恒例の素謡会
去る3月31日(土)神谷舞台にて、恒例の「東京涌宝会素謡会」を催しました。上は、『七宝』『鶴亀』の様子。息子と娘にそれぞれシテ、ワキを謡わせ、参加者全員で『七宝』続けて『鶴亀』を無本にて謡いました。
涌宝会では、ベテラン、初心者を問わず、『鶴亀』は無本、と決めております。こうして回数を重ねるうちに、謡本に頼らずとも謡えるようになってくるものです。
これは、『草紙洗』の様子。最前列が立衆、2列目がシテ・子方・貫之・ワキです。
素謡のみ10番程の会。これを、昨年までは私一人で地頭をしていました(予算の都合上です)が、参加者が増え(て予算に少し余裕ができ)た為、今回、辰巳和磨師に半分の曲を謡って頂きました。少し休むことができて、本当に助かりました!
終演後は、屋形船を経営する向かいの寿司屋にて懇親会(反省会ではありません)。名古屋・米沢・塩尻・甲府・前橋などの遠方からもご参加頂き、各地交流ができたようで、良い会になりました。
年一回の大会とは別に、このような小さい会で細かいご指導もしてまいります。
艷やかに
一昨日の甲府の稽古にて、武田神社の桜と奥に見えるのは能舞台(甲陽武能殿)。
一昨々日、宝生流能楽師・金森良充さんの結婚披露宴の帰りに妻と歩いた千鳥ヶ淵の夜桜。彼を祝うかのように満開。艷やか。
卒業式
昨日は、凜太郎の卒業式。感慨深いものがありました。本人にとっての6年は長く感じたようですが、親にとっての6年はあっという間でした。
身長は母親(私の妻)を超え、声変わり真っ最中。中学校の新しいシューズは、私の靴よりも大きいのにたまげました。
急激な成長の為、東京と名古屋の定式能の子方は全て返上して、残るは9月23日(月祝)の 「第6回 和久演能空間」の『烏帽子折』の牛若丸役のみ。舞台上で牛若丸が元服して、悪党を倒す曲(その「悪党」は野村萬斎さんと私)なので、家元も「良いでしょう」とのことで、予定通り勤めさせます。
しかし、私が中学生の父親とは!
おかげさまで
昨日、東急セルリアンタワー能楽堂にての「渋谷能」第一夜『翁』の千歳を無事勤めることが出来ました。
また、クラウドファウンディングは、皆様のお陰をもちまして無事目標金額を達成することができ、出演者一同、心より感謝申し上げます。
私自身『翁』の千歳は、今回なんと7回目。20代初めに披きの機会を頂き、今年45歳になろうとしていますので、若い時のがむしゃらな清々しさは出てきませんが、一週間の精進潔斎はきちんと行い、心身は清浄を保って舞台に臨みました。
本日は、日帰り名古屋にて、ただ今帰京の新幹線。能『紅葉狩』の解説と、後見を勤めました。
いつも申しますが、本当は解説は不得手で逃げたいのに、今年は既に4回ほど様々な催しで解説することが決まっています‥。
ニューヨーク
今日は久しぶりの休日。大阪にての新作能『王昭君』の地頭、名古屋宝生会にての解説・後見・能の地謡・仕舞の地謡という大仕事が済んで一段落。
ヘルマンリクガメ達をお風呂に入れてやりました。
ええ風呂や。
背中流しましょうか。
15分程の温浴タイム。亀の子束子で優しく擦ってやってると気持ちがいいらしく、湯船の中で必ず例のアレをしちゃいます。身体の内外キレイになったところで終了。バスタオル(雑巾)で拭きあげて部屋にもどしてやります。
死生観
昨年末から年始にかけて、能楽界や身内も含めて、色々な大事な方が他界され、能のワキ僧ではありませんが、逆縁ながら喪に服して、当ブログの投稿を少し控えておりました。
(能に時々登場するこの「逆縁」という言葉、現在多くは、「子が親に先立つ」ことを指すようですが、本来は、生前に血縁や関係が無かったことを意味します)
いよいよ私自身も、これからどんなに長生きしたとしても、人生の半分は過ぎましたので、死生観を少しずつ意識するようになってきました。
人生の大先輩からすれば、44歳の私にはまだ早い、とお思いになるでしょうが、残された人生で、これから何が出来るのかを考えることによって、現在に立ち戻って張り切って生きていくことが出来ると思うのです。
人生の終わりを自覚して、厭世的になるのか、はたまたプラスに転じるのか、それは人それぞれでしょう。
18歳の終わりから30歳まで、約12年間宝生宗家2代に亘って(英雄・英照両宗家)住み込みの内弟子修行をさせていただきました。どこの馬の骨か分からぬ、というくらいの私には大変有難く光栄で、今の私があるのはそのおかげ、と思える、感謝してもしきれない素晴らしい期間でしたが、「12年」という年月はあまりに長い時間でした。
(ちなみに、修行開始当時、今の和英家元はまだ小学1年生で、私が独立した時はもう大学1年生!家族同様に生活したわけです)
いつ独立できるのか、先が見えない生活の為、今だから言えますが、やはりダレる時期が有ったように思います。本当の修行というものは、能以外のことに脇目も振らずに集中すれば、長くても5、6年で充分だと思います。芸が身につこうがつくまいが5年でシャバに出される、という危機感を持てば、人間火事場の馬鹿力が出るものです。そして、独立してからが勝負です。
本日1月17日は、阪神・淡路大震災から24年とのこと。当時私は、内弟子修行が始まって数年後のことでした。被災した方々は、私とは違って、常に「死」というものを隣り合わせに意識して生活してこられたことでしょう。
今、クイーンの映画『ボヘミアン・ラプソディー』が旬ですが、リードボーカルのフレディ・マーキュリーは、45歳でこの世を去ったとのこと。私も今年45歳になります。フレディと比べるのはおこがましいほど、まだ何も成し得ていない、しかも煩悩の塊である私の場合、いつ死んでも悔いは残り、この世に足跡など何も残さないでしょうが、常に「死」を身近に意識して、毎日今を大事に生きたいと思います。
ボヘミアン・ラプソディー
『ボヘミアン・ラプソディー』、名古屋出張の空き時間に観てきました。
最高でした!役者も音楽の力も素晴らしい!
クイーンを知らなくてもおススメです。
私なんか、ほとんど知らないのに、今日の日の為に年始にオリジナルサウンドトラックをiPhoneにダウンロードして、聴き込んでから臨んだから、より楽しめました。
魂の叫びですね。あんな風に謡も謡えたらいいなあ!
明けましておめでとうございます
本年も、皆様にとって良い年となりますように。
一段落
一昨日、夜能にての能『殺生石』、皆様のご声援のおかげでなんとか無事勤めました。有難うございます。
これで本当の一段落。本日は、日帰りで岡崎のお弟子さんの稽古の為に、新幹線車中です。
今月12月15日(土)には、名古屋能楽堂にての
にて、能『土蜘』の源頼光役がありますので、まだ風邪などはひいていられません。
来年は、能のシテを6番勤めさせて頂きます。一つ一つ丁寧に勤めますので、来年以降もご声援・ご来場宜しくお願い致します。曲目・会場・日程などは、また改めてお知らせ致します。
0.6段落
11月18日の能『大會(だいえ)』のシテは、おかげさまで無事済み、昨日、一昨日の「満次郎の会」にての、新作能『オセロ』デズデモーナ役と、能『安宅 延年ノ舞』の山伏役も済み、やっと一段落、とまではいかない、約0.6段落しました。
本日は、文化庁承りの小学校巡回公演にて、神奈川県の二宮に団体バスにて向かっています。能は前回同様『黒塚』。私は、今回は地頭を勤めます。
そして、今週金曜日(11月30日)の夜能(宝生能楽堂)にて、能『殺生石』のシテを勤めれば、本当の一段落。今月は、遂に誕生日以外休みがありませんでした。自慢でもなんでもありません。ただ、仕事を仕事だと思わないでやっている向きがあるので、充実はしているのです。
もちろん家族とゆっくりしたいという気持ちはありますので、毎日極力早く帰宅して、家にいる日は必ず朝食だけは共にするようにしていますし、月4日ほどの自宅(飛鳥舞台)にてのお弟子さんの稽古日は、わずかの休憩時間に家族と犬のようにじゃれ合うのです。
数日前にやや体調を崩しかけましたが、何とか持ち直しました。『殺生石』に向けて、充実した舞台をお目にかけられるように精進します!