父の日
先日6月17日(日)の父の日は、幼稚園の父親参観日でしたが、私は名古屋宝生会定式能で『是界』のシテを勤めていた為、残念ながら欠席し、男親ばかりの中、激しい親子体操も妻が代わりに頑張ってくれました(今年に限らず、今後毎年重なるのです)。
『是界』を無事勤め、深夜に帰宅すると、机に手紙が置いてありました。
そうたろうさんへ おしごとがんばってください だいすき なごやたのしみですね だいすき どうじょうじのかねつくってください だがしやさんいこうね つるかめがんばるね 凜太郎より
泣かせてくれました。
しかし、「そうたろうさんへ」って…。
「なごやたのしみですね」は、来月、名古屋の母、妹夫婦の元へ、凜太郎と初めて二人きりで新幹線に乗って遊びに行くのです。
初めての二人きりの旅行とあって、父の方が緊張しています。
「どうじょうじのかねつくってください」というのは、数年前私が『道成寺』を披演した時に、私の『道成寺』のビデオを見て、凜太郎(当時2歳)が乱拍子から急之舞、また鐘入り(釣り鐘に飛び込む)までをよく真似していたので、親バカな父が、段ボールで凜太郎用の鐘を作って、家の天井から吊して、落として飛び込む遊びをしていたのを覚えているようです。
また作ってやるか。前よりも大きな鐘を。
「こんどだがしやさんいこうね」は、おなじみの、自分の要求を手紙に巧みに書き込む高級テクニック。
父親心をくすぐります。
「つるかめがんばるね」は、再来月8月2日、MOA美術館薪能にて、『鶴亀』(シテ 小倉敏克)の「亀」役を水上達君(鶴)と勤めることを言っています。
このまま、いつまでこんな子供でいてくれるのでしょうか。
今になって自分の父の気持ちが少しわかったような気がします。