありますが、当日お気づきになるでしょうか。
眼目の、シテの登場シーンの囃子(特に小鼓)が、巫女の口寄せの梓弓(あずさゆみ)を連想させ、それに引かれて出てくる、何とも言えない不気味さ。
他流にも同名の小書がありますが、宝生流の「梓之出」が一番難しいとされています。
この催しは第3回になりますが、毎回満員御礼ですので、チケットの手配は少しでも早くなさることをお勧めいたします。
詳細・お問い合わせは、辰巳満次郎師ホームページまで。
NOH-AGE・鵺 終了
一昨日の「NOH-AGE・鵺」は、大勢のご来場、誠にありがとうございました。
200席ほぼ満席。お客様あっての芸能、やはりやり甲斐を感じました。
お陰様で大過なく勤めることができました。
「NOH-AGE」は、毎年春の「和の会」本公演のサブ公演の形を取り、今回第2回。家元主宰のこのような催しで、『鵺』という面白くも難しい曲を勤めさせていただくこと、誠にありがたく感じています。
まるで、私の個人演能会のように演出していただき、あくまでも裏方に徹して、若手を売り出そうとして下さるご姿勢。
良いプレッシャーにも感じ、なんとしても、なにがしかの成果を出さなければと、励みました。
裏方のスタッフに、大変有能な若者たちが揃っています。若い和英家元の志に賛同した「仲間」が、ボランティアで集結して、正に「和の会」という名前に相応しい働きで成り立っています。
今後、どのような展開を見せていくか、お客様はもちろんのこと、我々役者も目が離せない催しでしょう。
私自身、家元のご好意に甘えるだけでなく、個人演能会の少ない宝生流において、よし、俺もそのうちやるぞ!という気持ちが以前にも増して湧き上がってきました。
次回「和の会」は、来年24年5月26日(土)宝生能楽堂にて、宝生和英家元の『船弁慶』。
ご期待下さい。
明日鵺
ついに明日は『NOH-AGE・鵺』です。
ご来場、心よりお待ちしております。
ご来場者には、もれなく涼を呼ぶ物(まさに鵺的な)が配られるそうですが、お帰りの際、決して渋谷の街にお捨てにならないようお願いいたします。
また、額に「肉」とか頬にナルト模様など、落書きしないよう重ねてお願いいたします。
当日券、ございますので、お誘い合わせの上お越し下さいませ。
