残像現象

昨日は、五雲会にて『玉葛』地謡出演、終演後、『烏帽子折』の斬組(チャンバラ)の最終調整稽古。

凜太郎も含め、皆さんだいぶ板に付いてきました。そして、大幅な変更はしませんが、少しずつ進化していきます。

 

以下は、私の独自の考えかもしれませんが、能の斬組は、「本気」の汗だくの演技をしてはいけないと考えています。あくまでも舞踊・所作事の流れであって、本当の武術やスポーツのような、目にも留まらぬ速さの動きをせず、優雅に品良く、しかし気迫を第一に、が信条です。

江戸時代の武士に求められた能を稽古する意味はまた違ったかもしれませんが、それ以前の、式楽化する前の能はどうだったのでしょうか。妄想は尽きません。

 

昔の時代劇の、スター俳優の殺陣は、美しく優雅です。歌舞伎役者からの転身が多かったことがあると思いますが、やはりどこか「芝居」なのです。まるで蝶が舞うような。その時代を経て、時代劇もだんだん「本気」の時代を迎えます(そして、残念なことに時代劇は風前の灯になってしまいましたが)。

 

「本気」の、目にも留まらぬ演技は、最初は観る人を驚かせますが、長いと徐々に目がスピードに慣れて飽いてきます。

映画『マトリックス』のキアヌ・リーブスの動き。人の「残像現象」を映像化して可視化したもの、と私は受け取っています。それを、映像の力を借りずに、生の舞台で観せるのです。

 

私は、幼少から様々な武道を稽古してきました。本当の武術の動きは、今、何をしたのかわからないのです。なぜ今相手が崩れるように倒れたのか、なぜ今背後に回れたのか。

その感覚で、10代の頃は能の稽古にあたっていきましたが、能の師は「早すぎて伝わらない」と。その意が腑に落ちるまで、かなり年月を要しました。「型がキレてカッコいい」のはもちろんそれだけでも価値がありますが、そこで終わりなんですね。

能はもっと奥を見ているのだと思います。


自由席(脇正面後方席及び学生席)完売のお知らせ

第6回 和久荘太郎 演能空間(9月23日宝生能楽堂)の、自由席(脇正面後方席及び学生席)は、お陰様で完売致しました。

残るは中正面席のみが20席ほどとなりました。当日券は、残券がある場合のみ販売致します。当日券の販売が無い場合、当日ご来場頂いてもご入場頂けませんので、あらかじめのご購入をお願い致します。(当日料金は1,000円増しの7,000円となります。)


正面席・脇正面席 完売のお知らせ(第6回 和久荘太郎 演能空間)

「第6和久荘太郎演能空間」(923日月祝)の、正面席と脇正面席は、お陰様で完売しました。

自由席(脇正面後方席 及び 学生席)も残りわずか(数席)です。

中正面席(指定席)のみ、まだ余裕があります。

当日券は、残席がある場合のみの販売となり、金額は 1,000円高くなりますので、事前のお買い求めをお勧め致します。

本番まであと20日。皆様のご来場を心よりお待ちしております。


下申合せ(能『烏帽子折』)

来月23日(月祝)に控えた「第6和久荘太郎演能空間」能『烏帽子折』の下申合せが済み、久良岐能舞台稽古の為移動中です。

今日が本番一か月前。ツレ・立衆・ワキ・狂言・後見・地謡・楽屋働きまで、全て本番通りに揃って頂き、本番の舞台で本番通りの流れを通して、細かいところを打ち合わせしました。

大人数物で滅多に舞台にかからない曲ですので、これくらい念入りにしないと良い舞台を見せられないだろうとの判断をして、ご出演者みなさんにお願いしたのです。

凜太郎も、「下申合せをやらせてもらって本当に良かった」と申しました。

ここから、また念入りに仕上げていきます。私自身も健康に留意して稽古を重ね、本番を迎えたいと思います。


下申合せ

今日は日帰りで、名東高校の稽古と、名古屋の大学2校の合同稽古の為、始発の新幹線車中です。

 

祝日・平日にかかわらず怒涛のように舞台が連続した7月も無事過ぎ、8月に入って少し余裕ができました。それでも、今月はお役(面装束を付ける立ち役や仕舞など)だけでも3つ(『熊野』ツレ、『清経』ツレ、仕舞『砧 後』)、地謡などの舞台も数多く控えていますので、何より体調管理に気をつけて稽古に励みたいと思います。

 

そして来月に控えた「第6回 和久荘太郎 演能空間」の能『烏帽子折』の稽古も、凜太郎とともに佳境に入ってきて、今月は下申合せを致します。

「下申合せ」という言葉はあまり耳にしないと思います。本番前に一度だけ全体で合わせて確認をするリハーサルを「申合せ」と言いますが、その「申合せ」の前に、更に全員集まって実際に舞台で演じて調整することを「下申合せ」と言います。『道成寺』などの大曲のとき、シテからお願いして集まって頂き、念入りに本番に向けて作り上げていくのです。

今回の『烏帽子折』も、滅多に舞台にかからない曲であることや、当然ながら凜太郎も私も初役、また、各役若手を敢えて揃えましたので、より一層の打ち合わせが必要と判断して、ご出演の皆さんにお願いしました。

 

このようにして作り上げる大曲『烏帽子折』、ぜひご来場下さい!


烏帽子折の斬組(チャンバラ)

第6回 和久荘太郎 演能空間」の、能『烏帽子折』のチャンバラの型がやっと完成しました。

 

『烏帽子折』の後半は派手なチャンバラがあり、終盤の地謡の中での、牛若丸(子方。凜太郎)と熊坂長範(後シテ。私)の戦う部分は、「型附(かたつけ)」という伝書が存在して、動きが厳格に決まっているのですが、その前の牛若丸と立衆(ツレ。6人の後輩)の戦う部分は、斬組(きりくみ)といって、自由に作ってよいのです。但し、自由と言っても、各流に伝わるある程度の規範があり、それをあまり逸脱することは許されません。

今回は、当然ながら主催者でシテでもある私が作りましたが、なかなか苦心しました。牛若丸が立衆6人と戦って全員倒すのですから、激しい中でも徐々に盛り上がっていかなければ、お客様は見ていて飽きがきてしまいます。実際に人を相手に動いてみて作ると良いのですが、なかなかそのような時間もないので、自分一人で家の舞台で動き回って、ああでもない、こうでもないと、脳内でイメージを膨らませて、とりあえず机上の空論で数日掛けて作り上げてみて、今日実際に凜太郎に指導しながら少しの改良をして、完成にこぎつけました。

かなり複雑ですから、完成した状態で凜太郎に覚えさせないと混乱させてしまいます。できるだけ今後は変更しなくて済むように、完璧を目指して作り上げました。

凜太郎の『烏帽子折』の稽古は、その斬組部分以外の謡や型などは大方早いうちに身に付けましたので、今後はこの斬組を覚えて練り上げる稽古も並行して始めるのです。

このような苦労も、誠にやりがいがありますが、正直なところ、『烏帽子折』という大曲を手掛けてしまった後悔の念を、ほんの一瞬持つときがあります。しかし、それを振り払って、これを機に私も成長し、お客様のお喜び頂くお顔を見たいがために、日々奮起しております。


正面席残り少なく(演能空間 残席状況)

「第6回 和久荘太郎 演能空間」能『烏帽子折」のチケット、7月1日に一般販売開始以降、幸先良くたくさんのご注文を頂いております。

 

正面席は、前方のブロックは完売し、後方の一段上がったところの中でも、後ろから3〜4列が残っている、という状況です。後方となりますが、昔は「貴人席」と言って、舞台のみならず、橋掛りや揚幕まで、全体が見渡せる席として、帝や、将軍・大名が座った辺りの席ですので、これもおススメの席です。

 

脇正面席は、前から5列目までは完売、6列目以降は余裕があります。

 

中正面席や自由席及び学生席に関してはまだまだ余裕があります。

 

お早目のお申し込みをお願い致します。


販売開始しました!

第6回 和久荘太郎 演能空間 のチケットの一般販売を、本日より開始いたしました。お申込みは、演能空間公式サイト、またはメール(info@hosho-waku.net)、またはカンフェティチケットサイトにてお願い致します。

宝生能楽堂にても、自由席(脇正面後方席)のみ販売しております。

当日券は、残席がある場合のみ販売致しますので、予めの早めのお求めを何卒お願い申し上げます。


ありがとうございます!

本日、皆さまのお陰で、なんとか第5回和久荘太郎演能空間を催すことができました。

 

このような非常事態のなか、お越し頂いたお客様には、心より感謝申し上げます。

また、「本当に残念ですが」というお言葉を頂いた上で、お越しになれなかったお客様の温かいお言葉にも、いたく励まされました。

 

通常の公のイベントや催しならば、間違いなく「公演中止」の判断をして告知するべき事態だったと思いますが、演能空間は、中止ができない事情が多々あります。

もちろん、「役者としての意地」という面もありますが、この催し、内情をこの機会に恥を忍んで申しますと、妻と私二人で、和久家の家計のみでやっている、小規模の催しなのです。事務員やスタッフを抱えてやっている、景気の良い大規模な催しに見ていただいているかもしれません(自意識過剰?)が、そうではないのです。夢を壊してしまったかもしれません。

立派でキレイなチラシ(自画自賛で恐縮ですが)からは想像できないと思いますが、毎回、100万円弱の赤字を抱えながら、催しております。

 

そのような状況の為、「払い戻し」のご希望のご連絡には、誠実な対応ができなくて、本当に申し訳なく思っております。

 

本日の公演にお越しになれなかった方は、是非とも、当ホームページ内「お問い合わせ」に、お名前とご住所をお知らせ下さい。本日お客様に配布した、演能空間パンフレット(能楽評論家・金子直樹氏の解説文付き)や、今後の公演のご案内を郵送させて頂きます(事情により、10月末頃の発送となります)。

 

これで、私はめげていません。また次に向かって邁進致します!

 

本日は、本当に有難うございました!


9月30日は必ず開催致します(第5回和久荘太郎演能空間)

既に報道でご存知の通り、台風24号が接近しており、9月30日(日)名古屋能楽堂にて開催予定の「第5回 和久荘太郎 演能空間」開催の可否について、お客様から数件お問い合わせを頂きました

 

主催者として声明を出させて頂きますが、中止の選択肢は無く、必ず開催致します。

 

ただ、お客様には安全第一にて、その時のご判断にてお気をつけてご来場頂きますよう、お願い致します。

なんとか、台風が回避され、皆さまがご無事でお越し頂けることを心より念じて、お待ちしております。

 

和久荘太郎 演能空間 主宰      宝生流能楽師 和久荘太郎