3月16日(土)五雲会 『野守』

来る3月16日(土)宝生能楽堂(東京・水道橋)にて催される五雲会にて

  能『野守(のもり)』

のシテを勤めます。

前半が「野守の老人」役で杖を突いて出、後半は「鬼」です。

『野守』は、世阿弥作の「鬼」の能。鬼と言っても、ただの怖い鬼ではなく、神様や心霊に近
い、宇宙観を感じさせるような存在。天地四方全てを映し出す鏡を持って出現します。

 羽黒山の山伏(ワキ)が、奈良の葛城山に峰入りする途中、春日野(今の春日大社のある辺り)で、野守の老人(前シテ)と出会います。由緒ありげな池を見た山伏が、老人にその池の名を問うと、自分のような野守が朝晩姿を映すので、「野守の鏡」ということ、また真の「野守の鏡」とは、昼は人となってこの野を守り、夜は鬼となってこの塚(舞台上の作り物)に住む、という鬼が持っている鏡のことだ、と語ります。

老人は更に語り、

「昔この野で鷹狩があった時に、鷹を見失った狩人が一人の老人に出会い、行方を尋ねると、老人はこの池の底に鷹がいる、というので、狩人が池にバッと寄り覗き込むと、本当に池の底に鷹が見えた。よくよく見れば池に映った木に、鷹がとまっていた。

 はしたかの 野守の鏡 得てしがな 思い思わず 他所ながら見ん

という歌も、この鷹を映した故だ」

と語り、昔を思い出し涙を流し、自分がその野守の鬼であることをほのめかして塚の中に消えます。(中入)

 夜になり山伏が祈ると、「野守の鏡」を持った野守の鬼(後シテ)が現れて、天地を映し出し、その鏡を山伏に与えて、大地をかっぱと踏み鳴らして再び奈落の底に帰って行きます。

会は正午始、『志賀』『花月』『羽衣』『野守』の順です(途中入退場可)。『野守』は、16時30分~17時40分の予定です。

お誘い合わせの上お越し下さい。

入場料は、全席自由席で5,000円(学生2,500円)です。

お問い合わせ、チケット購入は当ホームページへ。