下申合せ(能『烏帽子折』)

来月23日(月祝)に控えた「第6和久荘太郎演能空間」能『烏帽子折』の下申合せが済み、久良岐能舞台稽古の為移動中です。

今日が本番一か月前。ツレ・立衆・ワキ・狂言・後見・地謡・楽屋働きまで、全て本番通りに揃って頂き、本番の舞台で本番通りの流れを通して、細かいところを打ち合わせしました。

大人数物で滅多に舞台にかからない曲ですので、これくらい念入りにしないと良い舞台を見せられないだろうとの判断をして、ご出演者みなさんにお願いしたのです。

凜太郎も、「下申合せをやらせてもらって本当に良かった」と申しました。

ここから、また念入りに仕上げていきます。私自身も健康に留意して稽古を重ね、本番を迎えたいと思います。

流行り

電車内でスマホに首っ丈の風景は当たり前になりました。

かなり前(20年位前?)ですが、成人男性が電車内で漫画雑誌を広げていることが批判の対象になった時代がありましたが、スマホに関してそういう形の批判があまり聞かれなくなったのは、老若男女問わずスマホを熱狂的にいじっていますので、人の批判も出来ないということかと思います。

かく言う私も、今このようにしてスマホでブログを投稿していますから何も言えないのですが、ある一定のルールを自分に課しています。電車内に関して言えば、謡を覚えている最中はスマホを触らないこと。電車に乗ったらスマホを触るのではなく先ず本を広げることなど。優先順位としては、

謡を覚える(または型のイメージトレーニング)→本を読む→人間観察→スマホ

となります。まあ、かなり変わり者の部類でしょうか。

車内の人間観察のなかで、本に熱中している人(特に若い人)を見るとなんだか安心します。

最近、耳からうどんのようなものが飛び出ている人が多いのに皆さんもお気づきでしょう。アップル社のワイヤレスイヤホンですね。あれもなかなかに面白い風景です。

今夏の私の中でのヒットは、首元から顔に向けて2つの風が出るように設計された扇風機!。ヘッドフォンを首にファッショナブルに掛けたように見える画期的商品。USB端子で充電できるようです。先日、電化製品店で見かけて購入を迷いましたが断念。これは毎夏流行っていくと思います。

手であおぐ扇子や団扇という光景も、いずれ前時代的となって見られなくなっていくのかもしれません。

来夏は私を電車で見かけたら、耳からうどんを出して、首にファッショナブルな扇風機を掛け、スマホを熱狂的にいじっているかもしれませんので、そのときは優しく見守って下さい。

会主の心意気

昨日は、第2回硯修会にて能『熊野 膝行 三段ノ舞』のツレを勤めさせて頂きました。数ある役者の中から大事なお役を頂き光栄と存じます。

ほぼ満席の会場。会主の舞台に対する熱意。チラシ、パンフレット含め、会主の心意気を感じる素晴らしい催し。チケットのことを度々個人的に依頼した折には、事務担当の大日方寛師の細やかな心遣い。アンケートの取り方。出演者への度重なる感謝の言葉。

会を主宰する者として、様々見習うべきところがありました。私も、「第6回 和久荘太郎 演能空間」まで一カ月半。気を入れて稽古に、事務作業に励みます!

明日は第2回硯修会 能『熊野 膝行 三段ノ舞』

台風10号は抜けたようですが、まだ北日本には大雨を降らすかも、とのこと。お気をつけください。

 

今日は、明日の第2回硯修会の能『熊野 膝行・三段ノ舞』の申合せ。そして今夜は「第6回 和久荘太郎 演能空間」(9月23日(月祝)の 能『烏帽子折』の斬組の稽古。立衆の皆さんに集まってもらい、実際の舞台を使って稽古を重ねます。

 

明日は、研修会の本番。当日券は僅かながら残っているようですので、お出かけ下さい。

台風お気をつけて

昨日は唯一のお盆休みで、栃木県の親戚2カ所にご挨拶回り。何十年振りのいとこにも会い、旧交を温めました。

もちろんカーシェアで。1日の走行距離400km。4、5回のゲリラ豪雨に見舞われ、肝を冷やしました。

 

今日は、明後日に控えた能『熊野 膝行・三段ノ舞』の合わせ稽古の後、散髪してもらい、夕方からは「相模原薪能」に出勤。私は、能『船弁慶』(シテ 宝生和英)の主後見(おもこうけん)。既に雨天会場(相模原グリーンホール)に決定しています。

台風の影響が全国的に最小で済むよう、祈っています。

名能連(名古屋学生能楽連盟)8月例会

昨日、豊田市能楽堂にて、名古屋学生能楽連盟が主催の「8月例会」という、学生による学生の為の発表会が開催され、盛会裏でした。

 

名古屋地区の大学サークルが流派を超えて結束し、1つの催しを作り上げます。企画から宣伝チラシ・番組作成、会場との折衝、学生同士の打合せなどなど、たくさんの仕事をこなしてみんなで作り上げた経験は、近い将来の大きな財産になることでしょう。

また、今はSNSの時代ですから、連携も取りやすいのでしょう、関東の大学能楽サークルの方も応援に駆けつけてくれたようです。

 

私は、愛知教育大学能楽部を昨年より指導しており、またそこと連携の深い愛知県立大学能楽部の指導もお手伝いしておりますので、監督に参りました。 

また、私の母校でもあり、20年近く指導している名東高校能楽研究部も、今回「招待出演」という形で声がかかり、大学生に混じって高校生が仕舞7番と素囃子「男舞」を演じました。

名東高校の卒業生や顧問もご来場頂き、縦の繋がりがうまく作用していることを感じます。

 

宝生流の学生の数を数えたら、3校合わせてなんと27人!これが将来の宝生流にとって大きな力になっていくことを切望し、このともしびを大事に育てていきたいと思います。

皆さまのご支援、ご指導のほど、今後とも何卒よろしくお願い致します。

 

次回は、2月8日土曜日に「2月例会」という名で、会場は名古屋能楽堂にて開催されます。

愛知県立大学能楽部は、能『羽衣』に挑戦。シテはもちろんのこと、地謡も全て学生で。

愛知教育大学は、舞囃子『高砂』。これも全て学生で。

皆さまご予定下さい!

 

目の手術②

(続き)

舞台でお役(装束を着ける立ち役)のとき、10代から20代前半はコンタクトレンズにしていたのですが、直面(ひためん。自分の素顔を面とする心得)ではまばたきが減ることや、空調の風で目が乾燥することもあり、何度か舞台上に落としてしまったのです。ある時は面の中に落としたり‥。

それ以来、舞台の時は裸眼と決めています。4本の柱さえ見えれば能は舞えるのです。

しかし、薪能やホールの能の時、また昨今流行りの「ろうそく能」の時などは、柱さえも見づらいほど暗いことがありますので、コンタクトレンズを入れます。

また、後見のときは、舞台上の正確な位置に作り物を置いたり、舞っている役者の裾が乱れていないか、などをいち早く察知する為に、コンタクトレンズにします。

しかし、物着(「ものぎ」又は「ものきせ」。舞台上で役者の装束を着け替える)があるときは、最近老眼が進んで、遠くを見えるようにすると近くが見えない!装束を着けるときに糸針を使った細かい作業を手早くしますが、これが見づらい。もうどうしたら良いのか。

 

レーシック手術、大変興味ありますが、どうも怖いですね。視力が元に戻ってしまった人の話も聞きました。もう少し実験台(失礼)の話を聞いてからにします。

 

見えない方が良いこともあります。最近、シテのときもたまに実験的にコンタクトレンズを入れますが、知ってる顔を見つけると集中が削がれることがあります。あられもない姿で口を開いて寝てる方とか‥。

目の手術①

今日は、掛川にての催し(私は能『黒塚 白頭』の地謡)の為、名古屋からの新幹線車中です。

 

先日、あるお弟子さんから「目の手術をしたんですか?」と言われて、全く意味が分からず思考停止してしまいました。

ここである記憶が蘇ってきました。

 

〜〜〜〜〜〜

中学2年生のお盆、早朝4時の真っ暗闇のなか、魚釣りの為に釣竿を肩にして、ミミズの入った缶を左手に持ったまま片手運転でドロップハンドルの自転車にまたがって友達と待ち合わせの池に向かう途中、ある喫茶店(同じクラスの女の子のお宅)の駐車場をすり抜けたとき、目の高さに張った鎖に気付かずに突っ込み、大転倒して、ミミズの缶を道路にブチまけ、身体は受け身をとったので怪我は無く、しかし、なぜか涙が止めどなく流れ出る。おかしいなあと思いつつ、ミミズを拾い集めて、気を取り直して道を急ぎました。

池に着き、友人に笑顔で「オハヨー」。その瞬間、みんなが「ギャー!!」と絶叫。私の目から、涙ではなく、血が流れ出ていたのです。

幸い、待っていたかのように池の近くに眼科が有り(これも同じクラスの女の子のお宅)、みんなが眼科の先生を叩き起こしてくれて(大迷惑)診てもらうことができました。

視力が少し低下して、傷が残ったくらいで済みましたが、今考えると、本当に両親には心配を掛けたなあ、と(私の中学生から高校生の折の所業、これくらいまだまだ序の口です)。子供を持ってこそ、親の気持ちが親身にわかるのです。折しもお盆。感謝。

〜〜〜〜〜〜

 

で(いきなり現実)、「手術したのか」とお弟子さんに聞かれて、昔を瞬時に思い出して、私の右目の傷のことを言われたのかと思いましたが、「いえ、今日は先生メガネを掛けてないから」と。

ああ、レーシック手術のことか!「いえいえ、やっていません。今日はコンタクトレンズです。」

そう、最近あまりの暑さで汗を拭く回数が多く、その度にメガネを掛け外しするのが煩わしく、また鼻パットが当たるところが少し炎症を起こしたりするので、コンタクトレンズにしてみているのです。

自分では全く意識していませんが、私は「メガネを掛けた人」、と認識されているのですね。

(続く)

岡崎の稽古(花朋会敷舞台)

昨日は1日休みが取れて、カーシェアにて日帰りドライブ。東名高速を東に走って、アウトレットなどに行き帰ってきました。お盆休みの始まりの割にはそこまでひどい渋滞は無く、家族でリフレッシュ。

 

今日は岡崎のお弟子さんの稽古の為、新幹線車中です。

岡崎の稽古は、約15年前に始めた当初、お弟子さんは3人のみ。不思議に、1人おやめになると1人お入りになる、というのが10年ほど続いて、月2回の稽古に行くたびに赤字を抱えていましたが、継続は力、その後少ししずつ増えて、現在は常時10人位はお越し頂くまでになりました。名古屋の桜山にての稽古と、両方に、月4回お越し頂く奇特な方もいらっしゃいます。

稽古場は、花朋会敷舞台という、本格的な能舞台。見所(けんしょ。客席のこと)も広く、年末には毎年、持ち主の方が個人演能会を催していらっしゃいます。

まだまだ人数に余裕はありますので、ご興味がおありの方はご遠慮なくお問い合わせの上、ご見学にお越しください。お問い合わせは、当ホームページ内「お問い合わせ」まで。

あずさ3号

今日は、甲府のお弟子さんの日帰り稽古の為、8時ちょうどのあずさ3号で、私は私はあなたから旅立っています(JASRAC未許諾)。

 

JASRACの潜入調査問題の是非が問われていますが、法律とはいえやり方がちょっと‥。調査員は仕事とはいえ、そのとき、発表会までの長期間、人心をもてあそんでいなかったと言えるでしょうか。この事例に限ったことではなく、どの分野でも、人にものを習う、人にものを指導する、ということを、みんなが深く考えてほしいと思います。

 

能の謡は、当然著作権法が無い時代のものですから(謡本の「版権」とは別)、稽古でも自由に謡って問題ありません(謡本のコピー使用はいけませんよ)。

 

そもそも能草創の室町時代当時、ある座(流派)で作られた能を、他座(他流)の大夫(家元)が、「面白いからウチでもやろう」という場合、想像するに、きちんと挨拶をしに行って台本を頂いたり、ということもあったでしょうが、見覚えで勝手に演じる、ということもあったのでは、などと想像しています。養子縁組の引き出物として曲を譲渡する例は実際にあったようですが。

 

マネされることを「取られた!」(被害者意識)と受け取るか、「名誉」(余裕の上から目線)と受け取るか。これも色々だったのでは。

私も、演能空間のチラシや、私の公式ホームページのデザインなどを真似されてる、と感じることがありますが、真似してもらうだけの価値のあるものを生み出せた(デザイナーさんのお陰ですが)、という自負と誇り、矜恃で、却って「名誉」(当然上から目線で)と感じています。

 

私自身、謡っていて、どう考えてもこれは他曲の「引用」を通り越した「盗作」だろう、と思われる曲が結構な数あります。しかし良い方に考えれば、「パロディ」なのかもしれません。原曲を知っているお客さんが観る(聴く)と、思わず「クスッ」となったり、想像の景色の幅が広がったり、という。

ちょうど、能『頼政』を題材にパロディにした狂言『通円』の関係を、能の中でもやっていたのでは。

 

などと勝手に想像すると、昔は大らかだったなあ、と。妄想は膨らみます。