小袖曽我

 来月4月14日(土)五雲会(宝生能楽堂)にて、能『小袖曽我』を勤めます。
24.4五雲会
曽我十郎・五郎兄弟が、父の敵討ちをするにあたって母を訪ね、弟五郎の勘当を解き、兄弟連れ立って母の御前で勇ましく舞を舞います。
「相舞(あいまい)」と言って、2人で舞台を半分ずつ使って同じ舞を舞うのですが、宝生流は特に『小袖曽我』の「男舞(おとこまい。笛・小鼓・大鼓のみで奏する激しく、勇壮な舞)」を、複雑に面白く作ってあります。
足拍子を交互に踏んだり、舞台をただ半分ずつ使うのではなく、興に乗ってくるうちに、いつの間にか2人の位置が入れ替わり、舞の終盤でまたいつの間にか元に戻ります。
一度見ただけでは、おそらくどのように入れ替わったか、お分かりにならないと思います。分かる方は、動体視力が大変優れている方だと思います。ご自分の動体視力を試してみて下さい。
私と相舞を舞う五郎(弟)役は、高橋憲正さん。女泣かせの甘いマスクで、観る者を魅了することでしょう。
内弟子修業で苦楽を共にした仲間の1人で、相手の出方はお互いよく解っていますが、あえて、先輩の私に追随しないよう、注文を付けてあります。
他の曲にも様々な相舞がありますが、「よく合っていたよ」と言われて喜んだ時期もありました。
しかしこの曲は、光と影のようにぴったりと合うことは要求していないと考えます。
制限された中で、思う存分お互いの力・個性・役柄を出せたらと思います。
能『小袖曽我』

十郎 和久荘太郎・五郎 高橋憲正・母 東川尚史・トモ 佐野弘宜・団三郎 金森隆晋・鬼王 藤井秋雅
能にしては、芝居がかっていて、初めて能を見る方でも退屈せずに楽しんでご覧になれることでしょう。
ぜひお運びいただきますよう、お願い申し上げます。
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