掛け持ちお許しください

今月7月は、先週の学校巡回公演が長期間だったことや、特に舞台出演とそれに伴う申合せ(リハーサル)が多く重なり、休みが一日も取れない月となりました。

休み、といっても、自分の稽古や息子の稽古、はたまた事務作業に時間を取りますので、休んでいるのかいないのか。私としては何の苦痛もありませんが。

「身体は大丈夫か」、と皆さまご心配いただきますが、食事と睡眠だけはおろそかにしていませんので、大丈夫。毎日元気いっぱいに動いております。「家庭も大事に」とおっしゃっていただきますが、それは少し耳の痛いところ…。最低限、朝食だけは家族そろって、と心掛けています。8月には挽回しようかな…。

市川海老蔵丈の歌舞伎座休演について、巷間(ネット・SNS・報道など)色々なご意見が当然あるようですが、心から心配します。あの方のお忙しさは私など比ぶべくもありませんが。歌舞伎の25日間連日興行はいつも想像するに大変なことと思っております。ちょうど厄年にあたるのではないでしょうか。これをきっかけにきっとお考えになることでしょう。

能は連日興行はせず(というよりも、能の興行のシステム上「できない」のが本音)、一期一会をうたい文句にその日一日にかけます。が、果たして、全ての能役者が(私も含めて)、歌舞伎役者の25日分のエネルギー同等を一日にぶつけているか、は疑問です。

 

ほとんどの能役者は、役者業だけでは生活が成り立ちませんので、師匠業を兼ね、趣味でなさるお弟子さんのお稽古をして、お月謝をいただいて生活しています。つまり、お弟子さんに支えられているのです。そのことは、妻とともに、我が家の子供たちには幼少期から常に言い聞かせております。ですから、舞台も大事ですが、お弟子さんのお稽古も大事。よって、先約優先の原則も同じはずなのですが、どうしても急な合わせ稽古やリハーサル、代役などで、お弟子さんとの先約を反故にしてしまうことがあり、大変申し訳なく思っております。

昨日は、自宅稽古の後、「としま能(東京芸術劇場)」に出演の後帰宅してまた自宅稽古。

本日は、自宅稽古の後、「獅子の会(宝生能楽堂)」の『安宅 延年之舞』の申合せ(宝生能楽堂)をして、帰宅しまた稽古、夜は「渋谷能(セルリアンタワー能楽堂)」の『藤戸』の事前講座(講師)。

明日も、自宅稽古の合間に、新作能『王昭君』(地頭)の為、宝生能楽堂にて申合せ。

 

このように、今月は稽古日が取れないために、舞台や申合せの前後に自宅にてのお弟子さんのお稽古をさせて頂いております。お弟子さんには無理を申しますがお許しください。