3月3日(日)豊田市能楽堂 能『千手』
来る3月3日(日)14時開演 豊田市能楽堂にて、能『千手』(シテ 大坪喜美雄)のツレ・平重衡(たいらのしげひら)役で出演いたします。
このツレは、両シテ扱いで、シテと同格の重要な役です。直面で最初から最後まで床几に腰かけて、囚われ人の悲哀を現します。
源平合戦に敗れた平清盛の末の子・重衡は、鎌倉の狩野介宗茂(かののすけむねもち)の元に預けれらていますが、東大寺と興福寺を焼打ちしてしまった罪により、僧兵から引き渡しを求められて(その後、史実では都の木津川で処刑されてしまう)もう明日にも都へ連れて行かれるという状況です。
重衡のあまりの貴公子ぶりにいたく心を打たれた源頼朝は、お側仕えの遊女・千手の前を遣わして重衡を慰めていました。
ここまでが、能『千手』が始まる前段階。この状況を知っていると、この能の雰囲気をより味わうことができます。
能は、まず重衡が一人登場し、舞台に向かって右側のワキ座と言われる場所に床几に腰かけます。すると、舞台は狩野介宗茂の館の、重衡が滞在する一室、ということになります。
頃は4月20日。春の雨が降る中、千手の前が今日も琵琶・琴を持って重衡を慰めに来ます。
昨日重衡は、千手を通じて出家の望みを頼朝に伝えてありましたが、朝敵ゆえ私情で出家を許すわけにはいかないとの返事を聞き落胆します。
湿っぽくなったこの場を変えようと、狩野介宗茂は酒宴を催して、盃を交わし、和歌を朗詠して千手は舞を舞うと、重衡も興に乗って琵琶を弾き始めましたが、明け方も近くなり、やがて後朝(きぬぎぬ)の別れの時が来ます。
重衡は警護の武士に引き立てられ、都へと再び護送され、千手は袖を涙で濡らして見送ります。
終始春の雨の夜の雰囲気に包まれ、能独特の抑えた表現が生きる曲で、また作曲が素晴らしく、宝生流の謡の良さが出ると思います(地頭 小倉敏克)。
入場料は
正面席 6,000円
脇正面・中正面 4,000円
学生 2,000円(脇正面・中正面のみ)
小・中学生 500円
お問い合わせは、当ホームページ または、豊田市コンサートホール・能楽堂(0565-35-8200)へ。